●この記事では、新子育てプランによる変化についてお伝えしています。
皆さんは、子育てをされているでしょうか?
私の場合は、2歳と4歳の子ども達がいますが、4歳の息子は今年(2021年)で年中になります。
さて、そんな小さい子ども達をお世話してくれる人達と言えば、国家資格でもある「保育士」の資格を持ったプロの人達です。
ですが、そんな保育士さんの扱いがまた新しくなることになりました。
今回は、2020年12月1日に政府が発表した「新子育て安心プラン」の中でも特に、「短時間勤務の保育士の活躍促進」に焦点を当ててご紹介します。
そもそも、「新子育て安心プラン」ってなに?
厚生労働省によると、この新子育て安心プランの目的は・・・
4年間で約14万人の保育の受け皿を整備するほか、1.地域の特性に応じた支援、2.魅力向上を通じた保育士の確保、3.地域のあらゆる子育て資源の活用を柱として、各種取組を推進してまいります。
と、あります。
→令和3(2021)年度~令和6(2024)年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備する。
それでは、具体的にどうやって4年間で14万人の保育士を確保するのでしょうか?
❶地域の特性に応じた支援?
保育ニーズが増加している地域への支援として・・・
1.保育ニーズが増加している地域への支援の場合
- 新子育て安心プランに参加する自治体への整備費等の補助率の嵩上げ
- 待機児童対策協議会に参加する自治体への改修費等の補助基準額の嵩上げ・先駆的取組への支援
など、こういったことが実施されていきます。
2.マッチングの促進が必要な地域へ支援する場合
- 保育コンシェルジュによる相談支援の拡充
→待機児童数が50人未満である市区町村でも新子育て安心プランに参画すれば利用可能。
- 巡回バス等による送迎に対する支援の拡充
→送迎バスの台数や保育士の配置に応じたきめ細かな支援。
- 利用者の利便性向上のための改修等の補助対象への追加。
など、さまざまなことが実施されます。
*また、人口減少地域の保育の在り方の検討もされていく。
➋魅力向上を通じた保育士の確保
- 情報発信のプラットフォーム構築
- 保育補助者の活躍促進
→「勤務時間30時間以下」との補助要件を撤廃。
- 短時間勤務の保育士の活躍促進
→待機児童が存在する市町村において各クラスで常勤保育士1名必須との規制をなくし、それに代えて2名の短時間保育士で可。
- 保育士・保育所支援センターの機能強化
→現職保育士の就業継続に向けた相談を補助対象に追加。
- 若手保育士や保育事業者等への巡回支援の拡充
→働き方改革支援コンサルタントの巡回や魅力ある職場づくりに向けた啓発セミナーの実施を補助対象に追加。
など、さまざまなことが実施されます。
❸地域のあらゆる子育て資源の活用
- 幼稚園の空きスペースの活用
→預かり保育等のスペース確保のための施設改修等の補助を新設。
→待機児童が存在する市区町村において空きスペースを活用した小規模保育の利用定員の上限(19人)を弾力化(3人増し→6人増しまで可とする)
- ベビーシッターの活用
→利用料に関する自治体等の助成を非課税所得とする(令和3年度税制改正で対応)
→企業主導型ベビーシッターの利用補助を拡充(1日1枚→1日2枚)
- 育児休業等の取得促進
→育児休業等取得に積極的に取り組む中小企業への助成事業の創設
(令和3年の通常国会に子ども・子育て支援法の改正法案を提出予定)
さて、「新子育て安心プラン」の概要はこういった部分になります。
ただ、このプランのなかで問題にされている1つに、「➋魅力向上を通じた保育士の確保」のなかで例が示されていた「短時間勤務の保育士の活躍促進」が物議を醸しています。
短時間勤務制度ってなに?
「短時間勤務の保育士」が物議をかもしている理由は、「常勤保育士1名必須」との規制をなくすかわりに、「2名の短時間保育士」でまかなってもよくなったためです。
→「短時間のパート保育士ばかりになって誰も責任をとらなくなるのでは?」・「先生がコロコロ変わって、子ども達が混乱してしまうのでは?」そういった問題点が指摘されている。
それでは、そんな短時間勤務制度とはどんな働き方なのでしょうか?
