皆さんは、子ども達を外で遊ばせていますか?
現実問題として退屈してしまうため1日中、子どもを家にずっといさせることはほぼ不可能なんですが・・・
さて、いざ子ども達を外で遊ばせようとすると気になるのは、紫外線ではないでしょうか?
今回は、「紫外線が子どもに与える想定外な影響」についてご紹介します。
→紫外線については、こちらの記事で紹介しています。
子どもと大人では紫外線の影響が違うの?
前回、紫外線は遺伝子を損傷させてしまうため無策で外にいる(太陽光を浴びる)ことは危険。ですが、紫外線対策をしすぎて太陽光を浴びないことも危険です。
つまり、太陽光を「浴びすぎても」・「浴びなさすぎても」病気になることをお伝えしました。
さて、母子手帳から「日光浴」という言葉が消え「外気浴」となり、環境省から2002年6月「紫外線保健指導マニュアル」が発行されました。(2015年3月に改訂)
*日本での紫外線対策については、15年以上前から国策として取り組まれています。
赤ちゃんへの影響
赤ちゃんは、大人と比べて皮膚が薄いため紫外線による悪影響を受けやすいため長時間、強い日光を浴びることは避ける必要があります。
世界保健機関(WHO)によると、子どもは大人よりも紫外線に受けやすいとされています。
皮膚や目、免疫システムに悪影響を及ぼし、その影響の強さは子ども時代に浴びた紫外線量に関連していることが多くの疫学調査から分かってきています。
*子ども達の紫外線対策が世界的に注目されています。
紫外線の具体的な「皮膚」への影響
急性傷害
太陽に当たって、すぐに見られる皮膚への影響。
*サンバーン:肌が赤くなるヤケドのような日焼け(主な原因はUV-B)
*サンターン:肌が黒くなる日焼け(主な原因はUV-A)
①紫外線で皮膚に炎症が発生
⇊ ⇊
②真っ赤で痛い日焼け(サンバーン)
- 日光に当たってから数時間後から赤くヒリヒリした炎症
- 8~24時間でピーク
- 2~3日で消える(当たりすぎると水ぶくれになり皮膚がめくれる)
⇊ ⇊
③サンタンは、急性反応の結果として日光に当たって数日してから現れる
- 数週間~数ヶ月続く
慢性傷害
長年日光を浴び続ける
- 皮膚のシミ・しわ
- 陽性・悪性の腫瘍
他にも、目への影響(角膜炎や白内障など)様々な影響があります。
UVインデックス
「UVインデックス」ってなに?
UVインデックスとは、「オゾン層破壊」によって地上に到着する紫外線が到着する紫外線が増加していることから、WHOが紫外線を表わす指数として推奨しています。
→気象庁でも、このUVインデックスが使われています。
11+(以上) | 極端に強い | 日中の外出はできるだけ控える。 必ず長袖シャツ・日焼け止め・帽子を利用する。 |
8~10 | 非常に強い | |
6~7 | 強い | 日中はできるだけ日陰を利用する。 出来るだけ長袖シャツ・日焼け止め・帽子を利用する。 |
3~5 | 中程度 | |
1~2 | 弱い | 安心して戸外で過ごせる。 |
気象庁の紫外線情報を確認することができます。
月別のUVインデックス
ちなみに、東京の月別UVインデックスは・・・
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
2 | 4 | 5 | 8 | 9 | 9 | 10 | 9 | 7 | 4 | 2 | 2 |
4月~9月が高い数値になっています。
つまり、1年の半分は「紫外線が強い」以上であることが分かります。
紫外線が最も強いと言われるオーストラリアでも、シドニーは日本と同じように1年の半分が高い数値になっています。
ところが、同じオーストラリアでも「ダーウィン」という地域では、UVインデックスは比べものになりません。
オーストラリア:ダーウィンの月別UVインデックス
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
12 | 13 | 12 | 10 | 8 | 8 | 8 | 10 | 11 | 13 | 12 | 12 |
*1年の半分が12以上(最低でも「8」)と、まさに異常な数値になっています。
子ども達にはどんな対応が必要?
特に子どもは、部活や授業などで炎天下にさらされる機会が多々あります。そもそも、10代後半までに一生に浴びる紫外線の半分近くを浴びてしまうと言われるほどです。
さらにいえば、紫外線の影響は20年後~30年後に起こります。
つまり、子どもが過度に紫外線にさらされる行為は将来にわたってその子の人生に影響を与えてしまうことが分かります。
それでは、紫外線がもっとも強いと言われるオーストラリアは、どういった対策がなされているのでしょうか?
