先日、「毛虫」がいなくても毒針毛により皮膚炎になることをお伝えしました。
というのも、毛虫に直接触れなくとも毛虫がもつ毒針毛が風に流されて、衣服などに付着しそれに触れることで皮膚炎になることがあるためです。
それでは、具体的に毛虫の毒により引き起こされる「毛虫皮膚炎」には、どういった症状があるのでしょうか?
今回は、「毛虫に刺されたら・・・」についてご紹介します。
→毛虫については、こちらの記事で紹介しています。
「毛虫皮膚炎」ってなに?
そもそも、毛虫皮膚炎とは毛虫の毒に触れたことで引き起こされる皮膚炎のことです。この「毒に触れる」というところがポイントですので、覚えておいて下さい!
さて、「毛虫の毒」といっても大きく2つに分かれます。
毛虫の毒
毒針毛(どくしんもう)型
- 毛虫の身体を覆っている毛の毒に触れて発症する。
- 症状としては、痒みや赤いブツブツがたくさんでてくることが特徴です。
- 毒針毛をもつ毛虫の代表:「ドクガ」の仲間・他にも「カレハガ」の仲間などがいます。
→例えばチャドクガは、危険を感じるとその毒針を空中に大量に発射して身を守ります。つまり、誰かが側を通っただけで無差別に周囲の人までが、毒針毛の危険にさらされることになります。
*そもそも毒針毛は簡単にはずれるようになっているため、風に流れて洗濯物などに付着して気付かずに服を着ると「ブツブツ」と「痒み」に襲われることになります。
毒棘(どくきょく)型
- 毛虫の身体の表面の棘が刺さって発症する。
- 棘が刺さったところに強い痛みを感じることが特徴です。
- 毒棘をもつ毛虫の代表:「イラガ」の仲間。他にも毒棘をもつ毛虫はいます。
→イラガ類の毒棘に触れると、ピリピリした激しい痛みと発赤が1~2時間で治まります。(翌日に、赤く腫れて痒みが生じることがある)
*このように、毛虫の種類によって毒の形態が違うため「痒い毛虫」・「痛い毛虫」といった違いがあります。
毒針毛により作成した毒液(アレルゲンエキス)による皮内テスト
毒針毛に触れることで全ての人が影響するのかといえば、そうとはいえないことが「医療法人社団 寛仁会 下永谷内科・皮膚科」で説明されていたので紹介します。
毒液で皮内テストを実施!
皮内テストというのは、予測されるアレルゲンや病原体の抗原を皮内に注射することで、炎症反応から皮膚反応から判定する検査。
→陽性(反応あり)・陰性(反応なし)を判定します。
《テスト結果》
- 即時型反応と遅延型反応の両者が出現する人
- 遅延型反応のみに陽性の人
- 無反応の人
さて、植木職人さんからの話でまだ証明されてはいないようですが・・・
植木職人さんといえば庭木の剪定など、毛虫に触れる機会が普通よりも多いですよね。
ところが、毛虫に触れている回数が多いとこの皮膚炎が出現しなくなる傾向があるという話しがあるそうです。
ひどくなることはあるの?
2・3㎜ほどの*紅斑丘診(こうはんきゅうしん)が、主に露出部位に集まっていることが毛虫皮膚炎の特徴です。
- 紅斑:紅色で、指で圧迫すると消えます。一過性の血管拡張によって起こります。
- 丘疹:小さな盛り上がり。
《掻きむしることによる弊害》
強烈な痒みを伴うことが多いですが、掻くと大変なことになる場合があります。
事例:例えば、左上腕に紅斑丘疹ができた場合、どうしても掻いてしまいますよね・・・
40代の女性が、掻きむしっている間に赤みが広がり左上腕全体が晴れ上がった。今回の事例では、それだけでなく、局所の炎症がひどくなりすぎて身体全体にまで赤い発疹が出現しました。
→ここまでひどい状況になると・・・
- ステロイドによる点滴
- 作用の強い外用剤
が必要になります。
この事例では、点滴に3日の通院。2週間程で赤みは茶色(炎症後の色素沈着で正常な反応)に変わりました。
→茶色の色素沈着も数ヶ月で改善。
このように、ひどくなれば完治するまでに長い時間を要する場合があります。
*ちなみに、この痒さは「夜に寝付けなくなることがある」ほどです。寝ている間に、無意識に掻いてしまうでしょう・・・
というわけで、掻きむしる(毒針毛が皮膚の奥に入り込み炎症が悪化する)前に対応をしないといけません。
どんな対処をしたらいいの?
①病院への受診
刺された部位にガムテープを貼り付けて、思いっきりベリッと剥ぐ。
⇊ ⇊
皮膚科へ受診
②洗濯物
着ていた下着や洋服にも毒針毛が付着しているため、すぐに洗濯する必要があります。
とはいえ、毒は「50℃以上のお湯」や「スチームアイロン」をかけるといった熱を加えなければ無毒化できないため、そのまま洗濯にまわしてしまうと他の衣類にまで毒針毛が広がってしまうことがあるようです・・・
そのため、洗濯する前に・・・
- 対象の衣類に掃除機をかける。
- ガムテープやコロコロなどで取り除く。
- 対象の衣類だけで何回か洗う。
といった対処が有効です。
*乾燥機を使えば、毒針毛の毒性を無くすことができます。
最後に
毛虫はどこにでもいます。「洗濯物を干すときに、樹木が近くにあるなら離して干す」などちょっとした工夫で防ぐができることもあります。
とはいえ、毒針毛は目に見えないため素人目には、その発赤の原因がなかなか分からないことが現実です。間違っても、掻きむしってはいけません。まずは皮膚科へ!
毛虫は4月~10月に大量発生しますが、先程の植木職人さんの話でいうと、冬場でも葉の裏などで越冬体制にあるそうです。このことから、植木職人さん達は1年中注意が必要なのだとか・・・
また、子どもは、自分の好きなところに遊びに行きますよね。森や林が近くになくても、植樹はありますよね。
木の上から毛虫がふってくることもあるかもしれません・・・
子ども達におかしな発赤ができていれば、慌てずにできるだけ掻かせないようにして皮膚科へ受診した方が安心ですよ。
参考
日本臨床皮膚科医会
→http://www.jocd.org/disease/disease_02.html
医療法人社団 寛仁会 下永谷内科・皮膚科
→http://shimonagaya.com/kemunpasu.htm
yahoo ニュース!:この季節「毛虫皮膚炎」に要注意~医師に聞く対処法
→https://news.yahoo.co.jp/
1/2mama
→https://www.ha-hunomama.net/2469.html
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