●この記事では、「ヒートショックの原因」と「基本的な予防の考え方」について説明しています。
前回、冬場に注意する症状の1つに「低体温症」についてご紹介しました。
ただ、冬場に気をつける症状として他にも、「ヒートショック」があります。
今回は、「ヒートショックはなぜ起こる?」について紹介します。
→「低体温症」については、こちらの記事で紹介しています。
ヒートショックは身近にある!?
ヒートショックと言えば、「冬場の浴室で意識を失い、最悪死にいたる症状?」とイメージしているのではないでしょうか?
確かに、このイメージは間違ってはいないのですが、それではどうして浴室で引き起こされるのでしょうか?
ヒートテックの現状は?
11月26日は「いい風呂」の日になっていますが、ヒートショックに気をつけないといけない時期でもあります。
とはいえ、年間でどれくらいの人がヒートショックが原因で亡くなっているかはよく分かっていません。
ただ、入浴中に亡くなっている人数は明らかになっています。
→年間、全国で約1万9千人
よく、比較されるのが交通事故ですが、2018年では3,532人が交通事故で亡くなられています。
つまり、入浴は交通事故の5倍以上危険な行為になってしまっています。
ただ、交通事故も自動車の安全性能が上がり、道路交通法の改正などにより安全対策は進むなどして年々減少傾向にあります。
それでは、ヒートショックも交通事故のようにリスクを減らすことはできないのでしょうか?
ヒートショックの原因?
そもそも、どうして「ヒートショック」は引き起こされるのでしょうか?
答えを先に言ってしまうと、ヒートショックは温かい場所から寒い場所へ移動することで、引き起こされる「急激な温度変化」が原因です。
それでは、お風呂場へ行くときの様子を思い浮かべてみましょう。
- 暖かい部屋:血圧は安定している。(血圧値:90)
- 寒い脱衣所:血管が縮んで血圧が急上昇(血圧値:120)
- 寒い浴室 :血圧がさらに上昇(血圧値:150)
- 熱めの浴槽内:血圧が広がり血圧低下(血圧値:90)
例えば、寒い脱衣所や浴室の場合このように血圧の乱高下が引き起こされます。
それでは、「高齢者だけが危険なのか?」と言えばそうではありません。私の実体験を1つ紹介します。
20代の頃、私の実家のお風呂がまさにこの状況で、私が実家に帰ってきていた時に、身体を洗い終わり浴槽に入ろうと立ち上がった瞬間、数秒気を失い転倒したことが1度だけありました。
幸い、すぐに気がついたのでよかったですが、そのまま浴槽に落ちていたら頭を打つなどしていたかもしれません。(浴槽に腰を思い切りぶつけはしましたが、その時は痛みを感じませんでした・・・)
ヒートショックになりやすい人?
このように、実はヒートショックは高齢者だけの健康被害ではありません。
- 高血圧
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 肥満
- 睡眠時無呼吸症候群
- 不整脈
こういった人ほど、ヒートショックになりやすい特徴があります。
ちなみに、私は昔から不整脈で学生の頃から健康診断で引っかかっていました・・・
他にも、「一番風呂(浴槽が寒い)が好きな人」や「熱い風呂が好きな人」など、血圧が乱高下する環境であればあるほど注意が必要です。
そういう意味では、必ずしもお風呂だけが危険なわけではなく、例えば「トイレ」でもヒートテックは引き起こされます。
つまり、ヒートショックを防ぐためには冬場の気温変化をできる限り少なくする必要があります。
とはいえ、夏場であっても涼しい部屋から、暑い屋外へ出る場合も同じように気温差によるヒートショックになるリスクはあります。
→10℃以上の温度差があれば危険!
つまり、ヒートショックの安全対策はこの温度差をなくすことが最善手となることは、分かって頂けたのではないでしょうか?
それでは、具体的にどういった対策ができるのでしょうか?
ヒートショック対策とは?
さて、ヒートショック対策のポイントは、温度変化を最小限にすることですよね。
このポイントを抑えると、いくつか対策が見えてきます。
❶脱衣所と浴室を温める!
最もオーソドックスな方法ですよね。
ただ、私がすんでいるマンションも実家同様、暖房設備がありません・・・
そのため、例えば浴槽の蓋はしめないことで、浴槽に溜めたお湯で浴室を温めることができます。
また、シャワーを使えば15分間で10℃上昇しますが、水道代とガス代がもったいないためお湯をためる際に15分程シャワーを使うなどの工夫はやってみてもいいかもしれません。
なんにしても、「持病がある人」や「高齢者」、「肥満の人」などは一番風呂は避けた方がいいでしょう・・・
*浴室にマットを敷いておくことも有効
➋お風呂の温度を低めに設定!
先程もお伝えしたように、熱めのお湯も危険です。
そもそも、お風呂の温度は42℃以上になると、心臓への負担をかけることになります。
そのため、38~41℃に設定しての入浴が勧められてれています。(41℃以上になると浴室での事故が増える傾向にある)
あとは、「首まで浸からず胸のあたりまでにすると心臓への負担を軽減」・「入浴時は、手・足など心臓から離れた部分からかけ湯をして浸かる」などして、心臓への負担を減らします。
❸お湯からは急にでない!
お湯に浸かっているときは、身体が温められているため血管は弛緩するため血圧は低下しています。
そんな状態で浴槽から急に立ち上がると、脳まで血を運ぶことができず「めまい」・「失神」などを引き起こす可能性があります。
もしも、高血圧の人なら降圧剤(血圧を下げる薬)を服用しているのではないでしょうか?
こういった場合は、特に注意が必要になります。
当然、飲酒後の入浴も危険です。(飲酒後は血圧が下がる)
そして、入浴前には水分摂取をすることで脱水や血管が詰まるリスクを抑えることができます。
100%なくすことはできませんが、一手間加えるだけでリスクを大幅に軽減することができます。
最後に
ヒートショックは、必ずしも高齢者だけの健康被害ではありません。
若い人であっても、心臓麻痺までいかないとしても、私のように失神は当たり前に引き起こされます。
また、持病もなくて健康的な人であっても、「飲酒後」や「体調不良」になることはありますよね。
そんな時、熱い浴槽から寒い浴室内に出ようと急に立ち上がって、気を失ったらどうなるでしょうか?
全国で浴室内の死亡事故は、毎年1万人を軽く越えています。
自分がその1人にならないように、できる対策はしておいて損はないでしょう。
ちなみに、天気予防のようにヒートテックに気を付ける日(ヒートショック予報)を調べることができます。
→「ヒートショック予報」はこちら。
参考
恩賜財団済生会:冬場に多発! 温度差で起こるヒートショック
→https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/heatshock/
STOP ヒートショック!
→https://heatshock.jp/column/shibousuu/
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