新型出生前診断は非確定検査 ~どんな検査にも例外はある!?~

 

赤ちゃんができたら、「元気に生まれてきて欲しい」というのは、親なら考えることだと思います。

かくいう私も奥様とよくそんな話をしていました。

2016年と2018年に男の子と女の子の子ども達に恵まれて、元気に育ってくれています。

ただ、これからは産まれる前からおこなわれる診断で赤ちゃんの選別がおこなわれるかもしれません。

今回は、「新型出生前診断」の注意点について紹介します。

 

出生前診断の種類は?

「出生前診断」と一言でいっても、実はたくさんの種類があります。

そして、出生前診断には非確定検査確定検査に分かれます。

  • 非確定検査・・・それだけでは診断がつかない検査。→もし、陽性が出た場合は確定検査を実施する必要がありますが、この検査にはリスクがありません。(超音波や採血のみで検査ができる)
  • 確定検査・・・それだけで診断が確定する検査。→検査により、流産・死産のリスクがあります。

 

つまり、いきなり確定検査をするにはリスクがあるためまずは、リスクのない非確定検査が提案されることがあります。そして、診断を確定されるためには確定検査を受ける必要があるということです。

 

非確定検査

①新型出生前診断(NIPT:Non-Invasive Prenatal genetic Testing)

今回のテーマである新型出生前検査も、実は非確定検査です。

「無侵襲」「新型」「母胎血を用いた」などさまざまな表現がされます。

なぜなら・・・

お腹に針を刺さず(無侵襲)に、妊娠10週以降という早い段階から検査ができます。

そして、調査の対象は染色体疾患である「ダウン症候群」・「トリトミー18」・「トリトミー13」の3種類(胎児の染色体疾患の約7割)です。

検査方法も血液検査をするだけです。

また、結果が報告されるまでに1~2週間程と短時間でわかります。

つまり、新型出生前診断は

  • 「検査が簡単」
  • 「ダウン症候群の検査結果は99%という正確性」
  • 「早い段階から検査ができる」
  • 「結果報告が早い」

ということがいえます。

→費用は、20万円程。

janjf93 / Pixabay

②コンバインド検査(「胎児ドッグ」や「胎児スクリーニング検査」と呼ばれることもあります)

  • 超音波と採血を組み合わせた検査。
  • 11~13週で実施。
  • 調査対象:「ダウン症候群」「トリソミー18」
  • ダウン症候群検査の正確性は83%
  • 結果報告には2週間程度かかります。

→費用は、2~5万円程。

 

③母体血清マーカー検査

  • 妊婦さんの血中に含まれる赤ちゃんや胎盤で作られるタンパク質を解析する検査。
  • 15~18週で実施。
  • 調査対象:「ダウン症候群」「トリソミー18」「神経管閉鎖不全症」
  • ダウン症候群検査の正確性は80%です。
  • 結果報告には2週間程かかります。

→費用は1~2万円程度。

 

確定検査

①絨毛検査

  • 将来、胎盤となる絨毛の細胞を採取しておこなわれます。そして、妊婦さんのお腹に針を刺して絨毛細胞を採取し、染色体の形と数の変化を確認するための検査です。
  • 11~14週で実施。
  • 約100人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。

 

②羊水検査

  • 妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取します。そして、赤ちゃんの由来の細胞を培養することで染色体の形と数の変化を確認する検査。
  • 15~16週以降で実施されます。
  • 約300人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。

 

《確定検査の特徴》

  • 調査対象:染色体疾患全般
  • ダウン症候群検査の正確性は100%
  • 結果報告には2~3週間程かかります。
  • 破水・出血・子宮内感染などの合併症が生じる危険性があります。

→費用は、10~20万円程。

 

確定検査はどれだけ正確なの?

