進む新型コロナウイルス対策~クラスター感染と積極的疫学調査で私達に与える影響は?~

 

新型コロナウイルスの拡大により、政府は「クラスター感染対策」を打ち出し実施しています。

では、この「クラスター」ってなんのことかご存じでしょうか?

今回は、「なぜクラスター感染対策が必要なのか?」についてご紹介します。

 

「クラスター」ってそもそもなに?

そもそも、「クラスター」というのは「集団」のことです。

新型コロナウイルスの感染拡大の原因として、バスの乗客や屋形船にいた集団(クラスター)が感染したことから、集団感染するイメージができてしまいました。→集団感染=「クラスター感染」と呼ばれます。

なぜ、「集団」といわず「クラスター」という言葉に言い直しているのかは不明ですが、政府発表ですので、このままクラスターの説明をしながら続けていきます。

クラスター=集団

 

集団(クラスター)感染は感染者の約2割で発生!?

さて、そんな新型コロナウイルスですが、実は日本国内で感染が明らかになった人の約8割は他の人に感染させていないことが明らかとなっています。

ところが・・・

  1. スポーツジム
  2. 屋形船
  3. ビュッフェスタイルの会食
  4. 雀荘(料金を払って麻雀を遊戯できる場所)
  5. スキーのゲストハウス
  6. 密閉された仮設テント

つまり、「換気が悪い」・「人が密に集まって過ごすような空間」・「不特定多数の人が接触する恐れが高い場所」など、「濃厚接触+空気の循環が少ない環境」では、小規模患者クラスターが発生しています。

→小規模患者クラスターとは、「小規模な患者の集団」のことで感染経路が追えている数人~数十人規模の患者の集団のこと。

こういった理由から、新型コロナウイルスは環境により感染力が大きく変化することが分かってきたため、こういった密閉空間に集まることを避けるように注意喚起がなされるようになりました。

*例えば、カラオケボックスなども含まれます。

つまり、小規模なクラスター感染を増加させないための注意喚起が政府から出されている状態です。

それでは、なぜ「小規模なクラスター感染」が危険視されているのでしょうか?

 

小規模なクラスター感染を防ぐ意味ってなに?

患者クラスター(患者集団)と呼ばれる、連続的に集団発生を起こし感染連鎖が継続されてしまう場合、それが大規模な集団発生(メガクラスター)につながりかねないことになります。

つまり、感染拡大の原因となるクラスター対策のために、政府はこのような方法を示しています。

❶患者クラスター発生の発見

→医師の届出等から集団発生を早期に把握

 

➋感染源・感染経路の探索

積極的疫学調査を実施し、感染源等を同定(同一であることを見極めること)

 

❸感染拡大防止対策の実施

  • 濃厚接触者に対する健康観察
  • 外出自粛の要請

など、関係する施設の休業やイベントの自粛等の要請など。まさに、現在実施されていることですね。

さて、ここで気になるのは「積極的疫学調査」についてではないでしょうか?

なぜなら、「調査対象になる!」ということは隔離されることとほぼ同義になるかもしれないからです。それでは、積極的疫学調査の対象者について見ていきましょう。

 

積極的疫学調査の対象になったらどうなるの?

積極的疫学調査の対象となるのは、患者(確定例)はもちろんですが、その患者さんに接した「濃厚接触者と考えられる人」も該当します。

例えば、同居家族については「一般的な健康観察」や「行動自粛の要請」等が実施されます。

ただし、その他の調査対象となった濃厚接触者に対しては最終暴露から14日間、健康状態に注意を払い、発熱や呼吸器症状、倦怠感等が現れた場合、医療機関受診前に保健所へ連絡するようにお願いされることになります。

そして、発熱や呼吸器症状が現れた濃厚接触者が初めて、検査(PCR検査)対象者として扱われることになリます。

 

「PCR検査」については、こちらの記事で紹介しています。

PCR検査は万能検査? 検査が進んでも感染予防になるとは限らない!?

 

濃厚接触者とその他の感染が疑われる人達との違い!

濃厚接触者の対応が、その他の感染が疑われる人と大きく違うところは、新型コロナウイルスの1つの判断基準である「体温が37.5℃以上あるかどうか」という指針にこだわることなく、検査の必要性については医師の判断が優先されることです。

 

→「新型コロナウイルスの判断基準」については、こちらの記事で紹介しています。

新型コロナに感染したら? まずは「帰国者・接触者相談センター」へ連絡!


つまり、逆に言えば健康観察期間中である無症状の濃厚接触者は、基本的に新型コロナウイルスの検査対象にはならないということになります。

「基本的に」というのは、濃厚接触者が医療従事者など、ハイリスクのある者に接する機会の業務に従事し、検査が必要と考える場合は、検査対象となるためです。

上記のような例外を除いて、自宅待機など周囲への感染伝播のリスクを低減させる対策をとった上で、健康観察が行われることになります。

→検査がされにくい理由は、「感染者数を少しでも少なく見せたいから」という陰謀論もありますが・・・

そもそも、無症状者の場合は、濃厚接触により感染していたとしても、どのタイミングで検出できるかは不明。そのため、検査が陰性だったとしても、感染を否定することにはならない。

つまり、検査をしてもあまり意味がないためです。

 

最後に

政府の対策は、「小規模な集団(クラスター)感染が頻発することで、感染症は拡大していくため、それを防ぐための対応を実施していく。」

これが、2020年3月6日時点での政府の方針です。

このことは、2020年2月25日「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」でも示されています。同時に、「新型コロナウイルス クラスター対策班」も設置されています。

国の政策は、どんどん大規模なものになりつつありますが、現在、中国のような強制的な封鎖などはなく、私達は普通に買い物にも行ける状態です。

政府の対応が遅いことは確かに指摘されることではあります。

ただ、新型コロナウイルス以外の理由(物資が届かないことによる餓死など)で命を落とすようなことは今のところなさそうです。

もちろん不便なことはありますが、そういう意味では「海外ではなく、日本に住んでいてよかった」と思う今日この頃です。

良くも悪くも、そもそも日本は、海に囲まれている(すでに隔離されている)ことが一番大きく影響していると言えるでしょう。

今後の日本政府の対応が注目されています。


参考

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#sankou

 

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