ハンドドライヤーで感染拡大? 科学的には証明されていない!?

 

●この記事では、「ハンドドライヤーの使い方と中止されている理由」について紹介しています。

 

「コロナの影響も少しずつ緩和されている?」と思っている人もいるのではないでしょうか?

実際、旅行客が増え10月からは、限定的とはいえ海外からも流入してきています。

ですが、感染症法で定めている「指定感染症」のままです。

以前の記事でも紹介しましたが、「指定感染症」により第1類感染症と同じエボラ出血熱などと同様の感染症対応ができてしまうということになります。

例えば、「隔離対策がいつでもできる」ことを意味しています。

そのため、いつ状況が一変してもおかしくない厳しい現状であることは知っておく必要があります。

さて、そんな新型コロナウイルスの対策は、店側としても必死にさまざまな対応がなされています。

ただ、「これはどうして必要なの?」と思えるような対策がされていることがありませんか?

今回は、「商業施設のトイレに設置されているハンドドライヤーが使用中止!?」についてご紹介します。

 

そもそも「ハンドドライヤー」はなぜ設置されたの?

さすがに、ハンドドライヤーが家にある人は基本的にいないですよね。

さて、このハンドドライヤーはスーパーや百貨店などの商業施設といったトイレには必ずと言っていいほど設置されていますよね。

ですが、今はコロナの影響で利用が中止されています。その原因の一つは、「強い風」にあります。

 

ハンドドライヤーの目的は?

ハンドドライヤーには、2種類があります。

  • 温風式タイプ:温風で水分を蒸発させる(30~40秒)
  • ジェット式タイプ:強い風で水分を吹き飛ばす(5~9秒)

つまり、ジェット式タイプを使ったほうが素早く手を乾燥させることができます。

そして、ハンドドライヤーは省エネを実現することができました。

 

 

ハンドドライヤーが省エネ?

例えば、ハンドドライヤーがなければペーパータオルを設置することになりますよね。

その場合、ペーパー補充や紙ゴミの処理といった手間が発生します。当然、ペーパータオルにもお金がかかります。

施設の規模などによっても変わりますが、例えば、「三菱のジェットタオルミニ」の場合は1日100回使ったとしても4円の電気代しか発生しません。


ただ、上記のハンドドライヤーの場合、レンタル料で月:約5,000円 / 購入:約10万円します。

とはいえ、1日100名が利用する場合ならペーパータオル台は月約4,600円の費用がかかります。ジェットタオルは月約120円で済むため毎月、3,480円が安く付くことになります。

1年間で3,480✕12=41,760円(レンタルすれば6万円)となります。

つまり、この場合はレンタルすれば赤字になりますが、購入すれば3年以内に元が取れることになります。

当然、利用者が200人・300人となればさらに早い段階で元がとれることになるでしょう。

*あくまでも商品のみの単純計算なので、本来は「ペーパータオルの補充・ゴミの回収といった人件費」「使用済みのペーパータオルの処理費用」などを考えれば、さらに安くまた省エネになることか理解できるのではないでしょうか?

これが、ハンドドライヤーが「省エネ」と呼ばれる所以でもあります。

それでは、どうしてハンドドライヤーの使用は禁止されてしまったのでしょうか?

 

ハンドドライヤーは厚生労働省が禁止している!?

そもそも、東京都健康安全健康センターでは、ハンドドライヤーの注意点について指摘されていました。

 

水滴の飛散!

先程も説明したように、そもそもハンドドライヤーは手の水分を吹き飛ばすことで乾燥させます。

となると、気になるのは「どれくらいその水気が飛散するのか?」ではないでしょうか?

その実験結果は、このようになっています。

 

 

飛散範囲

ハンドドライヤーを使うと、外部に想像以上に水気が飛び散っている結果になっています。

  • 上側:30㎝
  • 左右:55㎝
  • 床面:75㎝

つまり、吹き飛ばされた水気はハンドドライヤーの外部にまで飛び散っています。

そのため、ハンドドライヤーは食材や食器等の付近には設置しないように注意喚起がされているほどです。

さらに、ノロウイルス食中毒の観点から使用後は、更衣することまで推奨されています。

このように、ハンドドライヤーは正しい使い方をしなければ不潔な状態になることが指摘されています。

 

 

ハンドドライヤーの正しい使い方?

ハンドドライヤーを汚染しないように利用者側と設置者側は正しい使い方が求められています。

  • 利用者側:石鹸を用いて丁寧に手を洗ってから使用する。
  • 管理者側:1日1回は中性洗剤で拭き取る。ドレンタンクやエアフィルターは1週間に1回清掃

また、ハンドドライヤーの点検も必要(耐用年数は7年程)です。

これらは、ハンドドライヤーを使う前の段階でやっておかなくてはいけない使い方です。それでは、実際に使うときはどうすればいいのでしょうか?

