待機児童から除外される!? ~待機児童0人と保留児童~

 

皆さんは、「待機児童」について1度は、テレビのニュースなどで聞いたことがあるのではないでしょうか?

さて、そんな中、待機児童0人を達成している地域があります。

今回は、「どうやって0人を達成したのか、そのサクセスストリーについて」ではなく、「そんな地域で発生している入所保留者」についてご紹介します。

 

そもそも「待機児童」ってなに?

待機児童というのは、「保育施設に入所申請しており、入所の条件を満たしているにも関わらず入所ができない状態にある子ども」のことです。

ただし、以下の児童は待機児童から除外されます。

  1. 企業主導型保育施設・預かり保育幼稚園等の利用者
  2. 育児休業中で復帰の意思のない方
  3. 他に利用可能な保育施設の情報提供が不要な方、もしくは情報提供を行ったが特定保育施設を希望される方
  4. 主に自宅において求職活動をされている方
  5. 現在求職活動を行っていない方
  6. 市役所職員が電話や手紙等で所在を確認した結果、ご連絡が付かなかった方

こういった場合は、待機児童から除外されます。


この定義のもと厚生労働省の発表によると、2019年4月1日時点で待機児童はこのようになっています。

  • 保育所等利用定員は289万人(前年比8万8千人の増加)
  • 保育所等を利用する児童の数268万人(前年比6万5千人の増加)
  • 待機児童数は16,772人(前年比3,123人)

さて、利用定員の方が利用者を20万人以上も上回っていることから、定員だけを見れば供給は十分にまかなえていることになります。

ただ、待機児童数を確認すると1万6千人以上も存在しているため、地域により需要が集中しており供給が追いついていない。逆に、保育所等施設が余っている地域が存在していることになります。

それでは、今回の本題である「待機児童0人の地域」を見ていきましょう。

 

千葉県松戸市は4年連続で「国基準」の待機児童0人!

皆さんは、松戸市が子育て対策に力を入れていることをご存じでしょうか?

  • 小規模保育施設の整備(0~3歳を対象とした定員:6人以上~19人以下の少人数で保育を行う施設)
  • 幼稚園での長時間預かり保育の実施(3~5歳)
  • 送迎保育ステーションの拡充
  • 市内全ての認可保育施設で紙おむつの持ち帰りを廃止(紙おむつは、保護者に持ち帰らせず施設で処理する)

こういったことを実施した結果、平成28年度~平成31年度の4年連続で待機児童は0人を達成しました!


ちなみに、平成31年度の待機児童数のワーストはこのようになっています。

  • ワースト1位:東京都ー3,690人
  • ワースト2位:沖縄件ー1,702人
  • ワースト3位:兵庫県ー1,569人

東京都が、ワースト2位の沖縄と比較しても、2倍以上待機児童が多いことが分かります。ちなみに、千葉県全体で見ると、1,020人の待機児童が存在しています。

このことからも、待機児童0人はすごいことだと言えるでしょう。

確かにすごいことですが、ここで気になる松戸市の報告が併せて公表されています。それは、「入所保留者(実質的待機児童)」です。

 

入所保留者

入所保留者は、「保留児童」とも呼ばれますが、「保育所の入所申し込みをしていて、入所要件には該当しているが、入所保留になっている子ども」のことです。

さらに言えば、先程の除外ケースに当てはまる児童のことです。

 

《松戸市での入所保留者数》

  • 平成28年度・・・143人
  • 平成29年度・・・85人
  • 平成30年度・・・118人
  • 平成31年度・・・210人

→平成30年度と比べると、約2倍に増加しています。

 

《入所保留の理由》

平成31年度の入所保留書の内訳(210人)は、このようになっています。

  • 希望園限定・・・148人
  • 求職状況不明・・・36人
  • 一時預かり保育利用・・・3人
  • その他・・・23人

つまり、先程紹介した待機児童の定義から除外された子ども達です。

 

除外例

  • 二人の子どもがいたとして、毎日の通園を考えれば親としては同じ園を希望しますよね。ですが、特定の園を希望すれば待機児童ではなく、保留児童にカウントされます。
  • 子どもを預けられないために、結果的に求職活動ができないケース。

当然、保育所を利用したかったができず、時間の短い別の保育施設を利用していれば待機児童にはカウントされません。

*先程紹介した、松戸市が実施した「送迎保育ステーションの拡充」がどれだけ重要な項目の一つだったか分かるのではないでしょうか?

このように、さまざまな理由で待機児童数から除外されていくため、待機児童数だけを見てしまうとこんな勘違いが引き起こされていきます。

 

待機児童0人の弊害!

どこの地域であっても、人口が減ってしまえばその地域は衰退していきます。

そのため、「高齢者に優しい!」とか「若者のまち」など、強みをアピールしていきます。選挙でもよく「⚪⚪な町にしていきます!」なんて訴えていますよね・・・

さて、「待機児童0人!」ともなれば、私達のような幼稚園入園前の子育て世代がターゲットになりますよね。

ところが、いざ引っ越して入園申し込みをするとこんな通知が届くかもしれません。

 

「不承諾通知」・「入所保留通知」

呼び方は自治体によって違うようです。

平成28年8月31日に「保育所入所不承諾通知書」→「保育所入所保留通知書」へ名称を変更することが、「厚生労働省雇用均等・児童家庭局長」から各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長へ通知が送られています。

簡単に言えば、「入所申し込みをして、入所要件に該当しているが入所保留になってしまった子どもへ送られる通知」のことです。

つまり、先程紹介した松戸市のように待機児童は0人ですが、入所保留になっている児童が200人以上もいるという数字のマジックが隠されています。

 

最後に

待機児童の人数ばかりに注目していると、足下をすくわれるかもしれません。

どれだけの市町村が、松戸市のように保留児童の人数まで公表しているか分かりません。ただ、どんな地域でも人気の高い保育園はありますよね。

そのため、そもそも待機児童が0人だからといって、その地域のどこでも入園できるわけではありません。

まずは、引っ越し先の市役所への連絡やHPの確認など、その地域の入園状況を確認することをお勧めします。

*待機児童0人を謳えば当然、子育て世代が集まります。そうなれば、待機児童0人ではいられなくなるかもしれません。


参考

厚生労働省:保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)及び「子育て安心プラン」集計結果を公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000176137_00009.html

伊丹市:待機・保留児童数について
http://www.city.itami.lg.jp/SOSIKI/KODOMO/HOIKU/1529471371503.html

 

 

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