新型コロナウイルスの影響で、海外旅行はまだまだ難しい状態が続いています。
→10月1日から、ビジネス上必要な人材・長期滞在者の方の出入国について例外的な枠が設けられている。
とはいえ、go toキャぺーンなどにより国内旅行は少しずつ増えてきているようです。
例えば、9月にあった4連休では初日となる9/19の羽田空港は97%の予約率があり、実際、保安検査場入口には50m近い行列ができていたことがこちらの記事でも紹介されていました。
今回は、そんな「飛行機の機内では3蜜にならないの?」についてご紹介します。
機内は安全に過ごせる?
例えば、以前紹介したパチンコ店の記事では、イメージが昔とは比べものにならないほど清潔になっていることをご紹介しました。
そもそも、パチンコ店は利用者がタバコを吸うことが前提に設計されているため商業施設の中でも、最も換気量が高い施設です。
→「パチンコ店と3蜜」についてはこちらの記事で紹介しています。
さて、それでは3蜜になりそうな機内ではパチンコ店のように安全に過ごせるのでしょうか?
機内の換気量は?
例えば、ANAの航空機は約3分で空気が入れ替わる仕様になっています。
ちなみに、パチンコ店では店舗面積によりますが、記事では建築基準法により1時間当たり6回~10回屋内の空気を入れ替えられているとあります。
つまり、「10分に1回」~「6分に1回」のペースで換気が行なわれていることになります。
ところが、機内ではそれ以上の換気が行なわれているようです。
機内ではキレイな空気が循環し続けている!?
「換気」と聞くと、窓を開けるイメージがあるかもしれませんが、当然、上空でそんなことはできませんよね。
それでは、どうやって空気の入れかえをしているのでしょうか?
実は、「上空のキレイな空気」を大量に機内に取り込むことで、約3分で機内の空気が全て入れ替わっています。
それでは、「キレイな空気?」をどうやって実現しているのでしょうか?
実は、病院の手術室でも使われている「HEPAフィルター」と呼ばれる高性能フィルターが、全機に装備されています。
つまり、この高性能フィルターで上空の空気がきれいな空気にろ過されることで、機内に循環されています。
~HEPAフィルターはこんなフィルター!~
参考:オリエンタル技術工業株式会社の新型コロナウイルス感染症対策 特設サイト
そもそも、HEPAフィルターを日本語に訳すと「高性能フィルター」になります。
そして、認められるためには「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもつ」という条件が日本産業規格(JIS)により、定められています。
- スギ花粉:約30㎛
- PM2.5:2.5㎛
- コロナウイルス:0.1~0.2㎛
→0.3㎛前後の粒子が最も捕集が困難とされている。
ところが、HEPAフィルターの隙間は一般的に、数十㎛もあります。
普通に考えれば、「たった0.3㎛しかない粒子を100%近い捕集率にするなんて無理!」と考えるのではないでしょうか?
確かに、隙間の大きさだけを考えると「不可能に近い」という結論になるでしょう。
ただ、いくつか秘密があります。
- 何度も補修できるチャンスがある「つづら折り」になっている。
- 「ブラウン運動」や「静電気」的な現象が引き起こされている。
→NASAのHEPAフィルターに関する研究では、0.01㎛の粒子も100%捕集できることが示されている。
*HEPAフィルターは、総合捕集効果(慣性・衝突・重力・拡散・静電気)により捕集。
このような方法で、「キレイな空気」が実現されています。
さらに、空気の循環も滞留しない工夫がなされています。
空気が滞留しない?
例えば、窓から効果的に換気をするときは2ヶ所以上の窓を開ける必要があります。
これは、風の通り道を作ることで、部屋全体の空気が滞留することなく外の空気と入れ替える必要があるためです。
特に、家の場合なら呼吸・調理・入浴といった生活の中で二酸化炭素や水蒸気・臭いなどが発生します。また、シックハウスの原因となる化学物質も空気に含まれているかもしれません。
つまり、日常的に空気は簡単に汚れてしまいます。そんな空気の汚れは、機内でも同じことが言えます。
機内では、不特定多数の人が、機内に乗り込んで一定時間を同じ場所に座って過ごすことになりますよね。
しかも、新型コロナウイルは目に見えませんし、新型コロナウイルス以外にも感染症やアレルギーなど注意しないといけいものはたくさんあります。
つまり、もしも空気の循環が滞留してしまう場所があれば、その場所は危険スポットになりかねません。
そこで、ANAでは空気は常に天井から供給され、左右の壁の下部から床下へ流すことで、客室内や特定の場所に空気が滞留することがない仕組みになっています。
実際、機内感染が少ないことがIATA(国際航空運送協会)でも指摘されています。
IATAが5月に発表したプレリリース
- COVID-19症状のある乗客がいる中国からカナダへのフライトの接触者の追跡で、機内感染がなかったこと
- COVID-19症状のある乗客が12人いる中国と米国間のフライトの接触者の追跡で、機内感染がなかったこと
- IATA加盟航空会社からも同様の報告
つまり、新型コロナウイルスの症状があった乗客がいたにも関わらず、搭乗者の追跡調査をしても機内感染が見られなかったことが示されています。
例えば以前、旅行バスの乗客から他の乗客へ感染したことが度々報道されましたが、「機内で人が密集していたにも関わらず、こういった感染が見られなかった」ということです。
つまり、「観光バスと機内には感染しないだけの違いがある」ということです。
このことからも、機内における換気量が新型コロナウイルスに効果があったことが推測できます。
ちなみに、IATAからは「旅客のフェイスカバーまたはマスクと乗務員用マスクの着用を支持」は出されています。
ただ、「機内での感染のリスクが低いことから、3列席の真ん中(Middle Seat)を空席にすることはIATAとしては義務付けない」となっています。
新型コロナウイルスについては、まだまだ未知な部分があります。ただ、少しずつ有効な対策が分かってきていることも事実としてあります。
最後に
昔のイメージで、例えば「パチンコ店はタバコがもくもくで空気がきたない!」と思っている人がいるかもしれません。
さらに、「機内は密閉空間だから感染が心配だ!」と考えている人もいるかもしれません。
ちなみに、空港では検疫が実施され2020年10月17日時点でこの検疫で確認された感染者は、これまでで1,081人となっています。
→最近では、10月16~17日にかけてネパールなどから成田空港や関西国際空港に到着した男女12人の新型コロナウイルス感染が確認されている。
そういう意味では、機内ではなく空港内での感染に気をつけた方が現実的だといえるでしょう。
技術の進歩や法改正などにより、イメージと現実の乖離がどんどん進んでいます。
まずは、あなたのそのイメージがいつの頃のイメージか確かめてみてはいかがでしょうか?
例えば、いまでは学校でのエアコン設置は当たり前のように進んでいます。学校でのタブレットの配布もすでに始まっています。
また、ドローンのような空飛ぶ車の試作機がすでに公開されました。
これまでの常識は、どんどん覆され続けています。現実とイメージのギャップを知ることで、すこしでも不安が取り除かれるといいですね。
→「学校でのエアコン設置率」についは、こちらの記事で紹介しています。
参考
ANA
→https://www.ana.co.jp/group/about-us/air-circulation.html
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