●この記事では、乾癬という病気についてまとめています。
新型コロナウイルスの影響が続いています。ただ、そもそも「心」も「体」も全くの健康体の人はどれだけいるのでしょうか?
新型コロナウイルスに関して言えば、「無症状の人」までいるため正直、なにをどうすればいいのか分からなくなりますよね・・・
ただ、目に見えるからこそ大変な病気もあります。
今回は、感染症が別の病気を引き起こす事例として、『感染することは決してない「乾癬」』についてご紹介します。
「乾癬」ってそもそもどんな病気?
例えば、以前紹介した「水虫」は、皮膚が白癬菌に感染することで引き起こされる感染症です。
しかも、剥がれ落ちた皮膚でも白癬菌は生きられるために、不特定多数の人が使用される「公衆浴場」や「病院のスリッパ」などは特に消毒などが徹底されています。
このように、感染する皮膚病は身近にあります。
→「水虫」については、こちらの記事で紹介しています。
それでは、なぜ乾癬は水虫のように感染することがないのでしょうか?
そもそも、どういった症状があるのでしょうか?
乾癬はどうして引き起こされるの?
そもそも、乾癬は「皮疹(ひしん)」ができる病気です。
通常、私達の皮膚の表皮細胞は45日の周期で新陳代謝を繰り返すことで皮膚の状態を維持しています。
ところが、乾癬の皮膚では新陳代謝が通常の約10倍という異常なスピード(4~7日)で皮膚が作れられていきます。
その結果、角質が積み重なり皮膚が厚くなってしまいます。
当然、通常の皮膚状態とは違うためさまざな影響が出てきてしまいます。
→「免疫細胞から情報伝達物質(サイトカイン)が過剰に放出されることが原因」と言われている。
つまり、乾癬はたしかに皮疹ができてしまい、積み重なった皮膚は例えばフケのように落ちてしまいます。
ですが、水虫のようになにかに感染しているわけではありません。
そのため乾癬は、水虫のように例えば一緒にお風呂に入ったからといって、感染することはまずありません。
*乾癬は、他の人に感染させるものがそもそも存在しないため、感染させることは不可能。
それでは、乾癬の原因はなんなのでしょうか?
乾癬は「遺伝」と「環境」が原因?
乾癬は、「情報伝達物質が過剰に放出されるために引き起こされる」とお伝えしました。
それでは、そもそもどうして情報伝達物質が過剰に放出されるのでしょうか?
実は、「乾癬になりやすい遺伝子」がすでに見つかっています。
さらに、生活習慣の乱れ・肥満・ストレス・飲酒。喫煙・感染症といった環境要因が影響してしまうことで、情報伝達物質が過剰に放出され炎症を引き起こすことが分かっています。
つまり、「遺伝子と環境要因によって、例えば新型コロナウイルスにより乾癬の引き金になる可能性がある」ということになります。
もっと言えば、例えば新型コロナウイルスに感染していなくても、そのストレスやストレスにより飲酒や喫煙、暴食してしまえば肥満につながり乾癬になる可能性があります。
→新型コロナウイルスに感染しなくても、それに振り回されるだけで、乾癬になりやすい遺伝子があれば乾癬になる可能性がある。
それでは、そもそも乾癬はどれだけの人がいるのでしょうか?
「乾癬」はどんな病気?
日本では、約40~50万人の患者がいると推計されていて「男:女=2:1」とされ、男性の方が多くなっています。
→発症のピークは、30~50代とされている。
つまり、乾癬は全体で見れば1%も満たないことになります。それでは、乾癬にはどういった症状があるのでしょうか?
乾癬には5種類がある?
乾癬ネットでは、さまざまな乾癬いついてまとめられています。
実は、「乾癬」と一言でいっても5種類に分類されていますが、そもそも乾癬全体の約9割は慢性の病気「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」です。
①尋常性乾癬とは?
