AEDを使うタイミングは? ~心臓と電気ショック~

 

皆さんは、「AED」を使ったことがあるでしょうか?

かくいう私は、施設で働いているときに研修で実践した程度です。

AEDは至る所で目にするようになりましたが、使ったことがある人はそれほど多くないのではないでしょうか?

それでは、AEDはどんな時に使用できるのでしょうか?

今回は、「AEDを使うタイミング」についてご紹介します。

 

AEDってそもそもなに?

AEDは、Automated External Defibrillatorの略です。

  • Automated:自動化された
  • External:体外式の
  • Defibrillator:除細動器

日本語で、「自動体外式除細動器」のことをいいます。

 

3つの機能

  1. 音声ガイダンス機能(音声ガイダンスに従えば、誰でも扱うことができる)
  2. 自動で電気ショックを与える必要があるかどうか(心電図を自動解析して)判断する。
  3. 心臓に電気ショックを与える。

この一連の対応が、だれでも行なうことができる医療機器です。

それでは、どう行った人が対象になるのでしょうか?

 

AEDで救える命とは?

AEDの機能を考えて見ると、分かりやすいかもしれません。

→AEDは、心臓発作などを起こした傷病者の心臓(心室細動と呼ばれる不整脈=心臓の痙攣)により、ポンプ機能を失った心臓に対して電気ショックを与えます。

それでは、心室細動により心臓はどんな状態になっているのでしょうか?

 

心室細動は、心停止の状態!?

心室細動とは、心室が細かく震えるだけで収縮することができない状態です。つまり、心臓から血液を送り出すことができません。

そのため、心室細動は「心停止と同じ」ということになります。

 

心室細動には、どんな症状があるの?

  1. 数秒で意識がなくなる。
  2. 通常は、全身の痙攣発作が短時間起きる。
  3. ぐったりとなり、反応がなくなる。
  4. 心臓が送り出せないため、脳に血液が届かず約5分後には不可逆的な脳障害(血流が再開しても働きが回復しない状態)が生じる。
  5. まもなく死亡します。

*ちなみに、治療は「心肺蘇生」と「発作の予防」しかありません。さらに、心室細動からの回復に成功しても、再び発作を引き起こす危険性が高くなるため、原因となる病気の治療や手術が必要となります。

→突然死の多くは、この心室細動を引き起こしています。

つまり、最低でも5分以内に処置を完了する必要があるため、蘇生するまでに1分1秒を争うことになります。

とはいえ、心室細動を起こしているかどうかなんて素人には分かりませんよね。

だ・か・ら、AEDには心電図を測るための電極パッドが付属しています。傷病者に貼ることで、自動的に心電図を解析してくれます。

Pexels / Pixabay

 

ワンポイント!

「電気ショックは不要です」と支持してきても、倒れている人に反応がなかった場合は、必ず胸骨圧迫(心臓マッサージ)が必要です。

もしも、手や足が動くといった何かしらの反応があればAEDを貼った状態で、救急隊が到着するのを待ちます。

AEDのパッドは外さない!

 

AEDは、大人だけに使えるの?

前回、大人は加齢による不整脈が多くなりますが、子どもにも危険な不整脈があることをご紹介しました。

つまり、子どもが心停止を引き起こすことがあるということです。

それでは、子どもには使うことができないのでしょうか?

 

JRC(日本版)ガイドライン2015より

年齢区分 成人 小児 乳児
通報 反応がないと判断した場合、又は反応があるかどうか迷った場合などには、直ちに大声で助けを求め、119番通報とAEDの搬送を依頼する。
心停止の判断 普段通りの呼吸が見られない場合、又はその判断に自身がもてない場合は心停止と判断する。
胸骨圧迫 深さ 約5㎝沈むまで 胸の厚さの約1/3まで
テンポ 100~120回/分

このガイドラインからも分かるように、AEDはまさに全年齢が使える医療器具です。


心停止の判断は例えば、お腹を確認すれば、目視で呼吸の判断はできますが冬場に厚着をしていたり、そもそも慌ててしまったりと確認できないかもしれません。

そのため、両肩を叩いても意識がなければすぐに119番通報とAEDの搬送を依頼する必要があります。

呼吸がなければ、心臓マッサージを行なう必要があります。

つまり、最低でも3人(救急車を呼ぶ人・AEDを持ってくる人・倒れている人に心臓マッサージをする人)が必要になります。

 

最後に

AEDは、心臓に電気ショックを与えることで正常な状態に戻すための医療器具です。

突然、前を歩いていた人が倒れ込み意識不明になることがあるかもしれません。

外食先で隣の席の人が意識不明になるかもしれません。

生活習慣病や高齢化に伴い、心停止が引き起こされるリスクは年々増加しています。

人ごとではすまない場面に遭遇する可能性は、誰にでもあります。

私のように子育て家庭なら、ないにこしたことはないですが、不慮の事故で子どもにAEDを使う機会があるかもしれません。

一度、AEDの使い方を確認してみてはいかがでしょうか?

→AEDの使い方は、こちらの日本赤十字社の動画から確認してみて下さい。


参考

日本光電のAED情報サイト AEDライフ
https://www.aed-life.com/information/aed/

MSDマニュアル:心室細動
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

東京消防庁:倒れている人を見たら
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/life01-2.html

公益財団法人 日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/check/aed/saido/

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です