昔は外で遊ぶことが推奨されていましたが、最近では紫外線の危険性が指摘されるようになりました。
そして、「UVケア」が盛んに行なわれるようになりましたよね。ただ、その反面今度は「日光浴不足」が叫ばれるようになってしまいました。
今回は、そんな「紫外線のウソ・ホント」についてご紹介します。
そもそも紫外線ってなに?
よく、「紫外線対策!」なんて言われますがそれではそもそも紫外線ってなにかご存じでしょうか?
皆さんご存じのように、太陽光の一部である紫外線は、私達の目には見えません。ですが、可視光線(目に見える波長の光)と基本的には同じような性質があります。
→例えば、建物や衣類などでその大部分が遮断されます。
紫外線の種類
さて、「紫外線」とひと言でいっても、紫外線は波長によって3種類に分けられます。
- UV-C(紫外線C波)・・・大気層(オゾン層)で吸収され、地表には到着しない。
- UV-B(紫外線B波)・・・ほとんどは大気層(オゾン層)で吸収されますが、一部は地表へ到着し、皮膚や目に有害であることがすでに分かっています。
- UV-A(紫外線A波)・・・UV-B程有害ではありませんが、長時間浴びた場合の健康被害が懸念されています。
つまり、私達が対策している紫外線は「UV-B」「UV-A」ということになります。
*「UV(ultraviolet)=紫外線」という意味
既に多くの方がご存じのように、「UVケア」とは紫外線予防という意味です。
それでは、なぜ紫外線は危険視されているのでしょうか?
紫外線は危険?
UVーAの場合
❶見た目が老ける
ゆっくりと蓄積されていくため、長期的なダメージを与え、「しわ」や「たるみ」の原因となります。
*視覚的に捉えられる老化の原因は・・・
- 加齢が原因:2割
- 紫外線暴露による「光老化」が原因:8割
これが、紫外線による影響がもっとも分かりやすい症状といえます。
確かに、UVケアが必要ですね・・・
ですが、紫外線の影響は見た目の変化(老化)だけではありません。
➋「光線過敏症」というアレルギーの原因に!
痒み・発赤・むくみ感・熱感といった症状が現れます。
❸目への影響!
UV-Aの65%は、目の中の水晶体を通過します。そして、網膜まで到達します。
つまり、目の炎症を引き起こし充血の原因にもなります。
❹活性酸素が作り出されてしまう!
さまざまな細胞器官に影響し、活性酸素の発生に関係しています。
→私達は、酸素を取り込むことで生命活動を維持していますが、取り込まれた酸素の一部は通常の状態よりも活性化された「活性酸素」となります。
活性酸素は、体内の代謝過程でさまざまな成分と反応し、過剰になると細胞障害を引き起こします。(ただ、活性酸素は体内の免疫機能や感染防御の重要な役割も担うためバランスが大切です)
つまり、紫外線を受けることで活性酸素が作り出されやすくなり、体のバランスが崩れやすくなるということです。
*病気の原因の約90%は、活性酸素によるといわれているほどです。
これらは、「UV-A」だけによる影響です。それでは、「UV-B」にはどういった影響が現れるのでしょうか?
UV-Bの場合
さて、「人体に影響が少ないとされるUV-A」でさえ、私達の風貌を変えてしまい、このように病気の影響があることが分かっています。
それでは、さらに人体に影響があるとされる「UV-B」について見ていきましょう。
❶見た目が変わる!
「UVーA」と同じように、皮膚への影響が現れます。ただし、遺伝子レベルで影響を与えます。
例えば、夏に見られる「日焼け(サンバーン)」を引き起こします。
ちなみに、日焼けは1~2ヶ月後には浅黒い色が落ち着きますが、遺伝子は損傷している状態です。遺伝子が修復されるまでに、日焼けを積み重ねると修復ができなくなり皮膚疾患の原因になります。
➋目への影響!
水晶体を通過しての網膜への到達は10%程度ですが・・・
角膜へのダメージへの蓄積は深刻で、角膜炎や白内障の原因となります。
❸免疫系への影響!
先程、「UV-B」は遺伝子(DNA)に影響を及ぼすとお伝えしました。つまり、人体は紫外線による遺伝子の損傷を修復をするために疲労が蓄積されています。
つまり、紫外線への暴露が続くと、免疫力が低下していきます。
このように、紫外線は「日焼けなどのような急性のUVーB」と「長年にわたり蓄積するUVーA」により、人体を確実に破壊していく、「かなり危険な目に見えない光」という一面があります。
ですが、それではそもそも「太陽光を浴びることは危険!?」ということになってしまいますよね・・・
それでは、太陽光を浴びることじたいが危険なのでしょうか?
太陽光は浴びてはいけないの?
結論からいえば、太陽光を浴びなければ人体に悪影響を生じていきます。というのも、そもそも太陽光は私達が生きるための栄養素となっているためです。
その栄養素がビタミンDです!
「ビタミンD」ってなに?