- 紅斑:皮膚が赤く盛り上がる
- 浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう):盛り上がる
- 鱗屑(りんせつ):皮が剥けてカサカサした状態
- 落屑(らくせつ):フケのようにボロボロと剥がれ落ちる
こういった皮疹が見られるため、どうしても目立ってしまうことになります。
→皮疹は、頭皮や髪の生え際、肘、膝、腰のまわりなどにあらわれやすい。
さらに、関節リウマチのような症状が出る「乾癬性関節炎」があります。
②乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
「関節症性乾癬」と呼ばれることもあり、「乾癬全体の3~10%」とされています。
この乾癬は、関節リウマチのように関節が・・・
- 腫れる
- 痛み
- 関節の変形
といった症状が現われます。
本来、リウマチなら整形外科に受診することになりますが、乾癬性関節炎の場合は専門の皮膚科に受診する必要があります。
他にも・・・
③滴状乾癬(てきじょうかんせん)
若い人に多く、扁桃炎の後などに直径1㎝(水滴ぐらいの大きさ)の小型の皮疹が急に全身に現われる。
→乾癬全体の約4%(尋常性乾癬に移行する場合もある)
④乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)
尋常性乾癬の皮疹が全身に広がり、皮膚全体の80%以上が赤くなった状態。
→乾癬全体の約1割
⑤汎発性膿疱性乾癬(はんぱつせいのうほうせいかんせん)
発熱や皮膚の発赤とともに、無菌性の膿疱(うみを持った水疱)がたくさん現れる。
→非常にまれ(指定難病に指定され、治療に急を要し難治性で入院治療が必要)
つまり、乾癬はリウマチに間違えられやすい症状のものもあれば、尋常性乾癬に移行するもの。さらに、「非常にまれ」とはいえ、指定難病に指定されているものまであります。
このように、新型コロナウイルスの影響は、感染しなくてもうつ病などの精神疾患だけでなく、乾癬のように身体的な病気の引き金になる場合まであります。
それでは、乾癬は治療できない病気なのでしょうか?
乾癬は寛解(かんかい)を保てる!?
「乾癬」は、症状が悪化・軽減を繰り返す状態が続きます。
ですが、適切な治療・ケアをすることで、寛解(症状がよくなっている状態)を保つことができます。
それでは、どういった治療がなされるのでしょうか?
→2010年からの10年間で、特に治療が進んでいる。
外用療法
外用療法というのは、「ぬり薬」のことです。
ただ、外用療法でもうまくいかなければ、「内服薬(飲み薬)」や「光線療法(人工的に紫外線を照射)」などを組み合わせて治療がおこなわれることになります。
さらに、2010年からは注射や点滴でおこなわれる「生物学的製剤」が乾癬治療に承認されました。
→生物学的製剤は、皮膚症状、爪・関節の変形を防ぐ効果も期待されている。
このように、乾癬の治療は有効な手段がみつかってきています。
最後に
乾癬は、感染症と間違われやすい病気の1つです。そして、感染症や普段の生活習慣が引き金になってしまいます。
新型コロナウイルスの影響は、さまざまな所に現われています。
また、乾癬にもかかわらずリウマチのような症状がでたら、整形外科では原因が分からないかもしれません。
皮膚科の専門医がいる医療機関に受診する必要があるでしょう。
新型コロナウイルスもそうですが、正確な診断ができて初めて治療が開始できます。
今回は、新型コロナウイルスが引き金になるかもしれない、「乾癬」という感染しない病気のお話しでした。
参考
松本裕子の病を知るー2020年8月9日放送 “乾癬“を知る①〜症状や原因は‥乾癬ってどんな病気?
→https://www.youtube.com/watch?v=Kb4IZBoTMJ0
松本裕子の病を知るー2020年8月23日放送 “乾癬“を知る②〜治療をあきらめない!乾癬と共に生きる
→https://www.youtube.com/watch?v=nM_r2nTswR0
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