「マダニ」というと、皆さんはどんなイメージがありますか?
ひょっとしたら、「ダニなんて見たことない!」なんて方が多いかもしれませんね・・・
ですが、マダニに噛まれることで感染するダニ媒介感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」など、致死率の高い感染症になる可能性があります。
今回は、感染症を紹介する前にまず「意外と身近に存在するマダニ対策」についてご紹介します。
そもそも「マダニ」ってなに?
「マダニ」は、吸血性の中でも大型のダニの総称です。
さて、身近なマダニといえば、「犬に寄生・吸血してさまざま病害を引き起こす」ことが、CMなどでもよく注意喚起がなされています。
そのため、健康被害から愛犬を守るために必ず「1年中マダニ対策が必要」になります。(月に1度のマダニ予防薬など)
というのも、マダニのピークは梅雨の時期~夏にかけてですが、屋内なら13度を超えていれば冬でも十分に活動できるため、1年中存在しているからです。
さて、このマダニですが家に住むダニ(イエダニやヒゼンダニといった微少ダニ)とは違い、固い外皮に覆われています。
マダニ(成虫)の大きさは、吸血する前で約3mm~8mmで微少ダニの約8~10倍の大きさです。つまり、肉眼で見ることができます。
*犬に寄生する日本に分布するマダニは約20種類です。
ちなみに、マダニの分類を確認してみるとこんな分類になります。
ダニは節足動物ですが、昆虫ではなくクモの仲間です。そして、マダニは「マダニ科」に属しておりさまざまな病気の原因になります。
マダニの驚く吸血力!
生息地は?
マダニは、シカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する環境に多く生息しています。また、民家の裏側や裏庭・畑・あぜ道などにも生息しています。
つまり、自然が多いところにマダニが多く生息していることが分かります。とはいえ、マダニは日本全国に分息しており都内にも生息しているため、決して人ごとではありません。
注意点は?
《マダニに吸血されるまで》
1⃣マダニは、吸血するために地上1m位の植物の葉陰で野生動物や人を待ち伏せして、その身体に付着します。
→つまり、知らず知らずに衣類に付着したマダニを、そのまま家の中に持ち込む危険性があります。
2⃣身体に付着したマダニは、比較的柔らかい部位の皮膚(脇の下・足首・膝の裏・髪の毛の中など)にのこぎりのような歯を皮膚の奥に差し込み、セメント物質を分泌して固着します。
→固着により、マダニはちょっとそっとでは取れなくなります。
3⃣固着後、麻酔用物質の含まれた唾液を分泌し吸血します。
→麻酔用物質により、吸血されても痛みを感じにくくなります。
4⃣皮膚科での処置が必要となる場合があります。
マダニに咬まれると・・・
マダニの唾液には、麻酔様物質が含まれているため咬まれた直後は気がつかないことが多いです。そして、2~3日すると・・・
- 掻痒感(そうようかん)
- 灼熱感
- 軽度の痛み
ただし、1週間しても気付かない場合もあります。
「1週間」というのは、マダニは1週間程(10日間以上の場合もある)、長期間にわたって吸血するためです。そして飽血(満腹状態)になると、自ら離れていきます。
ですが、マダニは吸血することで約10~20mmにも膨れ上がるため、最後まで気付かない人がどれだけいるのでしょうか・・・
マダニを無理矢理とる危険性とは!?
先程説明したように、マダニは「のこぎりのような歯」と「固着」でがっちり吸血します。つまり、マダニを無理矢理剥がそうとすると、危険なことが起こる可能性があります。
- マダニの口器が口の中に残ることがある。→化膿・傷跡が残るなど。
- ウイルスを保有しているマダニに感染すると感染症にかかる。
マダニに刺さされたときの治療は、この「虫体の除去」と「感染症の予防」です。虫体の除去は個人でできる場合もありますが、感染症の予防は個人では難しいため基本的にマダニに血を吸われた場合、すぐに皮膚科へ受診する必要があります。
①マダニに吸血され、すぐに受診できない場合は先の細いピンセットで、頭部のできる限り皮膚に近い部位をつまんでゆっくり引き抜く。
②マダニを口器ごと引き抜いた後は、できるだけ早く皮膚科を受診する。
③マダニは捨てずに容器などに入れて一緒に持参。(ダニの種類を特定することで、診断や感染症の特定の手助けになる)
「マダニ」には咬まれないことが一番!
- 自然の中に入るときは、虫よけスプレーをする。(過信はしない)
- できるだけ、手足の露出は避ける。
- 白っぽい服装(明るい色など)の方が、衣類に付着したマダニを発見しやすい。
- 帰宅時、衣類はマダニの付着がないか確認してすぐに洗う。(衣類に付着していればガムテープで除去)
- 野山などを歩いた後は、入浴してマダニが身体にしがみついていないか確認する。
*正直、夏にする格好ではないので露出部分は十分ご注意下さい・・・
最後に
マダニは、年中存在しています。そして、一度吸血されれば簡単には剥がれません。
動物や草むらの近くに行くときは、必ずマダニが衣類や身体に付着していないか確認して下さいね。思わぬ感染症に感染するかもしれません。
特に、子どもは昆虫採集など遊びで公園や河川敷に行ったり、散歩中のペットに触れ合う機会もあるでしょう。もちろん、家がすでに生息地になっている可能性もあります。
お風呂の時など、必ず毎日チェックしてあげて下さいね!
→「ダニ媒介感染症」については、こちらの記事で紹介しています。
参考
Life with Pet
→https://www.bayer-pet.jp/pet/library/parasite/madani/madani01.html
東京都健康安全研究センター
→http://www.tokyo-eiken.go.jp/kj_kankyo/madani/
NIID国立感染症研究所
→https://www.fnn.jp/posts/00344710HDK
咽頭総合病院
→http://innoshima-hospital.jp/2013/09/01/kenkou_025/
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