「消毒剤」と「除菌剤」による事故が多発していた!? 引火の危険も・・・

 

新型コロナウイルスの影響により、一時、消毒液がお店の棚から消える事態にまでなりました。(2020年8月29日にマスクや消毒液の転売規制は解除されている)

さて、そんな消毒は本来なら「施設」や「病院」などで徹底されていましたが、いまや一般人にまで当たり前の生活習慣になっているのではないでしょうか?

消毒スプレーなどを持ち歩いている人までいますよね・・・

ただ、そんな除菌剤や消毒剤による事故が増加していたことをご存じでしょうか?

今回は、「除菌剤・消毒剤の誤った使い方が急増していた!?」についてご紹介します。

 

規制解除いついては、こちらの記事で紹介しています。

マスクや消毒液の転売が解禁される!? まだまだ中国産マスクが多い!

 

 

事故が2倍以上に増加?

「除菌剤・消毒剤の事故」と聞いて、あなたはなにを思い浮かべましたか?

私なら、「目に入った?」とか、「間違えて高齢者や子どもが誤飲した?」ぐらいでしょうか。

さて、「どんな事故があったのか?」の前に、本当に事故が2倍以上に増えているのかについて、まずは確認してみましょう。

 

2020年4月に作成された公益財団法⼈⽇本中毒情報センター:除菌剤および消毒⽤エタノールに関する中毒 110 番への相談件数より。

図1 《除菌剤と消毒剤の中毒110番件数》

図1より、「除菌剤」と「消毒剤」の件数を比較すると、消毒剤ではなく除菌剤の事故が多いことが分かります。

そして、問題の事故件数はこのようになっています。

  • 2019年2月⇒除菌剤:57件・消毒剤:22件
  • 2020年2月⇒除菌剤:118件・消毒剤:56件

つまり、2020年は去年の同じ月と比較するとそれぞれ2倍以上も相談件数が増加しています。

→そもそも、あくまでも中毒110番へ相談があった件数ですので、相談がなかった件数も考えるとさらに多くなることは言うまでもありません。

さて、このように「たくさん売れる」と言うことは、事故が引き起こされる可能性も高くなることが理解できたのではないでしょうか?

それでは、どんな事故が引き起こされたのでしょうか?

 

「除菌剤」や「消毒剤」で事故?

公益財団法⼈⽇本中毒情報センターによれば、以下のような事故が報告されています。

問い合わせの中には、不適切な管理や誤った使い⽅による事故が散⾒されます。
ペットボトルに⼊れて保存していた除菌剤や消毒剤を、⽔と間違えて飲んでしまった。
 消毒⽤エタノールと間違えて燃料⽤メタノールを購⼊し、⼿の消毒に使⽤した。
 除菌スプレーと間違えて、カビ取り剤をマスクにスプレーし装着した。

どれも、注意していれば防げた事故だと言えるでしょう。

ただ、例えば「ペットボトルに入れて保存」とありますよね。

以前の記事でも紹介しましたが、実はコロナの影響で消毒液が不足した影響で、自治体などにより消毒液の無料配布が行われていました。

この時に持参する物が「空のペットボトルなど」でした。

ただ、この報告では手に入りにくかった時期に小分けにして譲り受けられていたと指摘されているため、普通に変える現状では、高齢者や子ども達以外は、そこまで心配することはないでしょう。

*ちなみに、注意事項には「冷蔵庫に保管しないこと」までありました・・・

 

消毒液の配布」については、こちらの記事で紹介しています。

食品添加物の「殺菌料」として認められている殺菌剤? 

また、「消毒用エタノール」と「燃料用メタノール」の間違いが指摘されていますよね。

そもそも消毒液は医薬品ですが、これは、「エタノール」と「メタノール」の違いすら知らない人がたくさんいる証拠ともいえるでしょう。

医薬品の誤使用は、命を失う場合もあります。一般人が安全に扱うためには、消毒液1つとっても用法用量を守らないと効果がないどころか、副作用で苦しむことになりかねません。

さて、「メタノール」というのはメチルアルコールのことで、工業用として燃料に使われています。

もしも、メタノールを吸入や誤飲をしてしまえば「吐き気」・「めまい」・「意識障害」・「失明」・「死亡」の危険があります。

ちなみに、エタノールも濃度によって使い方が変わるため、「体のどの部位に、どうやって、どの位の量を使用するのか」確認してから使わないと危険です。

 

「エタノール」については、こちらの記事で紹介しています。

エタノールを間違える!? 精製水で消毒液を作るには?

さて、ここまでは「誤飲」など、間違えて使用した場合に発生した事故についてです。ですが、間違わずにつかった場合でも、こんな事故が懸念されています。

 

消毒液は引火しやすい・・・

今年は、中止になることも多い「花火」ですが、それならばと親としては、こどもに花火で遊ばせようと考える親御さんもいるのではないでしょうか?

ところが、花火による引火がNite(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)で注意喚起されています。

マスコミなどでも連日報道されていましたが、手指の消毒の仕方としては消毒液をたくさん(1回:約3ml)使うことになります。

例えば、子どもは手がアルコールでビシャビシャになったら、手を振ったり・衣類で拭いたりするのではないでしょうか?

そうすれば当然、消毒液は衣類にも付着することになります。

Niteの実験では、着物を着た女の子のマネキンが使われていました。

そして、「手持ち花火に火を付けようとした子どもの着物の袖」にローソクが当たり、アルコールが付着した着物の袖に引火する様子が示されています。

そもそも、消毒液の成分の多くはアルコールです。アルコールが引火しやすいことは、すでに多くの人がご存じかと思います。

→消毒後は、ライターなど火の元に近づかないようにご注意下さい。

 

最後に

消毒剤による事故は、命を落とす危険性があるだけでなく、引火による事故に巻き込まれる可能性まであります。

消毒液は、簡単に手に入るからといって、いいかげんに使っていい物ではありません。

用法用量を守って正しくお使い下さい。

特に、子どもがいつものイタズラ感覚で薬をおもちゃにすることがありますが、イタズラでは済まなくなる影響を受けることがあります。

そのイタズラで、「失明」や「命を失う」危険性まであります。薬は必ず、手の届かない所に保管して下さいね!

医薬品に書かれている注意書きを、改めてしっかりと確認してみて下さい。


参考

板橋区:消毒用「エタノール」と、有害な「メタノール」の違いにご注意ください!
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/tetsuduki/soudan/shohi/1022192.html

 

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