睡眠時遊行症(夢遊病)は寝落ちした場所から始まる・・・

 

先日、睡眠時随伴症について紹介しました。睡眠時随伴症は、大別すると「レム睡眠中」と「ノンレム睡眠中」に引き起こされます。

今回は、ノンレム睡眠中に引き起こされる症状についてご紹介します。

さて、皆さんは「夢遊病」という病気をご存じでしょうか?

夢遊病は、例えばドラマや映画なんかで見かけることがありますよね。

今回は、そんな「子どもに多い夢遊病(睡眠時遊行症)」についてご紹介します。

睡眠時随伴症についてはこちらの記事で紹介しています。

寝ないと⚪ぬ? 睡眠時随伴症 レム睡眠中に起こる悪夢!

 

「夢遊病」ってそもそもなに?

夢遊病とは、夜中睡眠状態のままで動き回ってしまうことから「睡眠時遊行症」とも呼ばれます。

しかも、ノンレンム睡眠という深い眠りの最中に身体が無意識に動いてしまいます。

このことから、夢遊病は覚醒の機能が働かない睡眠障害の1種とされています。

 

子どもに多い?

一般的に4~8歳の間に発症しますが、通常は睡眠機能が発達していくことで落ち着いていきます。

最も頻度が高いのは12歳前後です。

また、このような報告がなされています。

  • 子どもの10~30%は、睡眠時遊行エピソードを1回以上経験。
  • 子どもの2~3%は、何回も経験する。

ただ、成人でも発症する場合もあります。

*成人で夢遊病のような症状が見られる場合は、他の病気や飲んでいる薬が原因の可能性があるためご注意下さい。

それでは、具体的にどういった行動が見られるのでしょうか?

 

どんな行動をするの?

  • ベットで起き上がり、当たりを見回す。
  • ドアを開け閉めする。
  • クローゼットに入る。
  • 着替えて外に出て行こうとする。
  • 物置で用を足す。
  • 台所でなにかを食べる。

などなど、あげればきりがありませんが意識がない状態で行動状態に入るため大変危険です。


例えば、窓が開いていれば落ちるかもしれません。

さらに、玄関からでて徘徊すれば車などに引かれるかもしれません。

というのも、眠っているため意識はありませんが感覚器官は働いているため、扉を開けたり・階段を降りたり・ガスの火を付けたりなど日常でおこなっている簡単な動きができてしまいます。

審議の程は不明ですが、ピアノを引いている夢遊病者の動画まであります・・・

こちら

 

具体的な事例

食事もろくに摂れなかった34歳女性の場合

徹夜・残業・休日出勤も珍しくない状態で帰ればすぐにベッドに入るという生活。

現代人にとっては、特に珍しくない環境といえるでしょう。

ところが、ある朝目が覚めると冷蔵庫の中の食べ物がなくなっていることに気付きました。

泥棒に入られていたら危険ですよね・・・

ですが、この女性は「おかしい?」と思いながらそのままやり過ごしていた用です。

そんなある日、友人が泊まりに来て「夜中に起き出して冷蔵庫の物を食べていた。話しかけても反応がなかった。」と言われたそうです。

→精神科クリニックに受診すると「睡眠時遊行症」と診断されました。

Pexels / Pixabay

この事例から、夢遊病の特徴がいくつもあらわれています。

 

夢遊病の特徴と対策!?

放っておけない特徴

  1. 眠っているはずなのにベットから起き上がりさまざまな行動をおこなう。
  2. 一度や二度ではなく、何度も繰り返す。
  3. 誰かと暮らしている場合なら、相手に迷惑をかける。
  4. 外に出て車を運転する場合もあるため、自分だけでなく相手の生命に関わることもある。
  5. 今回の事例のように、意識がないため誰かに指摘されるまで気付けない。

このように、放っておけない行動を取る場合は対策を取る必要があります。

 

どんな対策が必要?

意識がない状態で移動するため、例えば裸足で外を歩いて足が切り傷状態だったなんて事例もあります。

そのため、「遊行」が始まった時の対策が必要になります。

  • ベット周囲を片付ける。

→当然、その人が寝ている場所から遊行は始まるため移動範囲の物を片付ける必要がある。

 

  • 窓など戸締まりを確実にする。

→窓から飛び降りる場合もあるため、命に関わります。そもそも、戸締まりをしておけば外に出る危険もありません。

 

  • 寝室や隣接する老化の明かりを点灯したままにする。

→症状の発生を抑えられることがある。

 

  • 遊行中は、起こさない!

→「心臓発作で亡くなる!」なんて噂もありますが、そうではありません。無理矢理起こされることで、パニックに陥るため起こした人を攻撃してしまいます。

 

  • 起きたときに身に覚えのない変化があれば注意が必要。

→冷蔵庫の中身が減っている。物が移動しているなど。一人暮らしなら、動画で睡眠中の自分の様子を録画してみては。

 

このように、対策をしないとケガや場合によっては命に関わるため注意が必要な病気です。

*優しくベットに誘導することが基本。

 

原因は結局なに?

子どもの場合は、ほとんどが病的なものではなくあくまで成長過程で起こるため安全対策と見守りをすればいいでしょう。不安なら小児科へ。

とはいえ、症状は心身に強いストレスだったり睡眠時間がバラバラだったりすると起こりやすくなるため日頃から心身や生活リズムの安定を心がける必要があります。

他にも原因として・・・

  • 鎮痛薬の使用
  • 断眠(意図的に眠らない)
  • 疲労感

など、こういったことも関係していると考えられています。

さらに、遺伝的な要因として睡眠時遊行症を持つ人の80%に「睡眠時遊行症」や「睡眠時驚愕症」の家族歴がある可能性が指摘されています。

(睡眠時驚愕症については、次回ご紹介します)

つまり、両親にこういった病歴がある場合、睡眠時遊行症になる確率は大幅に上がるため遺伝する可能性が高い病気でもあります。

 

最後に

子どもなら、先程お伝えしたように自然に治ることがほとんどなので、危険のないように安全対策と見守りをすることが対策になります。

*危険がある場合は、起こしてでも安全をはかる必要はあります。

とはいえ、症状がひどい場合や大人の場合は抗不安薬といった薬を使用されることもあります。

→症状が落ち着いてくれば服薬を減量し、最後は中止して様子をみていく。

一人で治すことは難しい病気ですので、家族や医療機関など「誰か」に相談する必要がある病気です。


参考

元住吉クリニック
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/psychiatry-disease/insomnia/sleepwalking/

 

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