これまで、貧血についてご紹介してきました。
ちなみに貧血は、血液の質(鉄分の量)の問題で起こることが原因です。
それでは、脳貧血の原因にもなる「低血圧」についてはどれほどご存じでしょうか?
今回は、「なぜか基準があいまいな低血圧が引き起こす身体への影響!」ついご紹介します。
→貧血と脳貧血については、こちらの記事で紹介しています。
低血圧の基準はあいまい?
普段、自分の血圧をはかることはほとんどないのではないでしょうか?
ちなみに、私が高齢者施設で働いているときは利用者の毎朝のバイタルチェックは確実にチェックしていました。
ですが自分自身のバイタルは、それこそ年に1回の健康診断の時ぐらいしか測ることはありませんでした。
一般的には、これが普通ですよね・・・
それでは、そんな血圧測定であなたは「低血圧」と言われたことはありますか?
実は、低血圧に国際的な診断基準はありません。
日本の病院では、最高血圧(収縮期血圧)が100mgHg以下を目安にしている所もありますが、確定的なものではありません。
そもそも「血圧」ってなに?
血圧の話しをする前に・・・
そもそも、「低血圧」は女性特有の症状ではありません。
確かに、「貧血」も「低血圧」も女性の方が割合は多いですが、男性も少なくありません。
また、全体的に見ると女性が多いですが中高年になるにつれて、男女差は小さくなっていくことも知られています。
それでは、「血圧」について説明します。
血圧ってなに?
「血圧」とは、心臓から送り出された血液が血管を押す圧力のことです。
- 心臓が収縮する力
- 身体の各部分に血液を分配する血管の硬さ
- 血管内の血液量
などによって、血圧の値は規定されています。
血圧と身体の関係
地球には、重力がありますよね。
その重力に対抗して、血液を身体全体に送られなければ、そもそも生命維持が難しくなります。
なぜなら、私達の身体には約52兆個もの細胞があり、血液はその一つ一つに酸素と栄養を送り届けているからです。
そして、この血液循環をコントロールしているのが、自律神経です。
さて、そんな血圧はそもそも一定ではなく、起床時や食事、運動の他にも、日常生活・ストレス・室温などあらゆる要素により、常に変動しています。
→当然、運動をすれば血圧は上がり・運動後安静にしていれば血圧は下がります。
*ちなみに高血圧は、安静時にも血圧が高い場合の病気です。
それでは、低血圧にはどんな種類があるのでしょうか?
低血圧の種類
時間による分類
①急性低血圧
- ショック
- 急性のアレルギー症状
- アルコール
- 人工透析
このように、短時間に低血圧が進行する場合。
急性の低血圧は、大量出血・高度脱水・広範火傷・重症感染症・心機能低下などで起こります。
つまり、事故や重篤な病気など救急の処置が必要な場合が多いという特徴があります。
②慢性低血圧
- 体質性低血圧:低血圧があっても日常生活に支障がない。
- 病的低血圧 :日常生活に支障のある低血圧。
慢性期に引き起こされているため、日常になってしまっている。
低血圧のタイプ
①本態性低血圧
「本態性」とは、原因が分からないと言うことです。
つまり、原因となる疾患がないにも関わらず、血圧が常に低い状態が継続している状態です。
- 体質
- 遺伝
などが考えられますが、他に病気の可能性がなければ本態性低血圧と診断されます。
《症状》
- めまい、立ちくらみ
- 頭痛、頭重感
- 耳鳴り、肩こり
- 不眠、倦怠感、疲れやすい、寝起きが悪い
- 動悸
- 便秘、食欲不振、下痢
- 胃もたれ、胸焼け
など・・・
さまざまな不快症状を引き起こします。
②起立性低血圧
脳貧血の原因のひとつとしても紹介しましたが、血圧が低くなくても引き起こされる低血圧です。
横になった状態から急に立ち上がる・長時間立ち続けると血圧が下がり「立ちくらみ」や「めまい」を引き起こします。
発生理由から、「体位性低血圧」とも呼ばれます。
→最大血圧が20mmHg以上さがるという特徴があります。
《症状》
「立ちくらみ」や「めまい」以外にも・・・
- 失神
- 暑さに弱い
- 下痢をしやすい
といった症状もあります。
*血圧を調節する自律神経の働きがアンバランスの状態になることで引き起こされると言われています。
③症候性低血圧(二次性低血圧)
低血圧になった病気の原因がはっきりと分かっていることが特徴です。
血圧が低くなる病気はさまざまありますが、急激に低血圧になる場合と慢性的に低血圧が続く場合があります。
《急激に低血圧になる病気》
- 心筋梗塞
- うっ血性心不全
など。
《慢性的に低血圧になる病気》
- がん
- 慢性伝染病(肺結核など)
- 貧血
- 白血病
- 甲状腺機能低下
- 肝硬変
など。
このように、低血圧とは「血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなった結果、めまいや立ちくらみといった症状が引き起こされます。」
症状をまとめると・・・
- 脳循環の障害からくる症状・・・立ちくらみなど。
- 心臓を中心とした循環器症状・・・動悸や息切れなど。
- 呼吸器症状・・・呼吸困難・過呼吸など。
- 消化器症状・・・食欲不振や胃もたれなど。
- 慢性の痛み・・・慢性頭痛や肩こり、四肢の冷えなど。
- その他・・・目が疲れやすい、排尿時の失神など。
低血圧になることで、さまざまな全体症状が引き起こされます。
それでは、低血圧を改善することはできるのでしょうか?
低血圧を改善
食事をしっかり摂る
「医食同源」という言葉がありますよね。
これは、日頃からバランスのとれた食事を摂ることで病気を予防・治療しようという考え方です。
慢性的に低血圧の状態になっている人は、食の細さから食事をきちんと摂らないことが多い傾向にあります。
特に、タンパク質が不足しがちになるためたくさんでなくとも、毎食必ず摂る必要があります。
→タンパク質は・・・
- 筋肉や血管(ポンプ機能を担う)の材料
- 血液を作る栄養源
血圧を上げる食品を取り入れる
①血圧を上げる効果がある「チラミン」摂取
- チーズ(特にチェダーチーズ)
- ココア
- 発酵食品
- 熟成食品
など。
②血管や神経に働き、血圧を上げる「カフェイン」の摂取
- 紅茶
- 緑茶
- コーヒー
など。
ただし、1日3~5杯程度。
③水分摂取
1日に1~2Lの水分を摂取することで、血液量を増やすことができます。
ただし、足のむくみが出る場合は量を減らす必要があります。
運動
足の場合、血液循環に大きな役割を担っているのは、ふくらはぎです。
つまり、ふくらはぎの筋肉を鍛えることで血液循環を改善することができます。
デスクワークの方も多いと思いますが、ウォーキングや階段昇降などを意識するといいでしょう。
ただし、少しの運動で動悸や息切れなど身体に負荷がかかり過ぎる場合は、受診することをオススメします。
最後に
低血圧は、高血圧とは違いそれほど深刻に捉えられることは少ない印象があります。
ただ、症状を見てもらえれば分かるように、かなりしんどい全身症状を引き起こすこともあります。
また、病気の可能性もあるため安易に捉えるのは間違っていると言えるでしょう。
低血圧の方に限ったことではないですが、「医食同源」を意識してみてはいかがでしょうか?
参考
omron
→https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/63.html
→https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/bloodpressurelab_basic/contents1/111.html
HelC+
→https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_5000_w5000375
千代田国際クリニック
→https://www.ciclinic.net/%E4%BD%8E%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
社会福祉法人 恩賜財団済生会
→https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/hypotension/
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