110番通報は、私たちが警察に確実に連絡できる緊急ダイヤルですよね?
ですが、「警察は動いてくれない」なんていう話しもニュースなどでよく耳にします。
それでは、毎日どれだけの110番通報があるか知っていますか?
いたずらがどれだけあるか知っていますか?
警察を非難するだけでは変わりません。
今回は、「110番」が引き起こしている現実を紹介します。
なんでも110番通報していいの?
そもそも警察は、民事不介入という原則があります。
例えば、お金のやり取りなどで口喧嘩が起こったとします。
その場合、相手に怪我をさせていなければ警察は特になにもしません。
これは、「当人同士のもめ事は自分たちでなんとかしてね・・・」というスタンスだからです。
ただ、警察を呼ぶことで暴力に発展することを防ぐことができるのでとても意味があります。
*民事不介入:民事事件(個人間での争い)に関しては特になにもしません。あくまで、暴力行為や詐欺など刑事事件として取り扱うことができる事案に対してしか動けません。
裁判の違いから、「民事」と「刑事」について簡単に解説します。
民事事件ってなに?
民事の場合は、民事裁判になります。
つまり、「人と人」・「人と会社」という私人同士の紛争を解決するためにおこなわれます。
刑事事件ってなに?
暴力・暴行なども、もちろん相手のいることですから、私人同士の紛争です。ただ、暴力・暴行などは犯罪ですよね?
つまり、刑事訴訟は検察官だけが起訴することができます。
→検察官は、国家により選ばれる。
このように、最初は私人同士の争いだったかもしれませんが、犯罪行為が行われれば国家権力が介入します。
例えば、「刺されて重傷を負わされた人が刺した人を訴えない場合」は、民事裁判はありません。
ですが、刑事裁判はおこなわれます。
また、ニュースでは「高齢の夫婦のどちらかが相手に頼まれて首を絞めて殺した・・・」という悲しい事件が発生しています。
仮に、「頼まれた」という証拠が見つかったとしても、殺人を犯しているので国家権力から裁かれることになります。
このように、「民事」と「刑事」はまったく別物として考える必要があります。
どんなときに110番通報するの?
110番は緊急時のダイヤルです。そして、警察官にすぐに現場に駆けつけて欲しい時に連絡するための手段です。
例えば・・・
- 強盗
- 振り込め詐欺
- 児童への声かけ
- ストーカー
- 窃盗
- 交通事故
などが、これに当たります。
ただ、ストーカー殺人などニュースで取り沙汰されるたびに「警察の怠慢が・・・」なんて取り沙汰されます。
ただ、被害届の件数が1年で何件ほどあるかご存じですか?
警察白書の平成29年度版で平成28年度の刑法犯の認知件数が記載されています。
→99万6,120人
これは、警察が「犯罪だ!」と認めた件数でしかありません。
つまり、被害届けはそれ以上あることになります。
この時点で明らかに数が多すぎますよね・・・
警察を擁護したいわけではありませんが、これでは捜査の優先順位を付けざる負えません。
これを踏まえて、110番通報された事例を見ていきましょう。
110番、「緊急性なし」2割
これは、H30年の1月~11月で110番通報835万9712件のうち160万3721件(全体の19.2%)が緊急性がない通報でした。
ちなみに、緊急性のない110番通報は前年より15万3,210件も増加しています。
こう紹介すると、「この程度で連絡してはいけないかな・・・」と必要がある人までためらってしまうかもしれません。
そうならないために、「緊急性がない!」と判断された110番通報を紹介しておきます。
緊急生がない110番通報?
- ゴキブリがでた
- 単純に試した
という内容はここでは省きます。
問題なのは、「相談」や「紹介」が大半を占めていたことです。
①緊急性のない相談
ここでいう「相談」とは、「被害にあった!助けて!」という内容ではありません。
→「客からクレームを受けたときにどう対応したらいいか?」などといった、まさしく相談です。
相談する相手が違います。
②緊急性のない紹介
「車庫証明について聞きたい」「店舗の電話番号を教えて欲しい」といった内容です。
確かに警察関連かもしれないですが、110番という緊急ダイヤルを使う内容ではありません。
こういった内容の緊急性のない110番通報が相談:約73万件・紹介:約72万件→合計約145万件もありました。
つまり、緊急性のない相談・紹介による通報だけで90%を超えています。
安易な110番が与えている影響
どれだけ深刻な状態かというと、総務省の人口推計では日本の総人口は平成30年12月1月で1億2,642万人とあります。
単純に日本人だけで考えると15人に1人は110番通報していることになります。
*実際は、電話ができない乳幼児や日本の人口に含まれない外国人の数などをいれると変わってきます。
そして、そのうち2割が緊急性がない通報。つまり、通報した人の内、5人に1人は緊急性がないことになります。
時間換算:1年は8760時間
平成30年の1月~11月で835万9712件なので、11ヶ月間の1日平均1時間に約954件。
もう少し分かりやすくします。
1時間は3600秒ですよね?
つまり、1日約3.7秒に1回110番通報がおこなわれています。
単純計算すれば、1ヶ月に354,888件の110番通報があることになります。
*平成30年の12月分も含めれば、平成30年の110番通報は880万件は超えることが予想できます。
さて、そのうち2割が相談や紹介といった緊急性がない110番通報ということは・・・
少なくても毎分に1回は緊急性がないにも関わらず、緊急ダイヤルが使われていることになります。
110番通報は、相談窓口ではありません。
犯罪行為により(被害を受けた・1分1秒を争う・状況を確認して欲しいなど)緊急事態が起こった時に警察と国民をどこでもつなぐことができる命綱です。
もちろん、個人間で解決できずに警察を呼ぶ場合もあるでしょう。
ただ、個人の疑問に答える相談窓口ではありません。
私用で使っていいダイヤルではありません。
いたずらの110番通報は犯罪です。実際に、業務妨害として逮捕された例もあります。
なにより、本当に困った人が後回しにされる原因になります。
まとめ
- 110番通報は緊急ダイヤル
- 緊急性がない110番通報→平成30年の11ヶ月(1月~11月)で160万件(毎分1回の割合)
- 緊急性のない110番通報の内訳で「相談」・「紹介」が9割を超えている。
参考
法テラス
→https://www.houterasu.or.jp/madoguchi_info/faq/faq_2/keijitominji.html
警察庁:平成29年警察白書
→https://www.npa.go.jp/hakusyo/h29/data.html
弁護士ドットコム:『1年間で30万件もある「いたずら110番」 どんな罪になるのか?』
→https://www.bengo4.com/c_1009/n_886/
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