謝るだけがクレーム対応じゃない!? 高槻市営バスの取組とは?

 

この記事では「高槻市営バスのクレーム対応」について説明しています。

 

普段、生活をしていると購入した商品が「思った物と違う!」、場合によってはサービスの利用中に「危ない!」って思うことまでありますよね。

例えば、「ネットで注文して届いた物がおもいのほか壊れやすいかった!」とか、「タクシーが信号無視した!」など・・・

このように、商品やサービスなどが満足できるものでなかったり、危険な目に遭ったときにその連絡先が分かった場合、あなたならどうしますか?

おそらく、「クレーム」をいれるのではないでしょうか?

以前の記事でも、クレームについての記事は紹介しましたが、ただやはりそのクレームの合理性は検証する必要があります。

今回は、そんなクレームの中でも「高槻市営バスが実施している証拠による検証」をご紹介します。

 

「クレームとカスハラの違い」については、こちらの記事で紹介しています。

そのクレームは大丈夫? カスハラは犯罪行為になることも!

 

クレームは当然の権利

「クレーム」と一言でいっても、「苦情」と解釈されてしまうとこの記事が間違って解釈されてしまいそうなので、ここでいう「クレーム」は、「正当な権利として要求できるもの」のことです。

→カスハラ(カスタマーハラスメント)のような、嫌がらせとは全くの別物。

例えば、外食に行って暖かいスープが冷たくなっていたら、全く別物の料理になっていますよね。この点を指摘するなら「クレーム」です。

ところが、例えば「注文した料理が食べる気分じゃない!」とお金も払わずに、別の料理に取り替えさせようとすれば、ただの嫌がらせ(カスタマーハラスメント)になるでしょう。


日本では、「クレーム」と一言でいってもさまざま解釈がなされてしまいますが、基本的にクレームは「お店などにとっても改善できればメリットにつながる正当な要求」のことです。

つまり、お客様から意見・苦情があったときは「それが合理的に必要な要求(クレーム)?」なのかを、見極める必要があります。

そもそも、そのクレームの真偽じたいも確認しなくてはいけません。

それでは、高槻市営バスのクレーム対応は、どうやって「クレーム」と「カスハラ」を区別しているのでしょうか?

Free-Photos / Pixabay

 

高槻市営バスのクレーム対応の方法は?

高槻市営バスでは、ホームページで「お客様の声」で月ごとに意見・苦情が公表されています。

つまり、誰もがどんな意見・苦情があったのかを見ることができ、どういった対応をしたかが確認することができます。

特筆すべきは、そのクレームの確認方法です。

「市営バス」ですので、当然ドライブレコーダーが設置されていますよね。

実は、このドライブレコーダーの映像も利用して、当時の状況を視覚的に検証した結果を毎月ホームページで公表されています。

それでは、どんな「苦情・意見」があったのでしょうか?

 

❶見え方の違いで意見・クレームに繋がった事例

『「阪急高槻駅発上成合行き」で、危ない位置にバスが停車し、乗客5~6人を乗車させていた!』というクレームがありました。

→この時、バスはバス停ではなく車線上に止まっていた。後続の車が市営バスの横に迫ってきて、「危ないやないか」との声も聞こえてきた。

 

ドライブレコーダーを確認

確かに、バスがバス停に停車せずに危ない場所で乗客を乗車させていれば「危険だ」と苦情・クレームがきてもおかしくないですよね。

特に、市営バスなので不特定多数の人が見ているため、こんなことをすればクレームがくることも仕方ないでしょう。

ところが、ドライブレコーダーを確認すると「阪急高槻駅6番のりば」に駐車車両があり、停車が難しい状況だったことが分かりました。

そのため、「横へ離れて停車する乗車対応」が行なわれていました。

 

このように、見る人の物理的な視点の違いによってクレームが引き起こされることがあります。つまり、どちらも間違ってはいませんでした。

 

➋バスの危険運転?

