妊娠すれば産婦人科へ。
子どもが病気になったときには小児科へ受診すると思います。
ですが、医師不足が問題視されるようになり病院が減少しているという話しを耳にするようになりました。
今回は、厚生労働省が発表している統計から、医師の人口動態について「医師人数の推移について」紹介していきます。
医師人口は本当に減少している?
医師数は・・・
平成16年度は27万人でした。
しかし、平成28年度は31.9万人となんと増加傾向にあります。
さらに、医師の人数は毎年4000人ずつ増加しています。
つまり、全体的に見れば医師不足ということではないことがわかります。
→調査の記録がある昭和57年から平成28年までの36年間で、一度も医師の人数が前年を割り切っていません。
ということは、特定の診療科や地域などに集中していることが考えられます。
平成28年度の医師人数を全国的に比較
全国の医療施設(病院・診療所)に従事する「人口10万対医師数」は240.1人で、前回に比べて6.5人増加しています。
医師数は人口10万人に対して・・・
- 1位:徳島県(315.9人と最も多い)
- 2位:京都
- 3位:東京
1位~3位は、ほぼ同じぐらいの水準です。
*10万人中315人ということは、一人の医師で約317人を受持つことになります。
徳島県は、日本一の一極集中型の都道府県ということが分かります。
徳島県内でも格差が広がっています・・・
東部の徳島市に徳島大学・県立病院・市民病院。
南部の小松島市には赤十字病院があります。
徳島県には、東部・南部・西部と別れていますが・・・
H25年の徳島県が出しているデータをみると、
例えば、病床数(ベットの数)は全国の1%は徳島県にあります。
ですが、東部:10,756床(65%)・南部:3,301床(20%)・西部:2,462床(15%)
つまり、東部に圧倒的に医療が集中していることが分かります。
日本で最も医療が手厚いのは、徳島県の東部ということになります。
最下位とされた埼玉県は?
一方、埼玉県がどこの地域と比較しても圧倒的に少なく160.1人となっています。
*10万人中、1人の医師で625人を受持つことになります。
つまり、徳島県と埼玉県とでは2倍近く医師の人数に差があることが分かります。
他の指標をみると結果が変わる
ただ、埼玉県の医師数について2018年4月の東京新聞では、こんな順位が発表されています。
- 医師数は2016年:9位(11,667人)
- 医師増加数(14年→16年):3位(609人)
- 初期研修医増加数(03年→17年):1位(177人)
- 人口10万人当たりの医師数(16年):47位(160.1)最下位
となっています。
つまり、人口対にすると最下位ですが、それ以外の数字を見るとかなり優秀な県だとわかります。
このように、指標が変われば順位は変わります。
また、1位だとしてもその中で地域別でさらに一極集中が見られます。
診療別の医師数で少なくなっている診療科は?
平成6年を1.0(始まり)とすると・・・
最も少ない「外科」、「産科・産婦人科」は平成18年まで減少し続けていましたが、それ以降は少しずつもどっていき平成28年には1.0まで戻りました。
最も多い科は「麻酔科」で2.0にとどこうとしています。
つまり、増えていない診療科(外科)はありますが、減少している診療科はありません。
平成18年以降でみると、すべての診療科の医師が増加しています。
→「外科」だけは、H24年から増えていません。
*「小児科」は1.2を超えて、「内科」とほぼ同数になっています。
以上のことから、医師の数は減少しているどころか、むしろ増加していることが分かります。
まとめ
- 医療の一極集中は徳島県が顕著。そのなかでも徳島県の東部地域に集中している。
- 統計の仕方が変わると、見え方(順位)も変わる。
- 平成18年から見ると、この10年間で「外科」以外は増加し続けている。(減少している診療科はない)
参考
厚生労働省:「医師の需給に関する背景」
→https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000199249.pdf
日本医師会総合政策研究機構
→http://www.jmari.med.or.jp/
KOBATON.med(コバトンドットメド)
→https://kobaton-med.jp/act/situation/
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