●今回は、「あなたが輸血でもらえる血液は?」について説明しています。
皆さんの血液型はなんでしょうか?
最近では、この血液型も生まれてすぐに知ることは少なくなり、「大学の献血で初めて自分の血刑型を知った!」なんて話しまであるほどです。
実際、私の息子(4歳)は血液型を産婦人科で教えられることはありませんでした。(2歳の娘は、B型)
それぞれ、生まれた場所が違うため産婦人科によって対応は違うようです。
ところで、この血液型ですがO型は「万能血液」なんて呼ばれています。
今回は、「赤十字でも幾度となく献血依頼が呼びかけられているO型」について紹介します。
そもそも、現状血液がたりていない!
まず、大前提として赤十字社によると2020年10月の時点で関東甲信越地域では、医療機関への日々の供給数に対して献血数が下回る状況が続いています。
→関東甲信越地域は、1日平均:5,000人の献血協力が必要(全ての血液型が足りていない)
そのため、できる限り多くの人の献血が必要な状態になっています。
実は、このようにコロナの影響は献血にまで及ぼしています。(従来のような協力を得られなくなったため)
それでは、なぜO型が「万能血液」と呼ばれるのでしょうか?
O型は万能血液?
私達の血液は、ABO血液型で分けられていますよね。
これは、1900年にオーストリアのラントシュタイナーが、人の血清に他の人の赤血球を混合すると、凝集(固まる)場合と、そうならない場合があることを発見したことがはじまりでした。
それまでは、そもそも血液に型があることが知られていなかったため、輸血事故が引き起こされていました・・・
その原因は、赤血球には抗原があるためです。
例えば、A型:A抗原 / B型:B抗原があります。そして、AB型にはA抗原とB抗原があります。
そのままですね・・・
それでは、O型の抗原はどうなっているのでしょうか?
実は、O型にはそもそも抗原がない。
つまり、O型は抗原がないため、他の血液が入ってきたからといって攻撃することはありません。(他の血と混ぜても固まらない)
そして、もう一つ確認すべき物があります。それが、「血清中の抗体」です。
ワンポイントアドバイス! 輸血事故と日本の現状
例えば、血液型を合わせないでA型の人にB型の赤血球が入ると、B型の持っている「抗体」がその赤血球を攻撃するため、「ショック状態」や「急性腎不全」など命に関わります。
ただし、赤十字社によると2017年の日本での「輸血用血液製剤」ごとの副作用発生率は、ごく希にしか発生していないことが分かります。
- 赤血球製剤・・・0.53%
- 血小板製剤・・・2.50%
- 血漿製剤 ・・・0.93%
しかも、このわずかな副作用のなかで多い症状(副反応)は、「発熱・発疹・蕁麻疹・痒み」となっています。
ちなみに、確率はかなり低いですが輸血による副作用の中で「呼吸困難・呼吸障害」が引き起こされる場合があります。
「呼吸困難・呼吸障害」になる割合は、最も副作用発生率が高い「血小板製剤」ですら、2.5%の副作用中の内訳中:2.1%しかない。
→詳しくは省きますが、「輸血用血液製剤」と一言でいっても上記のような種類があり、例えば「赤血球」や「血小板」などの成分を分離・調整した製剤(調整製剤)が使われています。
*採血されたままの血液(全血製剤)が輸血されることは少なく、患者さんに必要な成分だけを輸血する「成分献血」が主流。
それでは、O型を中心に抗体と輸血の関係性について見ていきましょう。
「抗体」と「輸血」の関係は?
そもそも血液は、「血球(赤血球・白血球・血小板などの細胞成分)」と「血漿(液性成分)」に分けられます。
そして、「血清」はこの血漿の中の血液凝固部分に関わっています。
つまり、血液を凝集させてしまう抗体があるのが「血清」ということになります。また、血液型によってこの抗体は決まっています。
例えば、A型→抗B / B型→抗Aとなっていますが、AB型は抗体がありません。
そして、万能型と言われるO型には「抗A」と「抗B」があります。
分かりにくくなってきたため、「抗原」と「抗体」をまとめると「表1」になります。
表1 【血液型による「抗原」と「抗体」】
血液型 | 抗原 | 抗体 |
A | A | 抗B |
B | B | 抗A |
O | なし | 抗A・抗B |
AB | A・B | なし |
表1より、例えばA型の人は抗体Bが作られているため、B型の人の血液はA型に反応(凝集)してしまい、輸血することができません。
一方、AB型の人は抗体がありません。
抗体がないため、AB型はA型・B型・O型どの人からでも輸血してもらえることができます。
ところが、「万能血液」と呼ばれるO型は、なぜが抗体Aと抗体Bを持っているため、O型からしか輸血することができません。
確かに、O型は抗原がないために全ての血液に輸血することができる血液型ですが、見方を変えると抗体Aと抗体Bを持っているために、O型からしか輸血できない血液型でもあります。
最後に、表1をまとめるとこのようになります。
表1まとめ! 輸血の「供血者(ドナー)」と「受血者(患者)」
血液型で輸血可能な患者を確認
- A型:A型・AB型に輸血可能。
- B型:B型・AB型に輸血可能。
- O型:A・B・O型・AB型に輸血可能。
- AB型:AB型に輸血可能。
血液型で血液がもらえるドナーを確認
- A型:A型・O型から血液がもらえる。
- B型:B型・O型から血液がもらえる。
- O型:O型から血液がもらえる。
- AB型:A型・B型・O型・AB型から血液がもらえる。
最後に
今回は、簡単な輸血と血液型の関係について紹介しました。
さて、O型は、全ての血液に輸血できてしまうため使いやすい血液です。そのため、特にいざという時には「重宝される血液」だと言えるでしょう。
ところが、いざO型の人に輸血しようとした場合は、同じO型からしか輸血できません。
そのため、どうしてもO型の血液がたくさん必要になることになります。
ただ、冒頭でもお伝えしたように献血が足りない状況になっているため、血液型に関係なく機会があれば献血に協力する必要があるでしょう。
*献血会場では、手指消毒や職員の体調管理が徹底されており、来場時はマスク着用が必須。
参考
赤十字:血液型について
→https://www.bs.jrc.or.jp/kk/hyogo/donation/m2_02_01_00_bloodtype.html
厚生労働省:血液製剤とは何か
→https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/2q/pdf/1-4.pdf
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