石鹸は除菌が基本! 石鹸の弱点とは?

 

外から帰ったら手を洗いますよね?

そもそも、新型コロナウイルスに関係なく、1年中なにかしらの感染症にかかる可能性があります。

特に、寒い季節は「インフルエンザ」や「ノロウイルス」など、様々な感染症の危険にさらされています。

そのため、よく「手洗い・うがいをしましょう!」と言われますよね。私も感染症関連の記事をいくつか書いていますので、その中で当たり前のように注意喚起しています。

かくいう私は、手洗いうがいは欠かしませんが、残念ながら年末年始になると毎年体調を崩してしまい、病院へ行くことがすでに年中行事のような有様になっています。

→「手洗い・うがいをすれば完璧ではない。」そんなことを身に染みている今日この頃です・・・

さて、今回はそんな「手洗いに必須の石鹸についての勘違い」についてご紹介します。

 

石鹸は殺菌作用があるの?

よくある勘違いの1つとして、石鹸に「殺菌作用がある」と勘違いしている人はいませんか?

と、こんなことを書くとたくさんの会社を敵にまわしてしまいそうなのですが・・・

実際、殺菌作用がある石鹸として例えば「薬用石鹸」という物があります。まさしく、「肌の殺菌消毒を目的にした物」「肌荒れ防止を目的にした物」の2種類があります。

さて、この薬用石鹸の肌の殺菌や除菌のために「ベンザルコニウム塩(「逆性石鹸」と呼ばれる陽イオン界面活性剤)」「トリクロサン」などが殺菌剤として配合されています。

ですが、実は2016年9月2日にアメリカのFDA(米国食品医薬品局)が、トリクロサロン等19成分を含有する抗菌石鹸を米国で1年以内に販売を停止する措置を発表しました。

これを踏まえて、厚生労働省も「トリクロサン等を含む薬用石けんの切替えを促します」という内容でこのように発表しています。

厚生労働省としても、この切替えの取組みを促すため、別添のとおり、製造販売業者に対して、流通する製品の把握と、製品を1年以内に代替製品に切替えるための承認申請を求めるとともに、その際の承認審査を迅速に行うことを通知しました。

と言うことで、殺菌作用についてはグレーゾーンだと考えられます。

もしも、確実な殺菌作用を期待するのなら、手を洗った後にアルコールなどの消毒液を使った方が確実だと言えるでしょう。

*ちなみに、薬事法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第2条の3では、「化粧品」はこのように定義されています。

「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」

つまり、シャンプーだけでなく石鹸も実は「化粧品」にあたります。

→付け加えると、先程紹介した薬用石鹸は、「人体に対する作用が緩和な物」に当たります。そして、一定の効能を謳っているため「医薬部外品」となります。

それでは、なぜ手を洗うときは「石鹸」や「ハンドソープ」などを使うのでしょうか?

 

殺菌と除菌

そもそも、手を洗う理由は手に付いた「汚れ」を取り除くためですよね。

さて、この汚れは目に見える汚れもそうですがそれ以上に、細菌やウイルスなど目に見えない汚れをなくすことにあります。

それでは、この目に見えない細菌やウイルスから体を守るためには、どうすればいいと思いますか?

  1. 殺菌・・・病原性や有害性を有する糸状菌・細菌・ウイルスなどの微生物を死滅させる。
  2. 除菌・・・対象物から菌を減らす。(殺さなくても、取りのぞければいい)

このように、そもそも「有害な菌を殺してしまう方法」とできる限り「減らす方法」があります。

例えば、消毒は「殺菌」という方法を利用するため、感染源を殺してしまうことになります。ですが、除菌はあくまでも菌を減らすためにおこないます。

この「除菌」が、手洗いの基本的な効果です。さらにいえば、石鹸の泡が除菌効果を上げるポイントになります、

 

~ワンポイントアドアイス~

少しややこしい話しをすると、「殺菌」と「滅菌」は違います。

  • 「殺菌」は、先程紹介したようにあくまでも病原性や有害毒を有する微生物を死滅されることです。
  • 「滅菌」は、有害・無害を問わず増殖性があるあらゆる微生物を完全に殺菌や除去することをいいます。

→実は「殺菌」は、「消毒」と「滅菌」に分類することができます。そして、「消毒」が病原性の細菌をターゲットにしています。

*ちなみに、「抗菌」は増殖を防ぐ。「除菌」は菌を取り除くことをいうため、どちらも「菌を殺す」という意味にはなりません。

 

そもそも「手を洗う行為」じたいが除菌!

除菌は、「対象物から菌を取り除いて減らすこと」をいいます。

つまり、手を水で洗うことで菌を取り除ければ、それはもう除菌していることになります。とはいえ、流水で流すだけでは不安ですよね・・・

そこで石鹸などを付けて手を洗います。

それでは、石鹸の特徴について見ていきましょう!

 

石鹸の洗浄力には濃度が必要!