1日の勤務時間を原則6時間とする制度
保育園は、基本的には労働時間が8時間の場所が多いため、実際は2時間程の時短勤務ということになります。
ちなみに、労働基準法第34条には休憩時間についてこのように規定されています。
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
つまり、「短期時間勤務」と言うことは、6時間勤務ですので休憩は45分ということになります。
ただし、誰もがこの短時間勤務制度を利用できるわけではありません。
対象は?
① 3歳に満たない子を養育する労働者であること。
② 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
③ 日々雇用される者でないこと。
④ 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。
⑤ 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
この①~⑤の全てに当てはまる労働者が対象となります。
つまり、基本的には毎日出勤することがなく、6時間程度の時短勤務をする労働者。そして、育児休業中ではないことが条件です。
つまり、「子育て中のパートの保育士さん」ということになるでしょう。
ただし、例えば1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、例えば1日の所定労働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮するなど、労働者の選択肢を拡げることは可能です。
ちなみに、「労使協定により摘除外となった労働者」というのは以下の場合です。
労使協定の適用除外とは?
- 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働
つまり、1年以上、週に3日以上働いている保育士さんが、短気時間勤務として働ける条件となります。
こういった働き方になるため、「責任の所在」が不安視されています。
極端な話し、もしも保育園にいる各クラスの保育士さん全てが短時間勤務制度の保育士さんになった場合、「各クラスの保育士は2名ずつ配置される?」と言うことになるかもしれません。
そもそも、短気時間勤務ができる条件は「待機児童が存在する市町村」に限られていますが、人口流入や無償化のような制度改正などで、毎年待機児童の現状は大きく変わります。
実際、私が暮らす市ではマンションがいくつも建設されているため、どんどん人口が増加しています。
*逆に言えば、「人口が減少している市町村がある」ということ。
確かに、人口が増えれば待機児童も増加します。
そして、人員が増えれば仕事を分担できるかもしれませんが、残業などはお互いに難しいのではないでしょうか?(残業自体は禁止されていない)
また、短時間勤務の保育士さんの多くが週3日勤務だった場合、「各クラスの保育士が4人以上になる?」。そんな可能性もあるのではないでしょうか?
また、「給料はどうなるの?」って疑問もありますよね。
→通例は、基本給から短縮した時間分の給与が差し引かれる。
このように、新子育て安心プランにより保育士の働き方はまた大きく変わっていくことが示されました。
ところで、待機児童が解消されたら、各クラスの保育士さんは常勤保育士1人に変更できるのでしょうか?
→特に、人口流出で人口が減った市町村は待機児童が解消されることになるが、短時間勤務として就労していた保育士さんはどうなる?
最後に
このプランにもありますが、保育士として働くことを考えている人にとって、「魅力向上を通じた保育士の確保」が最も気になる項目ではないでしょうか?
そもそも、保育に限ったことではないですが福祉業界は給料が低いことで有名ですよね。
仮に、人員が確保できても「給料が低くて生活できない!」なんてことになっては本末転倒です。
それでは、保育士の給料は本当に低いまま、今にいたるのでしょうか?
首相官邸のHPを確認すると、2013年と比較すると2019年は13%も給料が引き上げられていることが示されています。
実は、政府は毎年少しずつですが引き上げを実施しています。
月給:4万円以上(年収:約50万円)が、2013年~2019年までで上がっています。
ただ問題は・・・
- 保育士の給料が上がりにくい地域がある
- 給料引き上げに消極的な保育園がある
- 交付金を処遇改善手当にしない保育園がある
- 人件費を削って運営する保育園がある
ことです。
つまり、もしもあなたが保育所などで働いていて「給料が上がらない!」と考えている場合、その原因はその地域の場合もありますが、勤めている保育園の運営方針という場合もあります。
まずは、地域ごとの「保育士の平均収入」と「自身の平均収入」を比較してみてはいかがでしょうか?
*特に沖縄は、全国で比較すると給料が安いことで有名。
参考
ほいくのキャリア:保育士の給料が上がらない理由、処遇改善で今後の給料は上がる?
→https://hoikucareer.com/?p=20962
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