皆さんは、「ドケルバン病」という病気を聞いたことがあるでしょうか?
「テキスト・サム損傷」なんて呼ばれ方もします。
今回は、「とても身近なドケルバン病」についてご紹介します。
「ドケルバン病」ってそもそもなに?
人間の親指には・・・
- 長母子外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん):親指を広げる(外転)させる腱
- 短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん) :親指を伸ばす(背屈)させる腱
があります。
→親指を広げたり伸ばしたりするためには、この2本の紐状の腱(けん)が必要!
そして、「紐は束ねておかないと絡まったりしては大変」という理由かどうかは分かりませんが、この二つの腱を覆うことで保護しているトンネル(腱鞘)でカバーしています。
ところが、手指や手首を何度も繰り返して使うことで、腱と腱鞘がこすれて炎症を引き起こしてしまいます。
この炎症が、手首の親指側に引き起こされるのがドケルバン病です。→「狭窄性腱鞘炎」とも呼ばれます。
簡単に言ってしまえば、「手首の親指側に起こる炎症=ドケルバン病」です。
どんな人がなるの?
- 親指の使いすぎ
- 更年期の女性
- 出産前後の女性
- 糖尿病・・・手足の血流が悪くなるため、むくみやすく、炎症が起こりやすい。
簡単に言えば、「親指をよく使う人」です。
スマホやパソコン操作・ギターやピアノなどの楽器演奏などがその代表です。スマホはいまや誰もが持っているため、気付いた時には炎症を起こしているかもしれません。
ちなみに、女性に多いとも言われますが女性ホルモンのバランスが乱れることで、手がどうしてもむくみやすくなります。
このことが、「炎症に関係している」と言われています。
ちなみに、首のすわっていない赤ちゃんの頭を支えながら抱っこしたり、抱き上げる姿勢も手首の腱鞘に負担をかけることになります。
このように、女性に圧倒的に多い病気でもあります。それでは、ドケルバン病になっていないかチェックしてみましょう!
チェック方法は?
アイヒホフ・テスト
①親指を握り込んだ状態で
②手首を小指側に曲げた際
③母指の付け根に痛みを生じる
→ドケルバン病の可能性が高いと言えます。
フィンケルシュタインテスト
①手を出して親指を内側に倒す。
②反対の手で親指を掴み小指の方へ引っ張る。
③痛みが増す。
→ドケルバン病の可能性があります。
なんだか、影絵に挑戦しているみたいに見えますね・・・
それはそうと、このようにいくつかチェック方法があります。
それでは、当てはまってしまった人には、どんな治療があるのでしょうか?
手術になる可能性も!?
①基本的な治療(軽症)
- 親指の制限
- 湿布などの外用薬
- 温熱やレーザー治療器
このように、いわゆる「消炎鎮痛療法」により軽快することがほとんどです。そもそも、治療は安静にすることが大前提です。
②疼痛が著しい場合(日常生活に支障がある)
- ステロイドや局所麻酔剤などを腱鞘内に注射。
注射により、軽快することがほとんどです。
③再発
「症状が治まった!」といって、親指を酷使すると当たり前ですが再発してしまいます。しかも、ステロイド注射を繰り返していると、感染の腱の断裂を招くことがあります。
④手術
症状の改善がなく、治療が難しい場合は、手術となる場合があります。手術自体は、日帰りで終わるぐらいの短時間の手術になるようですが、知覚神経がそばを通っているためリスクがあります。
とにかく、痛みがあったなら早い段階で受診することをオススメします。
酷使が原因!
この一言に付きます。
職業病の場合は、例えば「手首にサポーターを巻いたり」「痛み止めを飲みながら」、介護現場で働いている方がたくさんいらっしゃいます。
ただ、最近ではスマホの使いすぎが原因になっていることが増えています。
今回の記事を書いた理由は、まさにこれなんですが・・・
実は、スマートフォンをよく使う人達が「ドケルバン病」と診断されており「スマホ腱鞘炎」なんて呼ばれ方までしています。
予防方法は?
- スマホは、片手で持たずに両手で支える。
- 本をめくるときなどに、手首を裏返すような動作をしない。
- 1時間に10分休憩するなど、休憩する時間を作る。
- 大豆製品をバランス良く摂取する。
当てはまった人は、今日から実践してみて下さい!
最後に
スマホを片手で操作するときに、小指にスマホを乗せて操作する方もいらっしゃると思います。
ただ、このやり方も小指の「変形」や「痛み」が生じるため、すぐに止めた方がいいでしょう。
ドコモ公式サポートがツイッター上でも注意喚起を促しています。
ただし、ツイッターでは「テキスト・サム損傷」と書かれていますが、「サム=親指」のことです。
つまり、「テキスト・サム損傷」は今回紹介した手首の親指側に引き起こされる「ドケルバン病」のことですので、「スマホ腱鞘炎」のほうが正しいと思います。
さて、子ども達は生まれたときからスマホが当たり前のようにあるため、使いこなしてしまいますよね。
ただ、酷使することで腱鞘炎になることがあるため注意してあげて下さい。
他にも、スマホは「依存症」や「認知症」の原因になったり、ブルーライトの影響などで視力が落ちたりと問題が指摘されています。
子どもに限らず、使いすぎにはご注意下さい。
→スマホ認知症については、こちらの記事で紹介しています。
参考
いしがみ整形外科クリニック:ドケルバン病
→http://ishigami-seikei-cl.com/
社会福祉法人恩賜財団済生会:ドケルバン病
→https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/de_quervain_tenosynovitis/
ツイッター:ドコモ公式サポート
→https://twitter.com/docomo_cs/status/573332159911612416
公益社団法人日本整形外科学会:「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」
→https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/de_quervain_disease.html
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