ボーガンの威力は、軽犯罪のレベルじゃない・・・ 規制の仕方も重要!? 

 

皆さんは、ボーガンにどんなイメージがありますか?

ほとんど関わりないがない私としては、「ただの危険な武器」というイメージしかありません。

ただ、これは「猫」や「ハト」などが昔から狙われたニュースを度々聞いていたからです。

今回は、そんな「ボウガンと犯罪」についてご紹介します。

 

そもそも「ボウガン」ってなに?

ボウガンといえば、もともと日本では「石弓(いしゆみ)」「弩(いしゆみ)」と呼ばれていました。

ただ、「石弓」と聞いてボウガンをイメージできる人は、なかなかいないのではないでしょうか?

そこで、商標登録がなされるなど一般化されるために取組がおこなわれてきました。

それでは、そもそも「ボウガン」とはどういった意味があるのでしょうか?

 

日本ボウガン射撃協会によると、「弓式銃」の・・・

  • 弓:BOW
  • 銃:GUN

=BOUGUNとして日本では定着しました、

つまり、「ボウガン」というのは和製英語です。

→以前は、商標登録もされていましたが、現在は更新されていません。

 

「ボウガン」の定義

そして、日本射撃ボウガン協会では、ボウガンはこのように定義されています。

「ボウガンとは、発射物に矢を、その矢を飛ばす力として弓を用い、弾道の安定化のため、弓の固定、弦、並びに矢の安定保持を機械化し、照準器と矢の発射機構を有した射撃用具である」

このように、「射撃用具」とありますがあくまでもスポーツとして楽しむためのものとして捉えられており、競技用は、20~40万円程度で購入できるようです。

*ボウガンは、「クロスボウ」とも呼ばれますが一般の人には馴染みがなく、イメージがつきにくいため、「新しい射撃スポーツ」としてボウガン(BOUGUN)として日本では商標登録され浸透していった。

ところが、以前からボウガンの悪用事例が引き起こされてきました。

 

ボウガンを悪用!?

ボウガンの威力については、こちらのyou tubeですぐに確認することができます。

この動画では、150ポンドクロスボウが使われています。

「150ポンド」というのは、約68kgの力で弓を引くことになります。

目安ですが、約200m飛ぶようです・・・

ちなみに、この動画では「ラジカセ」や「電子レンジ」といった電化製品を一瞬で貫いていました・・・

つまり、人間が狙われればひとたまりもありません。

 

最初は動物が被害に遭っていた・・・

以前から、矢が刺さった「カモ」や「猫」など様々な動物が狙われることが度々ニュースで取り沙汰されてきました。

pixel2013 / Pixabay 

 

とはいえ、2017年には鳥獣保護法施行規則の改正により環境大臣が禁止する狩猟法として・・・

「弓矢を使用する方法」→「矢を使用する方法」に変わり、狩猟の世界ではボウガンも正式に規制対象となっています。

*もともと上記の禁止猟法に該当し違反となるが、法令上は「ボウガン」が明記されておらず『「弓矢」に該当するかどうか?』ということが実際の捜査において課題になっていた。

→法令になければ取締が難しい。

このように、少しずつボウガンに対する規制は進んできましたが、残念ながら一般人がボウガンが所持していても銃刀法違反にはなりません。

 

銃刀法違反にならない!?

正直、私も驚いたのですがボウガンは銃刀法違反にはあたらないようです。

そもそも、銃砲刀剣類所持等取締法で取り締まられているのは「銃砲」「刀剣類」です。

それでは、「銃砲」にはどういった物が当てはまるのでしょうか?

 

第二条

この法律において「銃砲」とは、けん銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。

つまり、銃砲刀剣類所持等取締法では「火薬を装填する物」と「空気銃のなかでも人の生命に関わる物」が、日本で取りしまわれている「銃」の定義となっています。

→ボウガンは、「火薬を使うわけでもありませんし、空気銃でもないため規制の対象外になっている」ということです。

もしも、「人の生命に危険を及ぼしえる矢」などと記述があれば、規制対象になるかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。

 

これまで、議論されたことはないの?

それでは、法律を作る国会でボウガンを規制対象にすればいいと思いますよね。

実際、10年以上前の平成20年11月14日の衆議員内閣委員会でも、ボウガンの危険性が指摘されていますが、法改正にまでいたっていません。

それどころか、平成25年3月、川崎市宮前区のアパートで、当時19歳の男が母親の頭にボーガンの矢を放つなどして殺害する事件まで発生しています。

そして、2020年6月には宝塚市で4人がボーガンで打たれ死傷されています。

ところで、そもそもボウガンを持ち歩いても問題ないのでしょうか?

 

軽犯罪法には抵触するが・・・

例えば、マイナスドライバーを正当な理由無く所持(車に工具を積むなど)していたとしても、逮捕されることがあります。

これは、「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」により・・・

第三条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、特殊開錠用具を所持してはならない。

このように定められているためです。

→1年以下の懲役または50万円以下の罰金(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第4条、16条)。

 

これは、ドライバーがピッキングなどの「特定開錠用具」として定められているためです。

このように、まさかのドライバー一本とっても厳しく取りしまわれている日本ですが、なぜか日本でボウガンは条例を除けば、軽犯罪法ぐらいしか規定がありません。

ちなみに、正当な理由のないドライバーの所持も軽犯罪法に抵触しますが・・・

 

軽犯罪法第1条

三 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

1日以上30日未満の拘留または、1,000円以上1万円未満の科料(軽犯罪法第1条)。

 

どう考えても、「ドライバー」よりも「ボウガン」の方が殺傷能力が高く、しかも遠く離れた所から狙うことができる武器ですよね。

*ボウガン所持の正当な理由としては、例えば「大会に持参する」などがこれに当たります。

Capri23auto / Pixabay

 

最後に

なんでも規制することは、私は反対です。

ただ、私のようにスポーツ用品ではなく、「すでに何人も死傷させている武器」という認識を持っている人もいるのではないでしょうか?

せめて、免許制にするなど何かしらの制限は必要になるでしょう。

ちなみに、18歳未満は販売できない地域もあるようです。

ただ、規制されたボウガンが使えなくなったとしても、対象外のボウガンが悪用される可能性があります。

どういうことかというと、そもそも「ボウガン」と一言でいっても様々な種類があるためです。

そして、法律で記載がなければそのボウガンは例外になる可能性が高いでしょう。

これは、空気銃の規定にあるように、「人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの」

つまり、値以下なら空気銃(エアガン)も銃刀法違反にはならないということになります。

そのため、例えば「ポンドで制限をかける」ことや「ボウガンの多くが海外輸入品なのでそこに規制をかける」などといった規制の方法が考えられます。

このように、ボウガンの規制はイメージだけではできません。

法律で規制するためには、文字で他の類似する物とはっきりと区別しなくてはいけません。

極端な話し、もしも「矢を発射する物を全て所持禁止」とすれば、日本から「弓道」や「アーチェリー競技」が消えるかもしれません。

そもそも、ボウガンを規制したとしても他の物を悪用する人が出てくるでしょう。

とはいえ、ある程度の距離から狙える殺傷能力の高いボウガンに、これといった規制がないことはおかしいと思いますが・・・

さて、あなたはボウガン規制についてどう考えますか?

 

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