「校則」は時代で変わる? 合理的な理由があれば「校則」は法律よりも強い!?

 

皆さんは、学生の頃「校則」は厳しかったですか?

私が通っていた高校では、黒髪以外は絶対にNGでした。そのため、茶髪などで登校した生徒がいれば強制的に黒髪スプレーを振りかけられていました。

「これってやり過ぎでは?」と個人的には疑問に思っていましたが、「校則には逆らえない・・・」と考えていたので特になにかいうこともありませんでした。

今回は、そんな「校則」のお話しです。

 

そもそも「校則」って強制的になんでもアリなの?

学校に関する法律といえば、「学校教育法」がありますよね。

知らない?

まあ、よっぽどの物好きか法律家でもない限り普通は調べる人はいないかもしれません。

さて、そもそもこの法律で学校とは・・・

  1. 幼稚園
  2. 小学校
  3. 中学校
  4. 義務教育学校
  5. 高等学校
  6. 中等教育学校
  7. 特別支援学校
  8. 大学及び高等専門学校

とされています。

それでは、この校則についてどこに記されているかというと・・・・実はありません。

つまり、「学校が校則を制定できる法的的根拠は法律上明らかになっていません。」⇒「○○法律で校則について細かく定められている!」というわけではないということです。

文部科学省では、校則についてこのように書かれています。

校則とは,児童生徒が健全な学校生活を営み,より良く成長・発達していくため,各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められる一定の決まりです。校則自体は教育的に意義のあるものですが,その内容・運用は,児童生徒の実態,保護者の考え方,地域の実情,時代の進展などを踏まえたものとなるよう,積極的に見直しを行うことが大切です。
 文部科学省では,平成9年度に実施した「日常の生徒指導の在り方に関する調査研究」の調査結果を受けて,10年9月に,各学校における校則と校則指導が適切なものとなるよう都道府県などに対し通知を出し,指導の徹底に努めています。

また、校則についての法的根拠はありませんが、学校には児童に対する「安全配慮義務」が課せられているため、学校の秩序の維持や児童生徒の安全を確保するためのルールが必要となります。

このように、「教育目的を達成するために必要なルール」。つまり、「校則」を制定することは国からも許容されているようです。

ただし、なんでもかんでも校則として認められるわけではなく、その都度見直しが必要とされています。

Wokandapix / Pixabay

*そもそも、法的に違法であれば「校則」は存在しないことになります。

 

学校の常識は世間の非常識

校則は、あくまで「教育目的を達成するために必要なルール」ですが時代が変われば常識は変わります。実際、昔は教師による暴力は当たり前のようにありました。

個人的には、例外的に指導が必要な場面はあるとは思います。現在では、スポーツにおける厳しい指導でさえも、糾弾されるようになってしまいました。ただ、暴力は傷害罪や暴行罪にもなる犯罪です。

このように、仮に校則で暴力が認められていても世間的には完全にアウトになりました。そういう意味で、「時代によって校則は変わる!」と言うことができるでしょう。

それ以前に、日本の最高法規は「憲法」ですので、合理的な理由もない誰も納得できないような校則は、もちろん憲法違反になりえます。

 

お酒やタバコ

例えば、常識的に考えて学生がお酒やタバコを学校に持ってくるのはいけませんよね。

これは、「未成年者飲酒禁止法・未成年者喫煙禁止法により、喫煙や飲酒は20歳まで法律で禁止されているため」です。

説明するにも合理的で分かりやすいですよね。ないとは思いますが、仮に校則でタバコやお酒が許されていたとしても法律で許されません。

このように、逆に考えると分かりやすいかもしれません。

つまり、どんなに校則で定めたとしても法律には従わないといけませんし、さらに上の憲法(最高法規)を犯してはいけません。

 

散髪

他にも、「髪の長さが長い!」といって、勝手に教師が生徒の髪の毛をむりやり切ってはいけません。もし、おこなわれれば暴行罪が成立してもおかしくありません。(平手打ちなどの暴力→傷害罪or暴行罪)

*明治45(1912)年の大審院判決で、他人の髪を勝手に切る行為は「傷害罪か?暴行罪か?」で争われ、「暴行罪」として判断されています。こんな昔(100年以上前)の判例が今も定着していることに驚きます。

→暴行罪と傷害罪の違いについては、こちらの「いじめの記事」で紹介してます。

知ってましたか?明日は我が身の「いじめ」は犯罪行為!

 

髪の色

他にもよく言われるのが、髪の色ではないでしょうか?

