前回、子どもの貧血についてご紹介しました。

「貧血」には、さまざまな原因がありますが、今回は前回の記事でも取り上げた「鉄欠乏性貧血」について詳しく見ていきます。

 

「子どもの貧血」についてはこちらの記事で紹介しています。

子どもの貧血 ~普段の食生活が影響!?~ 貧血シリーズ❶

 

「貧血」のおさらい

貧血は、血が足りなくなるから起こるのではなく医学的には、血液中の赤血球の数が減ったり、へモグロビン濃度が低い状態の時に引き起こされます。

つまり、赤血球の容量が少なくなった状態→「血が薄くなった状態=貧血」です。

赤血球は、酸素を運ぶ役目があることは皆さんが学校で習ったとおりです。

赤血球が少なくなれば、全身に十分な量の酸素を運搬することができず、倦怠感やめまいといった症状に悩まされることになります。

さて、「貧血」についての復習はこのくらいにしておきます。

それでは、「鉄欠乏性貧血」とはどういった貧血なのでしょうか?

 

「鉄欠乏性貧血」という病気

鉄欠乏性貧血は、日本では頻度の高い貧血で成人女性の約25%が発症しているといわれるほど一般的な貧血です。

原因は、赤血球細胞内の重要なタンパク質であるヘモグロビンを構成する鉄が不足して引き起こされます。

例えるなら、鯛焼きの中のあんこが足りない状態です。(尻尾まであんこが詰まっていない状態)

→せっかく皮はカリカリに焼けているのに、中身の餡が足りないとがっかりしてしまいますよね。

 

補足!

鯛焼きで説明するなら・・・

  • 「赤血球」=皮の部分。
  • 赤血球の主な構成要素が「ヘモグロビン」=餡の部分。

そのヘモグロビンが足りないと言うことは、「鉄が不足している」と言うことです。

 

なぜ、鉄が不足するの?

  • 吸収低下(偏食・胃腸切除など)
  • 排泄の増加(月経などの性器出血・消化管出血)
  • 需要の増加(成長期・妊娠・授乳など)

つまり、「そもそも摂取する量や吸収できる量が足りない」・「身体から排出されやすい」・「たくさん消費する」。

こういった理由があるため鉄不足に陥ります。


これだけを見ると、「鉄欠乏性貧血は男性には無縁?」かといえばそうではありません。

私も貧血持ちですが、貧血は男性にも多く引き起こされます。

しかも、男性の場合は大腸癌など重大な病気が隠れている場合があります。

確かに、男性は女性のように生理はありません。

それでは、なぜ貧血になっているのか?

例えば、その理由が消化管出血を起こしていることが原因かもしれません。

つまり、鉄を十分に摂取しているのにも関わらず貧血が起こるのなら、どこかで使われていることになります。

このように、貧血は誰にでも起こります。

perianjs / Pixabay

 

ヘモグロビンが少なくなると?

ヘモグロビンは、酸素を身体の隅々まで運搬するという重要な役割を担っています。

つまり、ヘモグロビンが少なくなると全身が酸欠状態になっています。

 

体は酸素不足を解消するために・・・

  1. 肺は酸素をたくさん取り入れようとする。
  2. 心臓は、たくさん血液を送ろうとする。
  3. 心臓は、普段以上に働くため動悸・息切れを引き起こす。

 

さらに貧血が進むと・・・

  • 顔色が悪くなる。
  • 疲れやすくなる。
  • めまい。
  • 足がむくむ。

つまり、放置すると症状が進行していくことが分かります。


また、鉄欠乏性貧血が進行すると・・・

自覚症状

  • 全身の倦怠感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 動悸
  • 息切れ

 

他覚症状(医師などから客観的に見てとれる症状)

  • 眼瞼結膜
  • 顔面の蒼白

など。

 

その他

  • さじ状爪(爪が平たく平坦な状態)
  • 舌炎
  • 口角炎
  • 嚥下障害
  • 異食症(氷を食べるなど)

こういった症状も見られます。

このように、鉄欠乏性貧血に限らず貧血を放置することはリスクでしかありません。

それでは、どうすれば鉄欠乏性貧血は予防・改善できるのでしょうか?

 

鉄欠乏貧血を解決するには?

ヘモグロビンの材料である鉄が不足することで鉄欠乏性貧血は引き起こされるため、鉄をしっかり摂取することで予防・改善ができます。

ただ、現代の食生活にはそもそもさまざまな問題があります。

  • 食物に含まれる鉄が少なくなった。
  • 加工精製の過程で、鉄をはじめミネラルが失われている。

つまり、手軽な食品からは十分な鉄が摂取できない環境にあります。


ラーメンなど炭水化物に偏った食事や、ダイエットをしてしまうと鉄が不足しがちになります。

それでは、どういった食事を摂ればいいのでしょうか?

実は、「鉄」とひと言でいっても「へム鉄」「非へム鉄」があります。

 

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」

  • ヘム鉄:肉や魚などの動物性食品に多く含まれている。
  • 非ヘム鉄:野菜や穀類などに多く含まれている。

ヘム鉄の方が、非ヘム鉄よりも鉄としての吸収力が高いことが特徴です。

その差は、ヘム鉄の方が5~6倍高いことが分かっています。

 

ヘム鉄の食品

  • 豚レバー
  • 鶏レバー
  • 牛もも赤肉
  • しじみ
  • あさり
  • かつお

など。

 

非ヘム鉄食品

  • ほうれん草
  • 小松菜
  • ひじき
  • 大豆
  • 油揚げ
  • 卵黄

など。


とはいえ、バランスのよい食事が基本ですので、ヘム鉄ばかりの食品では偏ってしまいます。

そういう意味では、野菜と肉やレバーを一緒に食べることができる例えばニラレバ炒めなどは、まさにもってこいのメニューだと言えます。

ちなみに、「酸味」や「辛み」で胃の粘膜を刺激すれば、胃酸の分泌が促進され鉄の吸収率がアップします。

レモン・梅干し・酸味(酢など)・赤唐辛子・辛子・わさびなどを料理に付け加える。

 

病院での治療は?

鉄の量を増やすために鉄材の内服や注射が実施されます。

ただ、治療までに2ヶ月以上かかることが多く、場合によっては6ヶ月程必要な場合もあります。

 

最後に

鉄を吸収しやすくするために、ビタミンCを一緒に摂取すると効果的であることが知られています。

例えば、肉にレモン汁をかけるだけでも効果があります。

また、ビタミンB群や葉酸、銅、タンパク質など身体に必要な栄養素はさまざまな物があります。

結論からいえば、「好き嫌いなくまんべんなく食べましょう!」

ということですね・・・

皆さんの食生活は偏っていませんか?

もし、貧血の症状があるのなら早めに対処して下さいね。


参考

サワイ健康推進課
https://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/theme/201706.html

恩賜財団 済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/hypoferric_anemia/

つだ小児科クリニック
https://www.tsudashonika.com/tetu/

ILS
http://www.ils.co.jp/functionalfoods/product/hemeiron/?PHPSESSID=ce9ef5ab284e64f59192bd39aea955ae

 

 

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