皆さんは、どんなもので消毒をされているでしょうか?
- アルコール(エタノール)?
- 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)?
普通は、このどちらかを思い浮かべるのではないでしょうか?
それでは、自治体や2020年4月29日から回転寿司のくら寿司が配布している「微酸性電解水」についてご存じでしょうか?
今回は、「あまり知られていない微酸性電解水の有効性」についてご紹介します。
どんな殺菌剤?
微酸性電解水は、2009年に設立された「株式会社 微酸研」の創始者が開発したものです。そもそも、次亜塩素酸ソーダ(次亜塩素酸ナトリウム)に変わる殺菌剤として発明されました。
次亜塩素酸ソーダと言えば、「手荒れ」や「臭い」、「有毒性」など挙げればきりがないですが、殺菌力が強い反面こういった様々な欠点があります。
こういった欠点を補うために作られたのが、この微酸性電解水です。
どんな役割があるの?
微酸性電解水は「食塩+希塩酸(濃度の低い塩酸)を溶かした水を隔膜なしで電気分解」することで、生成された電解水です。
それでは、次亜塩素酸ナトリウムやエチルアルコールとなにが違うのでしょうか?
効果について
エチルアルコールは、細菌には効果がありますが、ウイルスや消臭効果はあまり期待できません。一方、次亜塩素酸ナトリウムは細菌・ウイルス・消臭効果はありますが、塩素臭が残ってしまいます。
その点、微酸性電解水は細菌やウイルスにも効果があり、消臭効果もあります。ただし、微酸性電解水の殺菌力を発揮するには、以下のルールを守る必要があります。
- 汚れをあらかじめ処理しておく
- 汲み置きはしない
- 他の除菌剤や洗剤と混合しない
こういった使い方を遵守する必要があります。
特徴について
微酸性電解水の特徴は、いくつも挙げることができます。
- ほぼ無臭
- 肌に優しい
- そのまま使える
- 即効性が高い
- 噴射器での空間噴霧ができる。
- 対象物が濡れていても使える。
- 誤飲したとしても問題ない。
もしも、次亜塩素酸ナトリウムなら・・・
- 臭いが強い
- 肌が荒れる
- 希釈しないといけない
- 空間噴霧はできない
- 臭いが残るため、すすぎが手間
- 誤飲すると原液は高濃度のため危険
もしも、エチルアルコールなら・・・
- 弱い臭いがある
- 肌が荒れる
- 空間噴霧はできない
- 対象物が濡れていると効果が小さい
- 高濃度のため誤飲は危険
つまり、微酸性電解水はどちらの殺菌剤と比較しても、体に優しく使い方の自由度が高いことが分かります。
さらに、もう一つ秘密があります。
食品添加物として認められている!?
そもそも、微酸性電解水は食品の製造工程や加工に使用できる素材で、「殺菌料」として食品添加物の指定を受けるほど安全性が認められています。
このことからも、誤飲しても安全な理由がうなずけます。
このことは、「厚生労働省医薬局食品保健部基準課による酸性電解水の解説」より、2002年4月号(社)日本食品衛生協会 発行「食と健康」に掲載されています。
*厚生労働省は、微酸性電解水を2002年6月に食品添加物として認可
食品添加物は危険?
さて、食品添加物と言えば、例えば「発がん性のある危険な物!」と考える人もいるかもしれません。
確かに、昔は水俣病など公害病の原因となった化学物質が多くの人に健康被害を与えました。このことは、教科書にも掲載されていますよね。
食品添加物には、「天然添加物」と言われる物も含まれていますが、いくら天然といっても例えばトリカブトは猛毒で有名ですよね。
このように「天然だから安全」というわけではなく、危険な物は除外されています。そもそも、食品の最大の危険は昔から食中毒でした。
食中毒を回避するために冷蔵庫や保存料が開発され、今では食品添加物が着色・保存・食感・香りなど様々な役割を担うようになりました。
なにより、「食品添加物=危険」なのではなく、「食べ過ぎや食中毒のほうがよっぽど危険!」だと考えた方が自然だと言えるでしょう。
なぜなら、そもそも食品添加物は「一生食べ続けても安全だと考えられる量」が科学的に調べてられているからです。
ただし、食べる量には個人差がありますし、例えば早食いの場合は満腹感が得られにくくなりさらに食べてしまいます。
→単純に、1日に何個もカップラーメンを毎日食べる想定はしていません。
あくまでも食品添加物は、常識の範囲内で食べ続けても安全が証明された物でなければいけません。逆に言えば、それだけ安全性が認められているものが食品添加物として使用されています。
さて、このように微酸性電解水は食品添加物として安全性も認められていますが、やはり万能の殺菌剤ではありません。
微酸性電解水の弱点は?
持続性が高くない!
微酸性電解水の最大の弱点は、持続性がそこまで高くないことです。
そもそも、次亜塩素酸ナトリウムと比較して同濃度にすると「微酸性電解水の方が約10倍の殺菌能力がある」と言われています。
にも関わらず、残留性も低いという特徴があります。ですが、この効果を得るためには正しく使う必要があります。
保存方法が鍵!
遮光容器や蓋をして薄暗い場所に置けば、3ヶ月は十分もつと言われています。さらに、密閉して暗い冷蔵庫におけば1年くらい保存ができることも実証されています。
逆に言えば、「正しく保管しなくては効果がなくなる」と言うことです。
基本は、作ったその日に使い切ることが推奨されています。というのも、紫外線に当たると分解されてしまうためです。
このように、誰でも使いやすい反面、保存の仕方に注意が必要な殺菌剤でもあります。
最後に
微酸性電解水生成装置は、一般家庭で導入するには高価で場所も取るため、あまり現実的ではありません。(家庭用の小型タイプも一応あります)
ちなみに、楽天市場などで微酸性電解水が販売されていますが保存方法には注意が必要です。
自治体で配布している場合もある
茨城県常陸太田市では、500mlペットボトル2本(1L分)を持参した市民に配布がすでに始まっていますが、知識がない状態で扱うには難しいでしょう。
例えば、微酸性電解水は紫外線に弱いため、最低限ペットボトルの遮光対策をしてからもらいに行く必要があります。なにより、その後の保管場所も確保する必要があります。
くら寿司の場合
くら寿司では、「大阪府の貝塚センター」と「福岡センター」にて、5/1~7/30までの期間、申し込み期日までに申し込みがあった自治体を対象に、密閉可能なタンク容器を持ってトラックで取りに来た場合は、0.5t単位で微酸性電解水を引き渡す取組が実施されます。
さて、微酸性電解水は加湿器や洗濯など様々な用途で使うことができる殺菌剤です。無味・無臭ですが、もちろん飲用水ではありません。
ただし、保管方法を誤るとせっかくの殺菌力が失われるため、保管には十分ご注意下さい。
参考
鳥繁産業オンラインショップ:微酸性電解水とは
→https://shop.torishige.co.jp/
食品安全委員会:食品添加物ってなんだろう?
→https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/26gou/26gou_6.pdf
ジェイエフフーズ:微酸性電解水早わかり
→http://jf-foods.jp/bisansei.pdf
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