ビタミンDは、食事からも摂取することができますが太陽光を浴びることで皮膚からも摂取することができます。
さて、そんなビタミンDは骨の吸収を助けるため、骨の健康に欠かせない栄養素となっています。→太陽光を浴びることで体の中で作られるため、「太陽のビタミン」とも呼ばれます。
ビタミンDには、様々な機能が多数報告されています。
- 骨を守る
- 筋力アップ
- 心疾患予防
- 認知症
- うつ予防
- 糖尿病予防
- メタボ予防
- ガン予防
- 免疫力増強
など、人間が生きていく上で必要不可欠な栄養素であることが分かります。
このように紹介すると、「やっぱり日光浴は大事じゃないか!」と考えると思いますが、それでは先程の紫外線の話しと矛盾していますよね。
結局、「太陽光は避けるべき?浴びるべき?」という疑問が出てくるかと思います。結論からいえば、「なんでもやり過ぎはダメ!」ということです・・・
お酒も「百薬の長」といわれる一方で、飲み過ぎては体を壊します。何事もバランスが大切になります。
太陽光と人体のバランスは?
そもそも、紫外線の量は1991年~2016年までの25年間で12%も紫外線の量が増加しています。
つまり、これまで以上に紫外線の多い「季節」や「時間帯」・「光線の性質」などを知ることで、紫外線の悪影響を最小限にする必要があります。
それでは、紫外線の量が多い条件についてご紹介します。
紫外線量の変化
紫外線の強さは、様々な条件で変わります。例えば、同じ気象条件であっても太陽が頭上にくるほど強い紫外線が届きます。
他にも、南(緯度が低くなる)ほど紫外線が強くなります。→日本では、沖縄が一番紫外線が強い!
①時間帯や季節
- 1日の間→正午頃(夏・冬関係なく、10時~14時頃)
- 季節→6月~8月頃(4月~9月に1年間のおよそ70~80%が降り注ぐ)
②雪や砂
- 「冬場だから大丈夫!」というわけではなく、雪は紫外線を強く反射する性質があります。
- 同じように、砂も紫外線を強く反射する性質があるため海水浴中は注意が必要です。
*また、標高が高くなれば、それだけ紫外線の量も多くなります。
紫外線は、上空からくるとは限らない!
先程、「雪や砂は紫外線を反射しやすい」と紹介しました。つまり、太陽から降り注ぐ紫外線にだけ注意すればいいというわけはないことが分かります。
具体的には・・・
- 太陽から直接届く紫外線
- 空気分子やエーロゾル粒子に散乱(散乱光)されて届く紫外線
- 地表面で反射される紫外線
があります。
つまり、残念ながら紫外線は四方八方から飛んできていることになります。しかも、紫外線がどれだけ反射するかは、「反射する対象」によって変わります。
《紫外線の反射率》
- 新雪:80%
- 砂浜:10~25%
- アスファルト:10%
- 水面:10~20%
- 草地・土:10%以下
あなたの「紫外線常識」は合っていますか?
①曇った日は紫外線量が少ない気がします。確かに、雲に阻まれて「UV-B」は減少しますが、「UV-A」の量はほとんど変わりません。
②また、水もわずかな紫外線しか防いでくれないため水面の反射率を考えると、返って紫外線の影響が地面よりも大きくなります。
③部屋の中にいても、紫外線は窓ガラスを通過するため日焼けを防ぐことができません。
④日焼けクリームを付けていても、服にこすれたり汗などで落ちたりするため2~3時間おきに塗り直す(重ね塗りする)必要があります。
このように、紫外線は思った以上に降り注いでいることが分かります。
それでは、どういった対策が必要なのでしょうか?
紫外線対策
- 紫外線の強い時間帯は、そもそも外出を避ける。
- 日陰を利用する。
- 日傘や帽子をかぶる。
- 衣服で覆う。
- サングラスをかける
- 日焼け止めを正しく使う。
といった方法が有効です。
ただ、先程も説明したように紫外線は四方八方から降り注いでいるため紫外線にさらされていることを忘れてはいけません。
結局、どれくらいの太陽光を浴びればいいの?
- 夏場:昼間の直射日光を避けて10~20分程
- 冬場:30分~1時間程度
これが、日光浴の目安となります。
紫外線対策は、「やり過ぎ」・「やらなさ過ぎ」ても悪影響が出てきます。大事なのは、どこまでは対策をして、どこから受け入れるかです。
最後に
そもそも私達の生活は、太陽とともにありました。(テレビで放送されてた「日本昔話」の世界が分かりやすいかも・・・)
昔なら明るい内に働いて、暗くなれば寝る。それがいまや、24時間活動するようになってしまいました。ですが、どちらにしても太陽がなければ生きていくことはできません。
このことからも、そもそも太陽光がタバコのように「百害あって一利なし」なんてことはないでしょう。もし本当にそうなら、そもそも私達は生きてはいないでしょう・・・
ただ、紫外線の量が以前よりも増えていることや異常気象などにより、確かに人間が住みにくい環境になっているのかもしれません。
一つ言えることは、「昔と今とでは、根本的に地球環境が違っている」ということです。
「子どもの紫外線による影響」については、次回の記事でご紹介します。
参考
エポカルブランド
→https://epochal.co.jp/shigaisen-eki-gai/
e-ヘルスネット
→https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
お天気レシピ
→http://recipe.bioweather.net/medi1/uv_column2.php
第一薬品工業株式会社
→http://www.d1yk.co.jp/info_health/2019/01/post-46.html
気象庁
→https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-50uvindex_manual.html
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