皆さんは、「摂食障害」という病気を聞いたことがあるでしょうか?
摂食障害は、拒食症(食時を摂りたがらない)や過食症(極端に大量の食べ物を摂る)に大別できます。
性別問わず、誰がなってもおかしくありません。
今回は、「見過ごすと危険な子どもの摂食障害」についてご紹介します。
そもそも食べないとなにが起こるの?
食べないということは、当然「やせ」ていきます。
それでは、「やせ」の定義をご存じでしょうか?
肥満度=(実際の体重-標準体重)/標準体重✕100(%)
性別・年齢・身長別の標準体重と比較して、肥満度が-20%以下の場合は「やせ」になります。
ただし、体重の減り方にも注意が必要です。
上記の計算式で仮に「やせ」の範疇でなくても成長期の子どもが月に2~4kg以上続けてやせる場合は注意が必要です。
チェックポイント!
- 肥満度が-20%以下。
- 月に2~4kg以上続けてやせている。
→こちらの生活や実務に役立つ計算サイトで体重と身長を入力するだけで、簡単にBMIを確認することができます。
子どもと食時
小学生~中学生の時期は、活動が活発でそもそも身体が利用するエネルギーが増加します。
これは、乳児期に次いで成長発達が著しいため必然的にエネルギーが必要となります。
→人生でもっとも栄養所要量が多くなる時期!
必要な栄養量の基準は、こちらの厚生労働省「日本人の食時摂取基準(2015年)」で示されています。
*細かい栄養素(カリウムやビタミンCなど)の摂取基準も示されています。
ちなみに、給食では1日の約1/3の栄養が摂れるように計算されています。
さて、そんな子ども達は食時を摂らないことでさまざまな異常が現れます。
症状①
- 頭髪が薄くなる
- 低血糖症状(顔色が悪い・貧血・ぼんやりする)
- 齲歯(うし):嘔吐する場合→齲歯とは、虫歯のことですが嘔吐により歯は酸蝕症(さんしょくしょう)になる可能性があります。
→酸蝕症については、こちらの記事で紹介しています。
症状②
- 寒がり・低体温
- 手足の冷え・しもやけ
- 皮膚の乾燥・黄染産毛の増生
症状③
- 胃部不快感
- 便秘・腹痛
- 無月経・尿量減少
症状④
- 元気がない
- 疲れやすい・筋力低下
- 背が伸びない
- 骨粗鬆症
症状⑤
- 徐脈(60/分未満)
- 低血圧
- 立ちくらみ
症状⑥
- 脳の萎縮・機能低下→「記憶力」や「学習意欲」の低下
- 精神症状→体型・食事内容・時間などへの「こだわり」や、イライラ・情緒不安定・不安気分の落ち込みなど
症状⑦
- 過活動
- 疲労感の否認
- 登校しぶり
- 不登校
このように、栄養が足りないことで精神的にも身体的にも症状が現れます。そして、それだけに留まらず認知機能にまで影響を及ぼしていきます。
子どもの摂食障害
子どもの摂食障害の半分はいわゆる拒食症(思春期やせ症)です。
正式には、「神経やせ症」です。
原因
やせ願望がある場合
- やせ願望:やせているのにどこまでもやせたいと願う。
- ボディーイメージの障害:やせているのに自分は太っていると強く思う。
→周囲が「やせ」を指摘しても、「自分は太っている!」と訴えて拒食や過活動(過剰に動く・運動する)が持続。
やせ願望がない場合
- ストレスで食べられない。
- 喉が詰まったり吐くことが怖くて食べられない。
このように、きっかけは人によってさまざまですが、それだけにいつ誰がなってもおかしくありません。
摂食障害の特徴
摂食障害の多くは、年数を重ねるごとに回復していきます。
ただ、自殺や低栄養のために数%の人は亡くなられます。
また、病的な「やせ」や「こだわり」、過食嘔吐などのために摂食障害から回復できない人も2割程いるとされています。
長期間、摂食障害が続いた人ほど回復が難しいことがすでに分かっているため、早期発見がもっとも大切です。
そして、食時ができることが回復ではありません。
そもそも、摂食障害の経過は長期にわたり、その経過の中で食事量が増えたり食欲をコントロールできにくくなったりと不安定な状態になります。
摂食障害に気付いた時点で、医療機関へ「成長曲線」や「*子ども版EAT」、「普段の様子の記録」を提出する必要があります。
*子ども版EATとは、思春期やせ症の発見を目的に実施されるスクリーニングテストのことです。
→成長曲線については、こちらの記事で紹介しています。
最後に
摂食障害は、早期発見・早期治療。
特に、子どもの場合はその後の成長に大きな影響を与えてしまうため、放っておくと危険な状態に陥る可能性があります。
思春期の子ども達は、特に自分と周囲に敏感に反応しますよね。
危険な摂食障害に陥らないように、おかしな様子(症状)があれば注意する必要があります。
さて、今回は子ども達が「食時を摂らない・摂れない」ことで起こる摂食障害についてご紹介しました。
逆に、「食べ過ぎる」ことで起こる身体への影響については、こちらの記事で紹介しています。
参考
小児摂食障害 サポートパンフ
→https://pdf4pro.com/docs/jisinsin-jp-11c8fe.html
摂食障害情報ポータルサイト
→http://www.edportal.jp/pdf/junior_high_school_05.pdf
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