インフルエンザにも「注意報・警報」がある? 警戒レベルでなにが分かるの?

 

皆さんは、インフルエンザの流行に天気予報のような「注意報・警報」といった警戒レベルがあることをご存じでしょうか?

ちなみに、2019年12月の時点で「15日までの1週間でインフルエンザは注意報レベルに達した」と厚生労働省が発表しました。

ですが、注意報レベルならたいしたことがないと思ってしまう人もいるでしょう。

今回は、「インフルエンザの注意報・警報の違い」についてご紹介します。

 

感染症サーベランス事業

サーベランス(「サーベイランス」とも呼ばれる)とは、「注意深く監視する」ことです。つまり、日本語に訳すと「感染症発生動向調査」という意味になります。

さて、この感染症サーベランスは厚生労働省が実施している事業の1つです。

全国には、約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。

そのため、冒頭で「厚生労働省が15日までの1週間で・・・」と紹介したように「1週間の期間」で発表されています。

さらに、過去の患者発生状況をもとに基準値を設けることで、保健所ごとにインフルエンザ患者数の基準値を越えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。

つまり、各関係機関が連携して発表されています。

 

保健所を見れば地域のインフルエンザの流行が一目でわかる!?

国立感染症研究所感染症疫学センターでは、「警報・注意報発生システム」により、全国マップで一目で分かるようになっています。

都道府県ごとに・・・

  • 「警報レベル」を超えている保健所があれば赤色系3段階。
  • 「注意報レベル」を越えている保健所があれば黄色系3段階。

つまり、このマップを見れば日本のインフルエンザの発生状況を6段階の色分けで一目で知ることができるようになっています。


ちなみに、色の段階は各都道府県の保健所数に対して、警報・注意報レベルを越えている保健所数の割合です。

*都道府県ごとに全保険所数と警報・注意報レベルを越えている保健所の数も見ることもできます。

最新のマップ(2019年12月18日時点)は、こちらから確認することができます。

インフルエンザ流行マップ

Tumisu / Pixabay

警報と注意報

警報・注意報レベルの見方!

  警報・注意報レベルを越えている保健所数の割合
警報 大きな流行の発生・継続が疑われることを示します。 70~100%  
30~70%  
0~30%  
注意報 流行の発生前であれば今週4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを、流行発生後であればその流行がまだ終わっていない可能性があることを示します。 70~100%  
30~70%  
0~30%  

 

インフルエンザの「流行発生警報」と「流行発生注意報」の基準値とは?

~流行発生警報~

  • 開始基準値:30
  • 継続基準値:10

→警報は、1週間の定点当たり報告数が警報の開始基準値30以上の場合に発生します。

→前の週に警報が発生していた場合、1週間の定点当たり報告数が警報の継続基準値10以上の場合に発生します。

*警報の基準値は、過去5年間の流行状況(全国の定点を有する保健所数×5年間×52週・インフルエンザと小児科定点では延べ約17万週・眼科定点では延べ約7万週)の中で、一連の警報発生の起こる確率が1%程度になるように定められています。

 

~流行発生注意報~

  • 基準値10

→注意報は、警報が発生していないときに1週間の定点当たり報告数が注意報の基準値10以上の場合に発生します。

*注意報の基準値は、警報発生後の注意報を除いて、警報発生前の 4週間に注意報が出る確率を約60~70%、警報が発生しない期間に注意報が出ない確率を約95~98%、注意報が出た場合にその後4週間以内に警報が出る確率(注意報の的中率)を約20~30%になるように定められています。

ちなみに、警報や注意報はインフルエンザだけでなく、手足口病や風疹などさまざまな疾患があり、基準値も異なります。(手足口病のように、注意報がない疾患もあります)

インフルエンザの注意報が発生した時点で、警報になる可能性が高くなります。

くれぐれも「注意報だからまだ大丈夫」ということにはならないためご注意下さい。

Tumisu / Pixabay

 

最後に

インフルエンザの注意報レベルは、1医療機関当たり10人以上です。

一方、警報レベルは1医療機関当たり30人以上です。

インフルエンザの感染力は、すでに皆さんが実体験としてご存じの通りです。つまり、注意報に達した時点で、いつ警報レベルになってもおかしくないということです。

特に、子どもや高齢者の場合は注意が必要です。

インフルエンザは、重症化や合併により命に関わる場合もあります。そもそも薬が効かない耐性菌の問題(耐性インフルエンザ)もあります。

 

耐性菌については、こちらの記事で紹介しています。

薬剤耐性(AMR)が世界中で猛威を奮う ~日本国内の現状が明らかに!~

 

インフルエンザ情報は、ニュースでよく取り沙汰され、もちろんネットで検索しても情報が出てきます。予防接種が基本ですが、普段から睡眠や食時をしっかり摂って加湿器を付けるなど対策は怠らないようにご注意下さい。


参考

厚生労働省:令和元年度 今冬のインフルエンザ総合対策について

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/

インフルエンザ流行マップ

https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/guide.html

 

 

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