前回、落ち葉はスリップ事故の原因になることをお伝えしました。しかも、その影響は列車のスリップまで引き起こしてしまいます。
ところで、そもそも落ち葉は植えられている街路樹が原因になります。
それではなぜ、街路樹は植えられているのでしょうか?
今回は、「街路樹の役割と問題」についてご紹介します。
落ち葉の季節
秋~冬にかけて、つまり11月~1月にかけて、落ち葉が多い季節になりますよね。
この時期になると、自治体が定期的に落ち葉の清掃をしたり、市民のボランティア活動があったりと、落ち葉を清掃して下さる方々が必ずいらっしゃいます。
しかも、これは毎年のことですので仕事としてやっている場合はともかく、ボランティア活動の場合は決して当たり前のことではありません。
ただ、そんな落ち葉は例えば街路樹が原因になりますよね。ですが、「街路樹を伐採すればいい!」と単純な話しではないようです。
それでは、なぜ街路樹は植えられるのでしょうか?
街路樹はなんのためにあるの?
そもそも、街路樹は施設の1つです。
どういうことかというと・・・
- 道路の構造の保全
- 安全・円滑な道路の交通の確保
→道路の管理上必要な施設
さらに言えば、道路法でも街路樹は以下のように定められています。
第2条
二 道路上の並木又は街灯で第十八条第一項に規定する道路管理者の設けるもの
つまり、街路樹も道路管理者が設置する付属物の1つということになります。
それでは、どうして街路樹は道路の付属物として重宝されるのでしょうか?
街路樹の役割と機能とは?
街路樹の役割としては、確かに「景観」も1つの理由です。
ただ、もしもこれだけのために安全性を犠牲にしては本末転倒ですよね。
千葉市街路樹のあり方(案)では、街路樹の「役割」と「機能」について以下のように示されています。
街路樹の5つの大きな機能!
- 環境保全機能
- 交通安全機能
- 防災機能
- 景観機能
- その他機能
それでは、詳しく見ていきましょう。
❶街路樹が環境保全に役立つ?
街路樹の環境保全には、以下の5つが期待されています。
- 空気の浄化
- ヒートアイランド現象の緩和(コンクリートなどの人口被膜などによりどんどん熱がこもる現象)
- 騒音の緩和
- 緑隂(木立の陰)の形成
- 生物多様性の向上
例えば、街路樹により「陰」や「風の通り道」が作られますよね。
また、小学校の時に習ったと思いますが「植物の根から吸収された水が道管を通って葉まで運ばれ、気孔からから水蒸気となって出ていく」いわゆる蒸散作用により、適度に湿度を保つことができます。
さらに、二酸化炭素を吸収し大気汚染物質を吸着する作用もあります。当然、道路の付属物として自動車交通の騒音の低減の機能もあります。
➋街路樹で交通安全?
そもそも、街路樹は道路の付属物ですので交通安全に役に立つ機能があります。
- 歩車道の分離
- 視線の誘導
- 遮光機能
そもそも、街路樹を植えることで歩車道を分離していますよね。そして、自動車のライトによる眩光を防止することもできます。
また、ドライバーは街路樹を視界に捉えることで道路線形(道路の形状)の視線を誘導させることができます。
❸防災機能?
街路樹には、実は防災の機能もあります。
- 延焼防止
- 家屋の倒壊防止
例えば、災害時には火災の延焼や熱風を防ぐことや、家屋を支えて倒壊を防ぐなど、防災・減災の効果があります。
*❹「景観機能」は、季節感の演出や街への彩り。逆に、景観上好ましくない物を遮蔽します。
*❺「その他の機能」は、地域住民が植物への愛着を持ち維持管理等に参加することで緑化意識の普及・啓発がなされています。
つまり、落ち葉の掃除もこの「その他の機能」にはいることになりますが、あくまでもボランティアとしての負担が増加すればむしろ緑化意識は低下していくかもしれません。
ただ、実はこういった街路樹の機能を果たしていない街路樹が問題になっています。
街路樹が機能を果たしていない!?
実は、街路樹がむしろ交通の妨げになっている場合があります。
安全性が脅かされる状態
そもそも、街路樹は生き物ですので成長しますよね・・・
- 老朽化により倒木・落枝により交通事故や交通遮断の危険
- 街路樹が道路照明や信号・標識灯を遮断
- 成長していく過程で根上がり(道路の舗装の下では空気・水・養分の供給が行なわれず根が遠方の伸びていく)が引き起こされ、歩道の隆起や樹木の肥大化することで植栽桝が破損。
ちなみに、「根上がり」は根が長くなるほど根元が太くなるため根上がりが発生しやすくなります。
ここまでになると、街路樹がむしろ「安全性を脅かす状態」だと言えるでしょう。
狭い道路の空間に影響!
本来、街路樹は・・・
道路空間は、都市・地域空間の骨格をなし、多くの人々が利用することから、限られた空間に合わせた樹種選定、配植、維持管理が大前提
です。
ところが、これらが損なわれることでさまざまな問題が発生しています。
- 道路の空間が狭いにも関わらず、大径木化する樹種を植栽。その結果、落ち葉・日陰・越境など、住民生活に支障。(無理な剪定の繰り返しの結果、良好な樹木が損なわれている)
- 歩道の有効幅員は2m以上だが、街路樹により確保できていない。
- 電線と樹木の交錯により、風害による枝折れ等で断線の発生。
- 大径木の成長で植栽間隔が過密になり、信号・標識などの遮断だけでなく管理費も増大している。
- 街並みデザインとして、高木と中低木の混植が成長し、見通しが遮られている。
- 公園などの隣接する樹木と街路樹が競合し、暗く見通しが悪くなる。
このように、街路樹の選択を失敗すればその後も大きな影響を与え続けます。また、成長していく街路樹の維持管理も成長に合せてしていかなくてはいけません。
そして、うまくいかなければ、街路樹は道路の「付属物」ではなく「異物」になってしまうことが理解できたのではないでしょうか?
当然、放置すれば落ち葉も危険な異物になってしまいます。
最後に
子ども達が行き交う通学路では、街路樹がある場所を通る子ども達も多いのではないでしょうか?
ちなみに、私の母校ではそもそも小学校の目の前に街路樹があるため、誰もが必ず通ります。
ただ、そんな街路樹ですが、枝もなにもない大人ほどの背丈の木(棒状態)が立っていることがあります。
これは、「強剪定」という手法でコストを意識した剪定方法でもあります。
先程例に挙げた、樹形を崩す原因にもなり、植物にとってもストレスが大きく場合によっては、枯れる要因にもなります。
そんな強剪定は、大きく育ちやすい「アカマツ」や「シラカバ」、「イチョウ」など大きく育ちやすい庭木などが当てはまります。
→「強剪定が全て悪い!」ということではなく、剪定後の害虫対策やストレス軽減など適切な管理が必要になる。
せっかくの街路樹が「異物」なってしまっては本末転倒です。
もしも、街路樹で困ったことがあればまずは市役所へ連絡することが基本です。
もしも、街路樹を故意に損壊させた場合は滝川市ホームページより・・・
器物損壊罪(刑法第261条:三年以下の懲役または30万円以下の罰金)及び道路付属物損壊(道路法第101条:三年以下の懲役または100万円以下の罰金)に問われることがあります。
このように違法行為となるため、絶対にやめて下さいね!
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