水などにより一定以上の濃度が下がってしまうと、簡単に界面活性作用(油脂と水を合せる力)が失われてしいます。

逆に言えば、石鹸は「水で簡単に洗い流すことができる!」ということになります。

例えば、体を石鹸で洗った場合、それ以上皮脂を取ることがありません。(皮膚科医が石鹸を進める理由の1つ)

つまり、すぐに洗浄力を失うため「肌」にも「環境」にも優しいものそれが、石鹸です。


さて、そんな石鹸ですが十分な洗浄力があるかどうかを知るためには泡立ちを見れば分かります。

水が多ければ濃度が低く泡立たない。そもそも、石鹸の濃度が低くても泡立たない。さらに、冷水では溶けにくいため泡立たない。

ちなみに、石鹸はアルカリ性のため、酸性(ポン酢などの酸味のものなど)には弱いため中和されて洗浄力がなくなってしまいます。

さらにいえば、ミネラルにも弱いため地域によってはミネラルが豊富な水を使っている場合、石鹸の洗浄力が期待できない場合もあります。→ココナッツ石鹸(ヤシ油石鹸)を使用するなどして対策する。

このように、石鹸が泡立つ環境を作ることが大切です。

 

泡の効果とは?

そもそも、石鹸の泡には個体の表面に付いた粒子を吸い取って包み込む性質があります。

例えば、汚れが付着すると、汚れは泡の方に移動します。そして、泡の中に閉じ込められた汚れは水ですすぐことでキレイに洗い流されます。

逆に、「すすぎ洗い」ではなく「ため洗い」をしてしまうと、せっかく包み込まれた汚れが石鹸の濃度不足で洗浄力を失い、泡から解放されてまた付着してしまうことになります。

そのため、子どもの手洗いも「すすぎ洗い」を徹底する必要があります。

界面活性作用(泡立ち)がある内に、しっかり泡立たせてすすぎ洗いをしましょう!

それでは最後に、日本看護研究学会雑誌で紹介されている「除菌効果からみた臨床現場における効果的な 「石鹸と流水による手洗い」 の検討」についてご紹介します。

 

石鹸と流水の効果的な手洗いとは?

ポイント!

  1. 石鹸泡立て時間
  2. 流水すすぎ時間
  3. 手拭き乾燥方法

この3つについて、種々に設定した除菌効果が検討されました。

 

実験!

❶流水時間を15秒間実施した場合

  • 石鹸泡立て時間:8秒間
  •   〃    :15秒間

手洗いによる有意な細菌数の現象を認めた。ですが、30秒間では現象が見られませんでした。

 

➋石鹸泡立て時間を15秒間

  • 流水すすぎ時間:15秒間
  •    〃   :30秒間
  •    〃   :60秒間

どの手洗いでも細菌数の有意な現象を認め、60秒間流水によりすすいだ方が除菌効果が最も高かった。

 

❸タオルの使用

  • ペーパータオルは、2枚以上で除菌効果があった。(1枚では除菌効果が認められなかった)

→特に、3枚使用した場合が最も除菌効果があった。

  • 布タオルの連続使用では、タオルに付着した細菌数は漸次増加し、手洗いによる除菌効果は一人目のみ。

 

結論!

石鹸と流水を使った手洗いをする場合は・・・

  1. 石鹸の泡立てを8~15秒
  2. 泡と共に、存在する細菌を時間をかけて十分に洗い流す。
  3. 布タオルは使用せずに、ペーパータオルを2枚以上。できれば、3枚使用する。

このように結論づけられています。

みんなが実践すると、今度は、ペーパータオルが棚からなくなるかもしれませんね・・・

経済的にも、かなりしんどいので個人的にはあまり現実的ではありません。ただ、新型コロナウイルスが重症化する危険性がある人と生活を共にしているのなら、実践してみるのもいいかもしれませんね。

 

最後に

今回は、あくまでも「石鹸の正しい使い方」を紹介するための記事です。

そのため、実践したからといって「新型コロナウイルスなど感染症にかからない」という保障はどこにもありません。

そもそも、どんなに手を洗ったとしてもパソコンやスマホといった物に触るなど、手洗いが終わった瞬間からいつ細菌やウイルスなどが付着してもおかしくない状況になります。

これは、私達の身の回りは細菌やウイルスが当たり前のようにあるためです。

そもそも、私達自身「常在菌が体を守ってくれている」という関係性があります。毎年、体調を崩してしまっている私がいうのもおかしな話しかもしれませんが、少なくとも約1年間は健康で過ごせています。

消毒ばかりでなく、暴飲暴食はしない・寝ながらスマホをしないなど、健康的な体作りを意識してみてはいかがでしょうか?


参考

石鹸百科:知っておきたい石鹸生活の基礎知識
https://www.live-science.com/honkan/basic/

静岡県公式ホームページ
http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-530/yakujisidou/mayaku/kesyou-yunyuhajimete.html

諒設計アーキテクトラーニング:こんなに重要だった!石鹸の泡立ちと洗浄力の関係
https://www.designlearn.co.jp/

 

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