先日、子どもが発症する筋ジストロフィーについてご紹介しました。
子どもはいつ病気になるか分からないため、子どもの健康管理は親としては気になる所ではないでしょうか?
これまでも、予防接種や様々な病気についてご紹介してきましたがある程度は、知識としてもっていないとやはり受診のタイミングを逃がすことにもなりかねません。
今回は、「子どもの危険な不整脈」についてご紹介します。
→筋ジストロフィーについてはこちらの記事で紹介しています。
不整脈って大人がなるものじゃないの?
そもそも「不整脈」といえば、一般的には心臓の動き(脈)が不規則な状態だと考えますよね。
医学的には・・・
- 心臓の動きが異常に速すぎる→頻脈性不整脈
- 〃 遅すぎる→徐脈性不整脈
- 異常な動きをする可能性のあるもの→期外収縮(脈がとぶ)
大きく分けると不整脈にはこれら3種類があります。
つまり、一般的には「脈の打ち方(リズム)がおかしくなる=不整脈」となります。
そして、年齢を重ねることで誰もが起こりうるものです。
原因は、ストレスだったり睡眠不足だったりと様々ですが気をつけなくてはいけない不整脈があります。
私の体験
私自身、中学生から不整脈を検診のたびに指摘されてきました。
不整脈が原因かは調べていないのではっきりとは分かりませんが、50M走を全速力で走ろうとすると心臓の鼓動がどんどん異常に速くなりその手前くらいで、手足に力が入らなくなり動けなくなってしまう症状がありました。(30歳になった今でも続いています)
→久しぶりに自治会の運動会で走ったときに、症状が出そうになったので途中で走る速度を落として症状を回避しました。
この症状とは長い付き合いなので、対処の仕方も経験則で対応できるようになりましたが・・・
全力で勝負できないのは、学生ながらに悔しかったことを覚えています。医師からは、特に問題ないとされています。
さて、そんな私ですので子どもに私と同じような症状が遺伝していないか、かなり気になる所ではあります。
それでは、ここからは小児不整脈についてご紹介します。
小児の不整脈は、重大な病気と結びついていることは少ない!
- 心臓の先天性異常
- 失神
- めまい
これらの症状がともなわなければ、基本的に問題はないようです。
つまり、「脈の打ち方がおかしい状態」だけが症状なら、基本的には心配しなくていいということです。
小児不整脈
そもそも、大人と子どもでは不整脈の原因が違います。
心臓は、収縮・拡張を繰り返すことで全身に血液を送り出す正にポンプの役割がありますよね。
そのポンプへの圧力が一定のリズムで行なわれないと「不整脈」となります。
そして、「胎児期~乳児期」または「幼児期以降の小児期」に発生する不整脈のことを小児不整脈と呼びます。
不整脈といえば、成人の場合は加齢により発症することが多くあります。
ですが、子どもの場合は成長によって神経のバランスが崩れたり、生まれつきの病気が引き起こしたり、遺伝子の変異といった様々な理由で発生します。
小児不整脈にはどんな原因があるの?
自律神経のバランスが崩れる
自律神経のおかげで、私達は心身を緊張させる「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」のバランスが保たれています。
例えば、赤ちゃんの時は副交感神経が優位に働いています。ですが、成長するにつれて交感神経がだんだんと優位になっていきます。
この二つの交感神経の関係(優位性)が逆転していくときにバランスを崩してしまうと、小児不整脈を生じます。
先天性心疾患による小児不整脈
生まれつき心臓に病気を持っている先天性心疾患の場合は、頻脈・徐脈・期外収縮を引き起こすことがあります。
また、先天性心疾患の術後に*房室ブロックなどの不整脈を発症することもあります。
*房室ブロック→心臓から心室への電気の伝わりが阻害される病気。
→生まれつき心臓に病気を持っている場合は、術後も注意が必要となるため長期間の経過観察が必要になります。
WPW症候群(Wolf-Parkinson-White syndrome)
心臓は、一定のリズムで電気刺激を作る組織(洞結節:どうけっせつ)により、電気信号が発生しそれが心房と心室に伝わることで、心臓は収縮と拡張を繰り返すことができます。
ところが、この電気信号を送る伝導路の他に、別の伝導路(副伝導路)がある病気のことをWPW症候群と呼びます。
ただし、生涯、問題になることがないのが普通です。
- 女性の場合は、出産時に命の危険はないが障害になることはある。
- 高齢になると、頻脈を生じ心不全の状態になることもある。
→もし、WPW症候群により頻脈発作を起こすようなことがあれば、そのときに簡単な手術(副伝導路を焼き切る)という方法もあります。
それでは、危険な不整脈にはどういったものがあるのでしょうか?
危険な不整脈!
遺伝子異常により発生する不整脈があります。
QT延長症候群
心電図の波形は、主にP波・Q波・R波・S波・T波の5つの波からできています。この内、Q波の始まりからT波の終わりまでをQTと呼びます。
さて、QT延長症候群は、この心電図の波形でQT時間が延長されることで診断されます。さらに、先天性QT延長症候群の場合は遺伝性の病気で性別に関係なく50%の確立で遺伝します。
なにがそんなに怖いの?
頻度の低い不整脈ですが、心室頻拍や心室細動が出現し失神・突然死を引き起こすことがあります。ただし、発作が必ずしも起きるわけではなく発作がなければ特別な治療も必要ありません。
- 睡眠不足
- 過労
- 運動時の睡眠不足
- 塩分補給不足
- 水泳中(特に潜水)
このような時に、発作が誘引されることが多いため注意する必要があります。
→遺伝子型で14タイプあり、それぞれのタイプで症状の出現が異なるためそれぞれのタイプに合わせた治療が実践されています。
最後に
小児不整脈の多くは、学校で実施される健康診断・学校心臓検診だけでなく、予防接種の時に心臓の音を聞くことで見つかるケースもあるようです。
不整脈には、様々なタイプがあります。そして、多くの場合は「期外収縮」のようにそれほど心配する必要がない、小児不整脈であることがほとんどです。
ただ、命に関わるかもしれない不整脈もあるため、早期発見につなげるためにも学校で実施される健康診断や予防接種は、子ども達に必ず受けさせて下さいね!
参考
社会福祉法人恩賜財団済生会
→https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/child_arrhythmia/
徳洲会グループ
→https://www.tokushukai.or.jp/treatment/pediatrics/fuseimyaku.php
OMRON:vol.35
→https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/qa/35.html
公益財団法人 日本心臓財団
→https://www.jhf.or.jp/check/opinion/1-4/wpw.html
Medicai Note:小児不整脈の種類と原因
→https://medicalnote.jp/contents/180725-005-MN
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