以前、風疹患者の95%が大人で、特に30代~50代の男性が感染しやすいことをお伝えしました。
さて、そんな風疹対策の一環として政府は「風疹の追加対策」を実施しています。
今回は、「政府が実施している無料クーポン券(風疹の追加対策)」についてご紹介します。
→風疹の危険性については、こちらの記事でも紹介しています。
「風疹」ってそもそもなに?
風疹は、とても感染力が強く「発熱」や「発しん」が主な症状で、飛沫感染により人から人へ感染していきます。
ただ、風疹の治療には対処療法しかなく、唯一の有効な予防は「予防接種」しかありません。そのため、風疹の予防接種は定期接種が義務づけられています。
- 1回目:1歳
- 2回目:5歳以上~7歳
ただし、これは1979年(昭和54年)4月1日以降の話しです。つまり、それまでは風疹の定期接種がありませんでした。
前回の記事でも紹介しましたが、妊婦さんが感染してしまうと胎児に難聴や白内障など「先天性風疹症候群」が発生する可能性があります。
こういったことから、これまで風しん対策は「乳幼児」や「妊娠を希望する女性」等を中心に行われてきました。ただ、その結果、男性の風疹患者が増加することになりました。
そこで、風疹追加対策として男性への感染対策が実施されています。
風疹追加対策とは!?
- 抗体検査の受検目標の達成に計画的に取り組むために、3か年計画で段階的に行う。
- 1年目(~2020年3月)は、まずは1972(昭和47)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日生まれ(約646万人)の男性に対して、市町村から受診券を送付。
- 1年目に市町村から受診券を送付しない1962(昭和37)年4月2日~1972(昭和47)年4月1日生まれの男性についても、市町村に希望すれば、受診券を発行し抗体検査を受検できる。
つまり、「2020年の時点で41歳~48歳の男性に対して市町村から受診券が郵送されますが、48~58歳の男性も市町村に希望すれば予防接種ができる」ということです。
→昭和47年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性患者数が対象患者数の半数以上を占める。
数値目標
今回の対象は昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性です。
- 2020年7月までに、対象世代の男性の抗体保有率を85%に引き上げる。
- 2021年度末までに、対象世代の男性に抗体保有率を90%に引き上げる。
ただ、まだまだ実施率が低い状況(達成率:約15%)です。
~風疹の日~
2月4日:風疹の日
これにちなんで、日本産婦人科医会は2020年「風疹ゼロ」プロジェクトを宣言しました。
- 30代~50代の男性に強く訴えます!
あなたがかかった風疹が職場、家庭で妊婦に感染させる危険性を自覚して下さい。(あなた方の世代に風疹患者が特に多く発症しています)
- 風疹抗体検査・第5期風疹定期接種のクーポンを受け取った全ての方へ
風疹をゼロにするために検査を受けて下さい。また職場等で周囲の方が検査を受けられるよう配慮して下さい。
- 風疹抗体検査、予防接種(MRワクチン)が特にこの世代に実施されるよう皆さんの行動を求めます
このように、強い宣言がなされています。
ポイント!
抗体保有率が特に低い昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性が対象
- 予防接種法に基づき定期接種の対象として、3年間全国で原則無料で定期接種を実施。
- ワクチンの効率的な活用のために、まずは抗体検査を受ける。
- 体制を整備(「事業所検診の機会に抗体検査を受けられる」・「夜間・休日の抗体検査・予防接種の実施」)
国策として、病院関係者と連携しながら進められています。
クーポン券が届いたら!
❶市区町村から、2020年4月時点で41歳~47歳の男性にクーポンがお住まいの市区町村から郵送
➋風疹の抗体検査を受ける(無料)
- 健康診断の機会に受ける(職場の健康診断や人間ドックなどで受けられる場合があり、クーポン券を持参)
- 近くの医療機関で受ける(全国4万箇所以上の診療所などの医療機関で受ける)
❸検査結果を確認し、免疫がない場合は風疹の予防接種を受ける
- 検査結果は検査を受けたところで確認。(結果が分かるまでに数日かかることあり)
*クーポン券は全国どこでも利用することができます!
最後に
風疹は、死にいたることもある非常に感染力の強い伝染病です。
そのため、あなただけでなく周囲の人を守るために予防接種を受ける必要があります。
無料クーポン券が届いたら、必ず予防接種にいって下さい!
~自費で風疹の予防接種を受けようとした場合~
一般的には、診察料や予防接種代などを含めて1万円を超えるようです・・・
京都中部総合医療センターで自費で予防接種を受けようとした場合(3回の受診が必要)
- 風疹の抗体検査→6,325円
- 検査結果の説明→803円
- ワクチン接種→11,556円
A.18,684円
さて、2019年の年末頃から新型コロナウイルスによる感染が、世界中で広がっています。
現状(厚生労働省 2020年2月10日発表)、新型コロナウイルスの患者数は4万人を越え、死者は900人を越えています。そして、日本もさまざまな事情があるとは言え、感染者数がどんどん増えています。
ただ、感染症は新型コロナウイルスだけではありません。
今回紹介した「風疹」も気をつけなくてはいけない感染症の一つです。さらにいえば、身近な感染症であっても海外ではすでに大きな被害をもたらしています。
例えば、アメリカでは2019年~2020年のインフルエンザ患者数が患者数が1,900万人。死者は1万人を越えてしまいました。
このように、危険な感染症は一つではありません。とはいえ、できるところからやっていくしかないでしょう。
参考
特定健診・ハンドブック
→https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000494556.pdf
公益社団法人 日本産婦人科医会:2020年“風疹ゼロ”プロジェクト宣言!!
→https://www.jaog.or.jp/rubella/
厚生労働省:風しんの追加的対策について
→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
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