 

~「片面タイプ」と「両面タイプ」~

皆さんも見たことがあると思いますが、ハンドドライヤーには「片面タイプ」「両面タイプ(側面が開いている)があります。

 

【片面タイプ】

ハンドドライヤーの片面タイプは、手を入れたら手の表面の水滴を飛ばして、手もみをすれば終了です。

それでは、ハンドドライヤーの両面タイプはこれまで正しく使えていましたか?

 

【両面タイプ】

両面タイプは、上から手を入れる人が多いのではないでしょうか?

ですが、実は左右の側面から手をそれぞれ入れて、ゆっくり上に引き抜いていきます。

このように、ハンドドライヤーは「利用者」と「管理者」のそれぞれが正しい使い方をしなくてはいけないことが分かっていただけたのではないでしょうか?

そして、厚生労働省でも令和2年5月14日に「労使団体の長あて」に、「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化について」が、発表されています。

 

この発表の中で、例えば「トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう表示する。」・「ペーパータオルを設置するか、個人用にタオルを準備する。 」といった注意喚起が出されています。

そして、「ハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止する。」と、はっきりハンドドライヤーの禁止が盛り込まれています。

というわけで、ハンドドライヤーはやはりコロナ対策では使わない方がいいようです・・・

と、想定通りの結論にしたいのですが、実はそうとも限りません。

 

ハンドドライヤーは使い方次第?

ハンドドライヤーを禁止にした最大の根拠は、「きちんと洗えていないウイルスなどが手に残った状態の人が使うと、そのしぶきが飛んでウイルスを飛散させてしまう可能性」を危惧してです。

ただ、そうなるとそもそもハンドドライヤーを販売すること自体に問題があることになりますよね?

なにしろ、コロナに限らずノロウイルスなど、さまざまな感染症の感染拡大の要因になるわけですから・・・

それでは、企業側はこのことをなんの検証もせずに製造・販売しいるのでしょうか?

 

さまざまな研究

 

ハンドドライヤーの水受け分は確かに汚れているが・・・

例えば、2009年には日本環境感染学会誌「病院における手指温風乾燥機とトイレ環境の細菌汚染調査」の報告がなされています。

この実験では、トイレでのハンドドライヤーの底に溜まった水には使用頻度が高いトイレで10万個に達していたようです。

  • 男子トイレ:黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌が多かった。
  • 女子トイレ:モルガネラ属などの腸内常在細菌が多かった。

 

ちなみに、トイレのドアノブからは10~100個の菌が検出され、ハンドドライヤーの水受け部分からは通常1,000個の常在菌が発見されました。

この結果から、ハンドドライヤーの水受け部分はトイレの中でも特に汚染されている箇所として指摘されています。

ただ、ハンドドライヤーに限らず水受け皿部分は湿気があり、細菌が繁殖しやすいことは多くの人が知っているため、わざわざハンドドライヤーの水受け部分を触ることは基本的にないのではないでしょうか?

ですが、もしも水受け部分の水分がハンドドライヤーの使用時に含まれてしまうようなことがあれば大変ですよね。

ですが、そもそもハンドドライヤーとエアロゾルの関係はよく分かっていません。

 

 

ハンドドライヤーでエアロゾルは危険な数値にはならない・・・

2008年に「ハンドドライヤー使用時における飛散菌とエアロゾルの挙動」について、論文が発表されています。

この研究では、確かにハンドドライヤー使用後に周辺のエアロゾル数(霧状に浮遊する粒子)が増加することが確認されています。

ところが、手指や空気中の菌数には有意な変化はありませんでした。

「一般的な生活を送るうえでハンドドライヤーの使用を控えるべきかどうかには、慎重な判断が求められそうです。」と結論付けられています。

 

つまり、今の段階で言えることは「ハンドドライヤーを使うと、確かに水のしぶきが周囲にまき散らされることになりますが、それによって感染が拡がるかは分からない」という点です。

このことについては、例えば広島大学病院ではハンドドライヤーの使用制限については、「ハンドドライヤーの使用が新型コロナウイルス感染のリスクを高めるということは証明されておりません。」とはっきり書かれています。

このように、コロナ対策として当たり前に実施されていて、それなりに根拠がありそうな対策であっても、実は科学的に証明にされていない場合があります。

 

最後に

新型コロナ対策は、さまざまな対策が行なわれています。

ですが、必ずしも科学的にその必要性が証明されているわけではありません。

ただ、一度始めた感染症対策は仮に効果がないことが分かっても、なかなか辞めることができないかもしれません。

次回は、コロナ対策としてさまざまな商品が発売されている「空間除菌」についてご紹介します。

 

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