憲法では、例えば公共の福祉に反しない限り表現の自由が認められています。また、髪の毛を未成年が染めてもなんら罰則もありません。

もし、罰則があるならそもそも学生(未成年)の髪の毛を染めた美容院などにも罰則があることになりますが、そんなことはないですよね。

そのため、ただ「校則に違反するから」という理由でむりやり生徒の髪の毛を染める権利は、合理的な理由がない限り、本来教師にはありません。

 

合理的な理由として、例えば・・・

  • 日本ではまだまだ黒髪が当たり前で面接なども「正装」といえば、黒髪でおこなわれることが多い。つまり、茶髪や金髪などは印象が悪くなる。」
  • このことは、地域社会でも同じで「あそこの学校は進学校なのに髪の毛を染めるような不真面目な子どもが多い。」といった悪い印象を与え、果ては就職先にも影響するかもしれない。もちろん、学校の評判も下げ、引いてはこの学校に通う子ども達の評判も悪くなる。

など・・・

ちなみに、自分で書いて見ましたがこの理由は今後、「合理的な理由」にはならないかもしれません。なぜなら、公立学校に在籍している外国人児童生徒数平成16年からみても○万人を毎年越えています。

さて、何万人だと思いますか?

答えは、7万人を越えています。(平成27年→76,281人)

*ここでいう公立学校とは、小・中・高・中等教育学校・特別支援学校のみです。つまり、「学校」を全て含めれば外国人児童数はもっと多いことになります。

 

日本は、「児童の権利に関する条約」に署名しているため・・・

外国人がその保護する子を公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合には、無償で受け入れており、教科書の無償給与や就学援助を含め日本人と同一の教育を受ける機会が保証されています。

→入管法が改正されすでに施行(2019年4月1日)されました。必然的に、外国人の子ども達がこれまで以上に入学してくることになります。

文化もなにもかもが違う外国人の子ども達に、どこまで「校則」を強制するのか?それとも外国人は対象外にして、日本人の子ども達だけ対象にするのか?ハーフの子ども達はどうするのか?

まだまだ少数かもしれませんが、そもそも日本の学校に日本人だけが通うことが当たり前ではなくなっています。

「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、「なんでもかんでも強要していい!」という理由には冒頭で紹介した、文部科学省の考え方からしても成り立ちません。

あまりにおかしな校則は変えていくしかないでしょう。それでは、校則は変えることができるのでしょうか?

 

校則は変えられるの?

調べていくと、なかなか難しい現状があるようです。「指導」と称した暴力事件のように、世間が騒げば変わる可能性が高くなりますが・・・

現実的に、校則を変えることはかなりハードルが高いようです。

  • 生徒会
  • 教育委員会
  • PTA
  • 教職員

など多くの人を巻き込んでやっと変わるかどうかというレベルのようです。少なくとも、多くの生徒の指示がなくてはできません・・・

「できるか?できないか?」でいえば、法律も変えることができるので校則をかえることは可能なようです。

実際、2018年に校則の見直しがおこなわれたとして大阪府の教育庁は校則の見直しとして、「下駄通学の禁止」など多数の時代遅れの校則を廃止と逆に、「カラーコンタクトやマスカラの禁止」といった校則を新たに盛り込んだ学校もあったようです。

下駄で通学する学生はおそらくいないので、問題が顕在化することはなかったかもしれません。ですが、問題はそこではなく、現在では意味不明な校則が何十年も残っていたことです。

つまり、一度決まった校則は意味不明になっても残り続けていくことになります。なにが問題か分かりますか?

「本来は○○が危険だから・必要だから」といった理由でできた校則だったとしても、いつのまにか「校則があるから!」という校則が理由になっていきます。

つまり、なぜ校則があるのか説明できなくなっていきます。普通に考えれば、他人のましてや子どもの髪の毛を勝手に染めたりすることは、子どもの権利条約の違反やそもそも人権侵害ですよね。

ですが、それができてしまうのが今も昔も学校です。

geralt / Pixabay

 

最後に

何十年も前の校則をいつまでも使うことは、今後さらに物理的に難しくなっていくでしょう。あなたの学校の校則はいつできたものですか?

まだ、携帯すらない時代のものではないですか?

最近は子ども達も多様化し、くせ毛や髪の毛の色(地毛)も必ずしも一定ではありません。

仮に、髪の毛の色を統一しようと思えば、地毛の色(茶色や薄い赤毛など)まで黒く染めないといけない場合もあるかもしれません。しかし、これは明らかに人権侵害に当たります。

生まれ持った身体的特徴は、憲法上保証されています。

実際、校則をめぐっては有名な裁判がたくさんあります。次回は、校則における訴訟を紹介していきます。


参考

学校教育法
http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000944.html#e000000286

教員採用試験対策サイト
https://book.jiji.com/seminar/limited/column/column-2994/

文部科学省
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/todofuken_kenshu/h28_hokoku/pdf/shisaku03.pdf

弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1419/n_3897/

朝日新聞DEJITAL
https://www.asahi.com/articles/ASL4J5HKWL4JPTIL00Y.html

 

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