「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が改正された!?

 

皆さんは、新型コロナウイルスに対する法整備が進んでいることをご存じでしょうか?

実は、第201回通常国会(2020年3月10日)で、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案」提出されました。

そして、2020年3月13日には可決成立し、翌日(3月14日)からすでに施行されています。

今回は、「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」についてご紹介します。

 

改正新型インフルエンザ等対策特別措置法?

そもそも「特別措置法」ってなに?

「特別措置法」というのは、緊急事態などに際して現行の法制度では対応できない場合に、期間や目的などを限って集中的に対処する目的で制定される法律のことで、「特措法」と略されます。

つまり、今回の「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」も、「限定的」で「特別」な法律ということになります。(以下、長いので「改正特措法」で統一)

内閣法制局によると、改正特措法の提出理由は、このようになっています。

新型コロナウイルス感染症の発生及びそのまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えることが懸念される状況に鑑み、この法律の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する新型インフルエンザ等とみなし、同法に基づく措置を実施する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

つまり、最長でも2年間まで有効な法律です。

さて、そもそも改正特措法は、当時中華人民共和国で鳥インフルエンザ(H7N9亜型)の感染拡大により2013年4月に閣議設定・施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」がもとになっています。

それが、今回『「改正特措法」として施行された!』ということになります。つまり、大枠はすでにできているということです。

実際、改正案ではこのようになっています。

第一条の二 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウ(新設)イルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。

と、改正特措法は新型コロナウイルスのみに限定されています。

前項の場合におけるこの法律の規定の適用については、第十四条中「とき」とあるのは、「とき(新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。)にあっては、そのまん延のおそれが高いと認めるとき)」とする。

さらに、改正特措法が適用される場合は、上記のように「まん延のおそれが高いとき」に限られます。

そういう意味では、3月24日に17人と2日連続で感染者が東京都で見られていたため、緊急事態宣言が適用されるかどうかに注目が集まるなど、すでにそういった段階まできています。

それでは、実際に「改正特措法」が適用された場合、どうなるのでしょうか?

 

改正特措法が適用されてどうなった?

政府対策本部の設置

特措法第15条に基づき

当該報告に係る新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合の病状の程度に比しておおむね同程度以下であると認められる場合を除き、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第四項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣に新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)を設置する

この政府対策本部が設置されることで、「各都道府県知事も、特措法に基づく都道府県対策本部を直ちに設置すること」となっています。

また、特措法に基づく基本的対処方針が策定されていきます。

→政府対策本部は、2020年3月26日に設置

 

行動計画等の作成

  • 国・地方公共団体の行動計画の作成
  • 指定公共機関(電力・ガス・医療・輸送等を含む法人)の指定・業務計画の作成

例えば、広島県の行動計画はこのような骨子案が示されています。

 

《広島県の場合》

~目的~

1.感染拡大を可能な限り抑制し、県民の生命および健康を保護する。

  • 流行のピークを遅らせ、医療体制の整備のための時間を確保。
  • ピーク時の患者数を少なくして医療体制への負荷を軽減し強化を図ることで、患者数等が医療提供のキャパシティを越えないようにする。
  • 適切な医療の提供により、重症者数や死亡者数を減らす。

 

2.県民生活及び県民経済に及ぼす影響が最小となるようにする。

  • 事業継続計画の作成・実施等により、医療の提供の業務または県民生活及び県民救済の安定に寄与する業務の維持に務める。

つまり、「医療と経済の崩壊」を食い止めるための行動計画という事ができます。

具体的には、施設利用の制限や感染対策などを県民や事業者等に適宜呼びかけていくことや水際対策などが講じられることが示されています。

このように、改正特措法が施行されたことで、法的に新型コロナウイルス対策が進められていっています。

それでは、最後に気になる罰則について見ていきましょう。

 

「罰則」はあるの?

改正される前の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」では、罰則がこのように定められています。

第七十六条 第五十五条第三項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第四項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第七十七条 第七十二条第一項若しくは第二項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第七十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

しっかりと、罰則もありますのでご注意下さい。

 

最後に

改正のポイントは・・・

  • 新型コロナウイルス感染症を、「新型インフルエンザ等」とみなして特措法が適用されている。
  • 国・都道府県・市町村がすでに定めている新型インフルエンザ等対策行動計画は、新型コロナウイルス感染症対策行動計画としても定められたものとしてみなされる。

つまり、「新型コロナウイルス対策」がそのまま以前の「新型インフルエンザ対策」に適用されていることになります。


確かに、「新型インフルエンザ」と「新型コロナウイルス」は、どちらもウイルスによる感染症です。ただ、症状は大きく違いますし、まだまだ未知の部分が多くあります。

  1. 今後、それぞれがどういった行動計画で進めていくのか?
  2. そして、「緊急事態宣言」も視野に入れて改正されているため今後どうなるのか?

実際、東京都で感染拡大が引き起こされており、緊急事態宣言が適用されるかどうかに注目が集まるなど、すでにそういった段階まできています。

私達に直接関係してくることなので、今後も注目していきたいと思います。なによりも、「改正特措法」が施行されたことは、大きな一歩だと言えるのではないでしょうか。


参考

首相官邸:新型コロナウイルス感染症対策本部(第23回)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202003/26corona.html

ニッセイ基礎研究所:新型コロナ緊急事態宣言の前に-改正新型インフルエンザ等特措法を正しく理解する―緊急事態宣言と法との関係―
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=63978?site=nli

 

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