オーストラリアの対策
オーストラリアでは、紫外線による健康被害に向け1980年代に「サン・スマート(Sun Smart )」プログラムが導入されました。
特に、子どもへの徹底的な紫外線予防指導「スリップ・スロップ・スラップ・ラップ(Slip・Slop・Slap・Wrap)」というスローガンを合い言葉に対策がとられています。
これは、子どもたちが屋外へ出るときに守るべきスローガン!
- 長袖のシャツを着よう!(Slip on a long sleeved shirt!)
- 日焼け止めを塗ろう!(Slop on some sunblock!)
- 帽子をかぶろう!(Slap on a hat that will shade your neck!)
- サングラスをかけよう!(Wrap on some sunglasses!)
オーストラリアの紫外線対策は、世界で最も歴史が古く「紫外線の害を予防しよう」という考え方が国民の間に広く浸透しています。
様々な政策・・・
- 帽子をかぶらない子どもが校庭で遊ぶことを禁じている学校が少なくない。(戸外活動授業でさえ禁止されている)
- 日光の当たる身体部分にはすべて日焼け止めを塗ることを義務づけ。(各クラスに塗り薬が常備)
- 子どもは、先生や大人を見習い、真似をする中で学ぶことが多い(学校では、先生が家では親が良い手本を示す)
具体的には・・・
①衣類
- オーストラリアの衣服には、紫外線保護指数UPF(Ultraviolet Protection Factor)基準が設けられています。
- UPF:15以上がよいとされ(最高50+)、水着はUPF:50+がお勧めです。
*UPFの数値は、衣服が太陽の紫外線を遮断する効果を数値化したもの。
②帽子
- 屋外では、8~10㎝(小さい子どもは6cm)程度のつばのある帽子をかぶる。
- スポーツや動き回る子どもは、つばが邪魔になるため横と後ろのおおい部分が長くなっているタイプの帽子を使用する。
③サングラス
- オーストラリア国内で販売されているサングラスは、厳しい消費者規定(AS 1067)をクリアし95%以上紫外線をブロックするものでなければなりません。
- 普段、眼鏡をかける人は「紫外線防止フィルムを眼鏡に付ける」か「度付きサングラス」の利用が望ましい。
④日焼け止め
- 最低SPF15(出来れば「30」のもの)。
- 赤ちゃんにも、刺激のない子ども用の日焼け止めクリームは適切な衣類等で覆われていない部分塗布する。
- 原則、多めに塗布しますがきっちり隙間なく塗布する。ただ、皮膚に薄い膜が出来るくらい残す。(肌には刷り込まない)
- 浸透時間がかかるため、屋外にでる最低20分前に塗布する。
- 2時間毎に塗り直し、泳いだり運動したりした場合にもすぐに塗り直す。
- 学校に行くときに、持たせることが望ましい。
その他
- ポリエステル・綿の混紡・綿100%の衣類→紫外線被害 :95%防ぐ。
- サングラスと帽子を両方着用 →目に届く紫外線:98%カット。
- 日焼け止めのSPF(Sun Protection Factor)は、人体に悪影響を及ぼすUVB防御効果度を表わしオーストラリアでは最大数値が「30」と制限されている。
*SPFは、日本では上限が設定されておらず、そもそもSPFの設定数値は各国独自のものであるため、数値が高いからといって紫外線カット効果が高いとは限らない。
このように、紫外線対策はオーストラリアでは徹底されており、なにより効果的な対策が出来ることは今後の日本にとっても力強い味方だといえるでしょう。
最後に
日本では、子どもよりも大人の方が紫外線対策に意欲があるような状態ではないでしょうか。
少なくとも、紫外線が強い季節・時間帯になんの対策もしないことは論外です。とはいえ、日本ではまだまだオーストラリアのような取組みは難しいでしょう。
ただ、日本の紫外線も年々高くなっています(既に、紫外線が「非常に強い」季節が1年の間に5ヶ月もある)。
特に、4月~9月は子どもと外に出るときは「気象庁の紫外線数値」を確認してから外出してみてはいかがでしょうか?
参考
紫外線環境保健マニュアル2015
→https://www.env.go.jp/chemi/kenkou.html
日本小児皮膚科学会
→http://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html
ネスノオンライン:紫外線のことを知ろう
→http://nesno.net/ec_uv_sp04/
在日オーストラリア大使館
→https://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/aust_sunsmart.html
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