「信号が青になり横断歩道を渡ろうとしたところ、突然、市営バスの回送車が曲がってきて轢かれそうになった!」というクレームがありました。

 

ドライブレーダーを確認

ドライブレコーダーの映像より、浦堂交差点を青信号に従い左折した際に横断歩道ではなく、ファミリーマートの出入り口から車道部を横断しようとして歩道に戻った様子が確認されました。

つまり、そもそも横断歩道を渡っていなかったことが証拠として映っていたようです。このように、話しを盛ったクレームもあります。

*とはいえ、全乗務員に対して歩行者の安全確認について改めて強化するように周知される対応がとられている。

LoboStudioHamburg / Pixabay

 

❸ドライブレコーダーが、バス会社の言い訳に使われていない事例

ドライブレコーダーを見れば、その時の状況が分かりますよね。ですが、バスの運転手に問題がある場合もあります。

そんな場合でも、しっかりと状況確認と対策がなされているそんな事例が紹介されていました。

 

「上土室バス停手前の車道左側を自転車で走っていた際、バスと歩道縁石との間で幅寄せされた状態になりクラクションを鳴らされた!」というクレームがありました。

 

ドライブレコーダーを確認

ドライブレコーダーと乗務員への事実確認により、市民・バス利用者への不安・クラクションによる転倒で重大事故になりかねない点が指摘されました。

この事例は、そもそも自転車は基本的に車道を走行することが道交法で定められているため、バス停が近いのであればクラクションではなく、自転車の後ろを追従してバス停に進入することが指導された事例です。

まさに、どちらにとっても利益のある「クレーム」と「クレーム対応」といえるのではないでしょうか?

 

❹乗客とバス会社との軋轢が生まれやすいクレーム

市営バスのため、やはり時間の正確性が求められますよね。そのため、こんな意見・苦情があります。

 

「3つ目の停留所に行くだけなのに、ほぼ2・3分の遅れが毎回生じている。そして、目的地(阪急高槻駅)に到着する頃には10分前後の送れになっていることがしばしばある。」というクレームがありました。

 

この利用者さんの場合は、鉄道との乗り換えがうまくいかないため、こういった意見・苦情につながっています。

そして、「全体のダイヤの見直しが必要では?」という提言もされています。

「乗り換え案内アプリを使用しても、ダイヤに整合できていないため使い物にならない」ことが問題にされている。

→そもそも、法令でバスの早発は禁止されています。つまり、バスは遅れることがあってもダイヤよりも早く出発することはありません。

その上、ご存じの方も多いかもしれませんが阪急高槻駅は渋滞や信号が多く、運行本数も多くなっています。

事実上、時刻設定が難しいバス停です。

ただ、バス会社としても「常に研究をしている」とのことで、今後も改善はされていくのではないでしょうか?

この事例のように、ドライブレコーダーでは解決できないクレームも当然あります。

 

最後に

今回は、高槻市営バスが実施しているドライブレコーダーを使ったクレーム対応の一部をご紹介しました。

クレームがあると、隠してしまったり・言い訳をしようとしたりする場合もあるかもしれません。

ですが、本当のクレームであれば事実を確認して当たり前の対応ができれば、その改善に繋げることができる事例となることが、高槻市営バスの対応から見てとれたのではないでしょうか?

意見・苦情は、自分をよく見せようと思って大げさに言ってしまうこともあるでしょう。

そんな時、映像があれば客観的に当時の状況を知ることができます。

クレーム対応は一長一短にはいきませんが、クリアできれば大きな強みになることは間違いないでしょう。

高槻市営バスのように、「お客様の声」として正直に当時の状況を示して事実確認を行なった上で、その後の対応に答える方法は、謝るだけではないこれからの正しいクレーム対応の1つになるかもしれません。

*正しいクレーム対応は、過剰な謝罪対応を防ぐことにつながる。

 

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