今回は、「子どもが怠けてる?」
と思ったときに「ひょっとしたら病気かな?」
と考える視野を広げるためのお話し。
「起立性調節障害(OD)」の紹介です、
起立性調節障害とは?
「起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation)」は、自立神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。
10~16歳の子ども達に多く見られます。
しかも、割合は意外と高いです。
どれぐらいの割合?
軽症例も含めて・・・
- 小学生→約5%(25人に1人)
- 中学生→約10%(10人に1人)
- 重傷は、約1%(100に1人)
*不登校の約3~4割に起立性調節障害を併存していることから、注意すべき疾患といえます。
あなたが子どもの頃に、こんな症状はありませんでしたか?
- 立ちくらみやめまい
- 失神
- 朝起き不良(午前中は調子が悪い)→夜になると元気になる
- 倦怠感
- 動機や息切れ
- 頭痛
- 入浴後や嫌なことがあると気分が悪くなる
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- 腹痛
- 頭痛
- 乗り物酔い
など、3つ以上または2つ以上の症状が強ければ疑われます。
私は、中学生のころ1~12のなかで半分以上が当てはまりました。顔色はあまりよくないといわれ、特にひどい乗り物酔いや午前中は腹痛とともに調子がずっと悪かったことを覚えています。
とりあえず、なんとか朝は起きて朝食後は登校時間ギリギリまで身体を休めていました。
今から考えると、起立性調節障害だったのかもしれません。
今となってはわかりませんが・・・
ただ、厳しい家庭だったこともあり、私自身にも休むという選択肢はありませんでした。
この病気の特徴は?
子どもが大人になるための第二次性徴期とも重なり、さまざまな機能が大人へと変化していく時期でもあります。
ただ、この変化は自律神経系にも起こります。
「真面目で気を遣う子どもに起こりやすい」のですが・・・
このように言われると、「気持ちの問題!」なんていいたがる人がいます。→父親がそうでした。
ただ、これは体の病気です。
本人の努力でどうこうなるものではありません。
起立性調節障害4つのタイプ
起立直後性低血圧
起立直後に一過性の強い血圧低下が起こります。
この時、同時に強い立ちくらみと全身倦怠が起こります。
→血圧回復時間が25秒以上なら、「起立直後性低血圧」と診断されます。
*起立時の血圧低下が強く、収縮期血圧(最高血圧)が15%以上低下したままなら重症化と診断されます。
体位性頻脈症候群
起立時頻脈とふらつき、倦怠感、頭痛といった症状があります。
*起立時の血圧低下は見られません。
起立時の心拍数が115以上、または起立中の平均心拍増加が35以上あれば「体位性頻脈症候群」と診断されます。
神経調節性失神
起立中に急激な血圧低下によっていきなり失神するタイプ。
立っていられなくなり、失神や失神前症状を引き起こす。
遷延性起立性低血圧(せんえんせい)
起立数分以降に血圧が徐々に下降し、起立失調症状が出現します。
*失調症状とは、ある機能が調整を失うことをいいます。
このように、起立性調節障害は身体症状がはっきりと現れます。
治療法は?
生活指導と薬物療法があります。
具体的な生活指導は・・・
- 散歩程度の軽い運動。
- ゴロゴロしないようにする。
- 下半身に血圧がたまり血圧低下が起こると考えられるので、起立時は30秒ほど時間をかける。また、起立中は足踏みをする。
- また、脱水により血圧が低下するためこまめに水分補給をおこなう。→夏場は特に注意が必要。
- 脱水に気をつけて入浴は短時間ですます。
- やや多めの塩分を接種する(食塩:10~12g)
このように、注意することはたくさんありますがまずは小児科へ受診し病気を確定する必要があります。
子どもは、すぐにサボろうとします。
ただ、好きなことなら積極的にしようとしますよね。
ですが、好きなことさえできないようなら病気を疑うべきかもしれません。
ゴロゴロしていれば、「ただ怠けるだけだ!」とどうしても思ってしまいます。
ですが、長引くようなら病気の可能性があります。
今回は、「子どものサボり癖と思っていたことが、実は病気かもしれない」という視点を広げてもらうための記事でした。
まとめ
- 子どもが「朝、起きられない」・「ゴロゴロしている」のは、起立性調節障害かもしれない。
- 起立性調節障害は病気であるため、小児科へ受診する必要がある。
- 起立性調節障害は、失神や立ちくらみが起こりやすく中学生では約1割に起こる疾患。
参考
日本小児心身医学会
→http://www.jisinsin.jp/detail/01-tanaka.htm
起立性調節障害 Support Group
→https://www.od-support.com/
第2回小児心身医学会勉強会平成17年8月3日より
→http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/peditrcs/group/kiritsusei.pdf
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