新型コロナウイルスが「検疫感染症」に指定! これからなにが変わる?

 

前回、新型コロナウイルスが「指定感染症」に指定されることをお伝えしました。

そして、もう一つ2020年2月1日に「検疫感染症」に指定されることも決定しています。

今回は、「検疫感染症に指定されると何が変わるのか?」についてご紹介します。

 

→「指定感染症」については、こちらの記事で紹介しています。

新型コロナウイルスが「指定感染症」に!? そもそも「感染症の分類」ってなに?

 

そもそも「検疫感染症」ってなに?

例えば、前回紹介した指定感染症というのは・・・

「既に知られている感染症の疾病(一類感染症・二類感染症・三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く)であって、感染症法上の全部または一部を準用しなければ、当該疾病の蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの」

つまり、未知の感染症で早急に対処しなくては、不特定多数の国民がどんどん危険にさらされるため、分類にこだわっている場合じゃないときに指定されます。

分かりやすく言えば、国内ですでに発生している未知の感染症に対処(これ以上、拡散しないように)するための政策です。

一方、「検疫感染症」は違います。

 

検疫法

検疫感染症は、「検疫法」によって定められています。

さて、「指定感染症」はすでに拡散してしまっている感染症をこれ以上、拡散しないために隔離などを合法的に実施するための政策です。

ですが、検疫法は「国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するため、その病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるもの」です。

新型コロナウイルスは、まさに武漢市から感染が拡大した日本にはない感染症でした。

つまり、『本来なら武漢市からの新型コロナウイルスの感染者が日本で見つかる前に、「検疫感染症」に指定する必要があった!』と言いたいところですが、実は検疫感染症はあらかじめ指定されています。

 

《検疫感染症の対象》

  • 一類感染症:エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱
  • 二類感染症:鳥インフルエンザ(H5N1)、鳥インフルエンザ(H7N9)、中東呼吸器症候群(MERS)
  • 四類感染症:デング熱、チクングニア熱、マラリア、ジカウイルス感染症
  • 新型インフルエンザ等感染症(「新しいインフルエンザ」や「過去に世界中で蔓延したインフルエンザ」)

つまり、新しい感染症である「新型コロナウイルス」は含まれていません・・・

ということは、「未知の感染症は、今後も水際対策が難しい」ということになりそうです。

それでは、「検疫感染症」に指定されたことで、どういったことができるようになるのでしょうか?

 

「検疫感染症の指定」でできることとは!?

現在の検疫と言えば、サーモグラフィーによる発熱の確認。そして、自己申告の呼びかけですよね。

さすがに、これでは意味がないことが多くの人がすでにご存じだと思います。

なにしろ、症状がでていない「潜伏期間中」であっても感染することが指摘され始めているためです。そもそも、発熱の症状がない患者さんも少数ですがいらっしゃいます。

ですが、検疫感染症に指定されることで「質問」「診察・検査」ができるようになります。

「拒否されたら終わりなんじゃ?」と考える人もいるかもしれませんが、これは強制的にです。

 

検疫法

例えば、検疫法に定める「交通の制限」はこういった内容になっています。

第五条

外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出してはならない。

つまり、検査が終わらなければ入国できないことになります。

ただし、例外的に・・・

一 検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
二 第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
三 緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。

こういった場合は制限を受けません。


第五条に従わない場合や隔離・停留の処分を受けたにも関わらず逃亡すれば、一年以下の懲役や百万円以下の罰金に処されることになります。

ちなみに、虚偽の答弁や明告書を提出した場合や、そもそも明告書を提示しない場合は六月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処されます。

他にも、さまざまな罰則があります。

指定感染症に指定されることで、このように海外からの入国者に対して合法的に取締を行うことができるようになります。

 

最後に

どうしても、国の対策が後手に回ることが目立ってしまいます。

ただ、「未知の感染症=検疫感染症」にしてしまうと海外からの入国者への人権問題にもなりかねません。そのため、慎重に決定する必要があります。

とはいえ、封じ込める必要はあります。

ただ、中国政府がもっと早い段階で報告を入れていれば、状況はまったく違うものとなったでしょう。

現時点で分かっていることは、新型コロナウイルスの対策として、「国内(私達)」と「入国してくる人達」への強制的な取締が始まること。

そして、2020年1月29日時点で「日本国内にいる日本人が、武漢の人から感染したのは2人だけ」だと言うことです。


ところで、1/29のテレビ報道で武漢からの日本人帰国者が元気な姿で記者のインタビューに答えていました。ひとまず安心しましたが、帰国者に対する強制的な隔離対策はしないようです。

潜伏期間も考えれば、1週間~2週間は念のため隔離してもらった方が本人としても安心すると思うのですが?

私なら、家族にうつす可能性があるならすぐに隔離してほしいと考えます。

子どもも小さいので・・・

誰でもそうだと思いますが、感染症の被害者にも加害者にもなりたくありません。すぐにマスコミがインタビューに行っていましたが、感染する可能性は0ではありません。

まだ分かっていないことが多いため、慎重に行動するにかぎります。

今後の新しい情報に、注目が集まっています。


参考

厚生労働省:今後の対応方針
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000589260.pdf

厚生労働省 福岡検疫所
https://www.forth.go.jp/keneki/fukuoka/kenekikansensyo.html

中部空港検疫所支所 感染症情報 105 号
https://www.forth.go.jp/keneki/nagoya/hp%20kansen/kansensho105.pdf

 

 

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