ダウン症候群の確定検査は、100%の確率で染色体疾患全般の結果が出るとお伝えしましたが・・・

ただ、検査には限界があります。

①例えば、胎盤限局性モザイク(赤ちゃんには染色体異常がないのに胎盤だけが染色体に変化がある細胞が混在している)状態が1%程度存在しているとのことです。

→つまり、胎盤に異常があるという検査結果は確かに正しいですが、肝心の赤ちゃんには染色体異常がないということもあるようです。

②また、検査項目が限られるため検査結果が正常でも調べられない他の疾患(心疾患など)をもって産まれてくることもあります。

*絶対ではないことを認識する必要があります。

3dman_eu / Pixabay

 

新型出生前診断(NIPT)を受けるには?

「新型出生前診断」は2013年4月から始まりました。

《実施対象となる妊婦さん》

  • 胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常があると可能性が示された者。
  • 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常があると可能性が示された者。
  • 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者。
  • 高年齢の妊娠の者。
  • 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座(染色体異常の1つ)を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示された者。

*産婦人科医師全般に対しては、新型出産前診断について妊婦さんに積極的に知らせる必要はないとされています。(安易に妊婦さんに勧めることは適切でないという考えから)

あくまでも、妊婦さんが新型出生前診断に対する説明を求めた場合に可能な範囲で説明し認定登録施設で検査を受けられる情報を提供することとされています。

つまり、新型出生前診断は誰でも受けられるものではなく、またどこでも受けられる検査でもありません。

2018年3月までで認定施設は90ヶ所。

2013年4月~2017年9月までに約5万1千組の夫婦が受けられています。

DarkoStojanovic / Pixabay

 

問題点は?

そもそも、出生前検診は命の選別をするための検査ではありません。

そのため、出生前検診を受けること自体に罪の意識を感じる必要はないと私は考えています。

例えば・・・

  • 早い段階で、染色体異常が分かれば赤ちゃんが産まれるまでに親の準備期間ができます。
  • 産まれる前から医療機関と連携がとれます。
  • ごく一部ですが、治療可能な場合もあります。

問題は、新型出生前診断の検査は日本医学会の認定・登録を受けた施設にしか許されていません。にも関わらず、未登録の施設でおこなわれているということです。

それほど、検査だけなら簡単にできてしまうということでしょう。

*いまのところ、罰則はありません。


ですが、例えば保険の内容も知らずに契約をしますか?

必ず保証内容を確認しますよね?

ですが、担当者の知識が不十分で間違った情報で契約させられてはたまったものではありません。

新型出産前診断は赤ちゃんの命を左右することもありもっと深刻です。

診断前の説明はもちろん、実施後の検査結果への両親へのフォローが大切になります。

なぜなら、最終的に後悔するのは私たち親だからです。

出生前検診の本来の意味を知らずに、「みんながしているから」という単純な理由で悩むことなく命の選別をおこなってしまうケースがでてしまいます。

その時、次にできた子どもに説明するときにどう説明できるかも大きく変わってきます。

  • 「悩んだ末に」
  • 「みんながやってたから」→なんていわないとは思いますが・・・

もちろん、子どもに黙っていることもできますがそれでは親が辛くなるでしょう。

まだまだ始まったばかりの診断です。簡単に高確率で結果が出てしまうため十分な説明とその後のフォローをしてもらう必要が絶対にあります。

未登録の施設で検査を受けたことで、ちょっとしたことでも後悔してしまうことになるかもしれません。

登録施設はこちらで確認できます。

GeneTech株式会社

何はともあれ、正しい知識をもって真剣に自分たちで考えて決めたことが「正しい結論」です。

私はそう考えています。だって、子育てはその連続ですので。

skalekar1992 / Pixabay

 

まとめ

  • 出生前診断は非確定検査と確定検査があり、新型出生前診断は非確定検査
  • 新型出生前診断は、簡単に高確率の検査ができる。
  • 新型出生前診断を受けられる妊婦さんには指定がある。
  • 検査の許可をえていない、未登録の施設には気をつける。

参考

GeneTech株式会社→https://www.genetech.co.jp/about/

日本医師会生命倫理懇親会(28年5月)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000126275.pdf

妊娠子育て応援サイト
https://kosodate-march.jp/pinpukensin1122/

朝日新聞DIGITAL:「「命の選別」なのか 新型出生前診断、開始から5年」
https://www.asahi.com/articles/ASL3D5453L3DULBJ00P.html

 

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