ギンナンの毒性は意外と強い!? あなたはいくつ食べられますか?

 

前回、「ギンナンを勝手に拾っていると法律的には窃盗罪などになる可能性がある・・・」というお話しをご紹介しました。

ところで、そんなギンナンは果肉から取り出した種の部分を食べていますよね。

ただ、ギンナンを食べるためには果肉から殻部分を取り出したり、フライパンで炙ったりと手間がかかることが知られています。

ですが、調理に関しては、実は封筒にギンナンを入れてチンするだけで、あっという間に調理できてしまうことが話題になっています。

そして食べ出すと、意外とおいしいのですが食べ過ぎは命に関わります。

今回は、「食べ過ぎは超危険!ギンナンと中毒」についてご紹介します。

 

「ギンナンと窃盗罪」については、こちらの記事で紹介しています。

ギンナンを拾って窃盗?横領? 法律的には違法になる可能性が・・・!

 

ギンナンに中毒?

そもそも、ギンナンは昔から毒性が知られている食材です。

とはいえ、その有毒成分が解明されたのは1980年代に入ってから。ちなみに、有毒成分は「4ʼ-O-メチルピリドキシン」で、「ギンコトキシン」と呼ばれる神経毒です。

さて、ギンナンと言えばイチョウの種子ですが、夏から秋にかけて黄色く熟して強烈な臭いを発しますよね。

ですが、実際に食べられるのは、果肉の中のさらに殻の中にある部分です。臭いを発生させている果肉部分は殻部分を取り除く時に、何度も洗い流すことで臭いはなくなります。

ただ、果肉は「直接触るとかぶれたり」「何度も洗う作業を繰り返したり」となかなか手間なので正直、拾ってくるよりは買った方が安全で早いことは付け加えておきます。

それでは、どれくらいのギンナンを食べた場合、食中毒の症状が出てしまうのでしょうか?

 

大人と子どもで危険性がまったく違う!?

日本中毒情報センター(中毒110番)にも、毎年ギンナンによる食中毒を心配する相談が寄せられています。

2010年~2019年までの10年間で252件の相談があり、2019年の相談件数は21件でした。

つまり、毎年当たり前のように発生している食中毒でもあります。

その中でも、子どもが特に気をつけないといけないことが分かっています。

 

 

子どもが危険!?

先程、10年間の相談件数が252件だとお伝えしました。

それでは、子ども達の相談件数はどれだけあると思いますか?

5歳以下の子ども:68.7%


逆に、ギンナンをよく食べるイメージがある65歳以上の高齢者は6.0%しか相談がありませんでした。

これは、孫にギンナンを食べさせた結果、何かしらの中毒症状を引き起こしているのかもしれません。

ただ、この結果から確実に一つ言えることは、大人よりも子どもの方がギンナン中毒になりやすいということです。

それでは、どれだけ違いがあるのでしょうか?

 

~大人と子どもの違い!~

そもそも、「何個食べたら中毒になる!」というのは個人差が大きくあります。

  • 成人:40~300個
  • 小児:7~150個

このように、100個単位で個人差がありますが、これは日本中毒センターが6~7個食べただけで、5歳以下の小児に痙攣が出現した症例を把握しているためです。

こういった理由から、そもそも5歳以下の子どもに食べさせるには、注意が必要な食材でもあります。

*先程紹介したギンナンによる中毒関連の相談件数:252件のうち、1歳代が76件(30%)・2歳代が65件(26%)となっていた。

 

どうしてギンナンを食べて食中毒になるの?

そもそもギンナンは、デンプン・カロチン・ビタミンCなどを含む栄養価の高い食材です。

ただ、神経伝達物質の合成にも関わっているビタミンB6の作用を阻害してしまいます。その結果、中枢神経系の異常興奮を引き起こしてしまいます。

「異常興奮なら命に関わることはないのでは?」と考えるかもしれませんが、すでに死者も出ています。

 

どういった症状があるの?

一度に多く食べると・・・

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 呼吸困難
  • 痙攣

こういった症状が現われます。

ただ、こういった症状は数時間後に現われるようです。(症状は、12時間後にでる場合もある)

 

東京保険福祉局では、このような事例が紹介されています。

  • 1歳男児:ギンナンを約7時間で50個摂取。→3時間後:全身性痙攣
  • 2歳女児:ギンナンを50~60個摂取。   →7時間後:嘔吐・下痢 / 9時間後:全身性痙攣
  • 41歳女性:ギンナンを60個摂取     →4時間後:嘔吐・下痢・両腕のふるえ

このように、大人であっても痙攣や嘔吐・下痢といった症状があり、何時間後かに症状が現われることになります。

→数時間のうちにビタミンB6欠乏症により、中毒になると考えられている。

このように、ギンナンは子どもの方が中毒になりやすく、5歳未満では特に控えた方がいい食材でもあります。

ところで、電子レンジで簡単にギンナンは調理できますが、例えば中野区では電子レンジによる事故の1つにギンナンが挙げられています。

ギンナンに限らず、栗や生卵など「皮や膜に覆われた物」は、長時間加熱すると事故の原因になります。

ギンナンを電子レンジで調理するときは、加熱のしすぎにもご注意ください。

 

最後に

例えば、普段から食べ慣れていない人が、居酒屋などでギンナンをたまたま食べて、おいしくて気に入ったとします。

そんなギンナンは丁度、今の時期なら道端で拾うこともできます。

ひょっとすれば実家でもらうことがあるかもしれませんし、ネットで購入する場合もあるかもしれません。

普通は、手軽なネットで購入することになると思いますが・・・

ですが、昔ならいざ知らず、今はギンナンの毒性について知っている人はそれほど多くないのではないでしょうか?

そんな人が、ギンナンを購入して家族と一緒に食べるようなことがあったらどうでしょう。

しかも、私のように5歳未満の子ども達がいたらどうなるでしょうか?

もちろん、5歳未満であっても150個食べて症状が現われるのであれば、そこまで気をつける必要はないかもしれません。

ですが、子どもに試すわけにはいかないですよね・・・

そして、この毒性は加熱したからといってなくなることはありません。

もしも、症状があるようなら痙攣は、繰り返し引き起こされる可能性があります。

症状がでたら必ず、医療機関へ受診して下さい。

 

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