最近、タブレットで動画などを見ていると「お口のエチケット」として口臭予防グッズの宣伝をよく見かけるようになりました。
ところで、そもそも「口臭」についてあなたはどれくらいご存じでしょうか?
今回は、「口臭があると思い込む心理的口臭症」についてご紹介します。
そもそも「口臭」は、不快な臭いのこと
どんな人にも体臭があるように、当然、口にも臭いがあります。
そんな口の臭いの中でも、「本人や周りの人が不快に感じる呼気の臭い」を総称して口臭と呼んでいます。
→正常な臭いは、「生理的口臭」と呼ばれています。
口臭の原因は口の中にある!?
そもそも、「口臭の原因のほとんど(約9割)は口の中にある!」と言われています。
というのも、実は不快な口臭のほとんどが・・・
- 剥がれ落ちた粘膜のカス
- 唾液
- 食べ物のカス
これらに含まれるタンパク質が、口の中にいる細菌により分解・発酵される過程ででるガスが原因になるためです。
ワンポイントアドバイス! ~「口臭」の臭いとは?~
- 「タマネギが腐った臭い(メチルメルカプタン)」
- 「卵が腐ったような臭い(硫化水素)
- 「キャベツが腐ったような臭い(ジメチルサルファイド)」
口臭にはこういった臭いが主にあるため、「かなり臭そう・・・」というイメージがわくのではないのでしょうか?
→キャベツが腐ったような臭いがする「ジメチルサルファイド」は、口臭の強弱と強い相関があるとされ、口臭を評価する指標にもなっています。
というわけで、「口臭が本当にある場合は対処しないといけない!」ということになるため、様々な口臭予防グッズが宣伝されています。
ただ、「一時的な口臭」や、そもそも「口臭ではない人」といったように、問題がない口臭の人もいます。
問題がない口臭?
例えば、「朝起きたとき」や「しばらく食事を摂っていない」ことなどが原因で、唾液の分泌は少なくなります。
また、職種によっても違いますが、私のようにブログを書くことを仕事にしていると、基本的に話すこともないため、唾液腺が刺激されず口の中がさらに乾燥してしまいます。
さて、唾液は口の中を洗浄・自浄する作用がありますが、口を動かさなければ唾液腺も刺激されないため、唾液が少なくなってしまうことはご存じではないでしょうか?
その結果、自浄作用が低下するためタンパク質を分解する細菌が増えることで、口臭も濃縮されることになります。
この時、確かに口臭は発生しますが、唾液の分泌が増えるように生活習慣を改善すれば口臭も改善することができます。
そして、もう一つは「自分には口臭がある!」と思い込んでしまっている場合です。
ただの思い込みによる口臭?
「心理的口臭症」と呼ばれますが、本来は口臭がないためそもそもなんの問題もありません。ですが、心理的な病気になってしまっている場合です。
口臭症は、「生理的口臭症」と「病的口臭症」に大別されています。
生理的口臭症
先程紹介した、「起床時の口臭」などだけでなく、例えば「ニンニクやアルコールが原因で発生する口臭」や「妊娠や更年期といった生理的に発生する口臭」も生理的口臭となります。
つまり、誰もが当たり前に引き起こされる(生理的な口臭)ため、病気ではありません。
ところが、思い込みによる口臭は病的口臭症の1つに分類されています。
病的な口臭は、身体的な物とは限らない!?
例えば、「口臭」と聞くと歯周病や虫歯、歯垢など口臭となる原因をいくつか思い浮かべると思います。
他にも、鼻や喉の病気(蓄膿症や咽頭炎など)が口臭の原因になっている場合もありますし、口腔癌など深刻な病気が隠されている場合もあります。
ですが、これらは「器質的(身体的)口臭症」として病気として存在しており、口臭として実際に影響が出ています。
ところが、心理的口臭症はそもそも口臭が発生してしません。
冒頭でもお伝えしましたが、「本人や周りの人が不快に感じる呼気の臭い」を総称して口臭と呼ばれるため、そもそも口臭の改善をしても本人が納得できなければあまり意味がありません。
ちなみに、心理的口臭症は「神経症性障害」と「精神病性障害」に分けられています。
心理的口臭症は深刻になることも・・・
さて、そんな心理的口臭症には例えば「被害妄想」があります。
「みんなに嫌われる」・「馬鹿にされている」・「噂をたてられている」といった被害妄想が現われます。
これらは、「みんなが手で口を覆う」・「鼻を鳴らされた」・「咳払いをする」といった口臭に起因した、いわゆる関係妄想が中心になっています。
そして、「自分の口臭が人に迷惑をかけている!」といった妄想により行動が制限されるようになり、退職・退学により家に閉じこもる可能性まであります。
こういったきっかけになるのは、例えば「口が臭う」と過去に何度か指摘されてしまったことが多いようです。
ちなみに、「精神病性障害」には統合失調症が含まれています。
このように、「口臭」1つとっても心理的な影響が出てしまいますが、今は「口エチケット」が当たり前となり、自分の口臭を意識している人が増えたのではないでしょうか?
ただ、本当に自分に口臭があるのかはまた別の話です。
最後に
口臭の原因は、多岐に渡ります。
それこそ、「空腹時」や「疲れたとき」は肝臓が身体にエネルギーを供給しようとして、ケトン体を作り、血液中に放出します。
ですが、ケトン体が増えすぎると甘酸っぱいの臭いのするガスとなって肺から出てくるため口臭となります。
このとき、「息が臭い!」と言われる可能性があります。
ちなみに、ストレスによりリラックス時と比較すると唾液の分泌量は約3割減少すると言われています。(ストレスが長期にわたると自律神経が失調し、唾液の分泌が抑えられてしまう)
このように、口臭の原因は多岐にわたります。
ちなみに、軟らかい食べ物ばかりを食べていると、よく噛むことをしなくなるため、口の周りの筋力が衰えていきます。
→特にドライマウスの人は、口の中の潤いが少ないため食べ物が飲み込みづらいため、軟らかくて噛まずにすぐ飲み込める食べ物を食べる傾向にある。
ですが、軟らかい食べ物ばかりだとさらに噛まなくなり、唾液の分泌が減少する悪循環に陥ります。
このように、口臭の原因は生理的な原因や生活習慣によるものが多いですが、病気の場合もあります。
ただ、口エチケット関連の商品に頼ってばかりいると、身体の異変に気付けなくなるかもしれません。
それどころか、あなたには気にするような口臭がないかもしれません。
もしも、本当に口臭があるのなら「生活習慣の改善」や「病気の治療」を進めていく必要があるでしょう。
そして、口臭が本当に気になるなら、まずは口臭の原因を調べてみてはいかがでしょうか?
「自分が口臭を気にするタイミング」・「口臭を指摘されたタイミング」など、自分のことを見つめ直すきっかけにしてみてもいいかもしれません。
参考
ストローマンパートナーズ:口臭の原因・予防・改善法
→https://straumannpartners.jp/medical/trivia/foul/
総合南東北病院:50歳以上の女性に多い疾患「ドライマウス」
→http://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/200906/drymouse.html
日本臨床歯周病学会:口臭について
→https://www.jacp.net/perio/halitosis/
jstage:口臭への対応と口臭症治療
→https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/44/4/44_230/_pdf
くすりと健康の情報局:口臭の原因
→https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/35_kousyuu/
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