簡単便利な市販薬のインターネット販売 ~違法販売が多発中!?~

 

薬局などで買える市販薬の依存症については、市販薬だから安心?依存しやすい薬があるって本当!?の記事で紹介しています。

それでは、そんな市販薬をネットでも購入できることはご存じでしょうか?

処方箋が必要な処方薬「医療用医薬品」に関しては、もちろんネット販売はできません。

ですが、「一般医薬品」とされる第1類~第3類までの医薬品はネットで購入できてしまいます。

今回は、知らないと怖い一般医薬品のネット購入について紹介します。

 

一般医薬品ってなに?

病院に行けないときは、簡単に薬局などで風邪薬を購入する人も多いと思います。このように、病院へ受診しなくても、個人で購入できる市販薬のことを一般医薬品といいます。

つまり、素人判断で購入することが前提なので通常は、安全性が確保されている成分の配合がなされているものが多いです。

また、一般の人でも使いやすいように錠剤や液体など一般人でも使いやすい方法で内服できるように売られています。

注射剤など、使いにくい方法では売られていませんよね・・・

そして、症状の改善が見られない場合は服薬を中止し、医師・歯科医師または薬剤師に相談することが概要箱などに記載されています。

*薬局などで販売されている市販薬は、「OTC医薬品」とも呼ばれます。

OTC医薬品については、こちらの記事で紹介しています。

セルフメディケーション税制 ~医療費控除は利用していますか?~

さて、このようにとても便利な一般医薬品にも種類があります。

 

3種類の一般医薬品

第1類~第3類まで分かれていますが、これは副作用のリスクによる区分です。第1類がもっともリスクが高い市販薬ということになります。

 

第1類医薬品

一般医薬品のなかで副作用などのリスクがもっとも高く、特に注意が必要な市販薬です。販売するには、薬剤師が医薬品に関する情報提供をおこなう必要があります。(義務)

*ガスター10やロキソニンSなど。

 

第2類医薬品

副作用などにより、日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生じるおそれがあるもの。販売するには、薬剤師または登録販売者が医薬品に関する情報提供をおこなう。(努力義務)

*風邪薬・解熱鎮痛薬・胃腸薬など

 

第3類医薬品

第1類・第2類医薬品以外のもの。薬剤師または登録販売者が対応するが、情報提供に関しては特に必要ない。

*ビタミン剤・整腸薬など。

moakets / Pixabay

第1類医薬品を販売するときは情報提供は「義務」となるため、薬についての説明をしなくては違反になります。ですが、第2類医薬品の場合は「努力義務」のため情報提供をしなくても違反にはなりません。

 

平成26年から一般医薬品がネットで販売されている!

ただ、一般医薬品には第1類も含まれているため、ネット販売をするためには当然ハードルが高くなっています。

 

一般市販薬をネット購入するときの確認必須事項

 

実店舗が存在していることを確認する

  1. 実店舗が存在しており、週30時間以上を目安に開店している。
  2. 店舗に貯蔵・陳列している医薬品を販売している。

など、市販薬を販売するためにはさまざまな規定があります。つまり、そもそも市販薬を無資格者による個人での転売は違法になります。

下記HPに、ネット販売をおこなう店舗の一覧が厚生労働省のHPに掲載されています。
厚生労働省:一般用医薬品の販売サイト一覧

 

HPの記載事項を確認する

  1. 実店舗の名称や写真
  2. 専門家の氏名
  3. 対応専門家の勤務シフト表の表示
  4. 営業時間を含めた連絡先
  5. ネットの他に、対面や電話での相談体制を整備。

など、HPの表示方法も細かく決められています。

*薬剤師は、厚生労働省のHPで確認することができます。
厚生労働省:「薬剤師資格確認検索システム」

*登録販売者は各自治体に問い合わせれば確認することができます。

geralt / Pixabay

 

ネット販売は安全?

インターネットでの市販薬の乱用を防ぐために、ネット販売はハードルが高くなっていることは分かっていただけたかと思います。

ですが、実は医薬品ネット販売サイトの6割で、乱用の恐れがある薬が違法な方法で販売されていたことが、厚生労働省による2017年度の調査結果で示されました。

*ネット販売は、2018年時点で約1900サイトで届け出がだされています。


厚生労働省が、2017年に薬を販売する507のサイトを対象に、実際に購入して調査がおこなわれました。

なんと、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧薬事法)で原則1度に一つしか購入できない咳止め薬などについて、正当な理由の確認もなく複数購入できたサイトが63%もありました。

2014年度では46%・2015年度では62%だったため、年々悪化していることが分かります。

また、もっとも副作用のリスクが高い第1類医薬品でさえ、義務づけられている「副作用の情報提供」をしていなかったサイトが24%もありました。

つまり、おそらく実店舗ではできていることが、ネット販売になったとたん軽視されたことになります。

Alexas_Fotos / Pixabay

ネット購入者としては、効果の強い薬でさえもまさに簡単・お手軽にたくさん購入できるので「ラッキー」と考えるかもしれません。ですが、リスクを知らずに服用するならばそれはもはや薬ではなく「毒」といえるでしょう。

そうならないために、本来は法律で薬を管理しています。

ネット販売が始まるほど市販薬のニーズが高いことがうかがえます。

ただ、手軽に薬が手に入ってしまうため、気付けば薬物乱用で取り返しのつかない状態になっている人をたくさん生み出している可能性が高くなることも意味しています。

ネット販売が当たり前になり、購入者側の薬についての基本的な知識も求められるようになった時代になりましたが、あなたはご自身で買った薬が依存性が高い薬かどうか知っていますか?

市販薬は本当に便利です。ただ、薬の知識がない(調べない)なら病院受診をお勧めします。

 

まとめ

  • 2014年6月から一般市販薬がネットで購入できるようなった。
  • 市販薬でネット販売をするためにはさまざまなルールがある。
  • 市販薬がネット販売で簡単に手に入るようになった反面、サイトの60%以上が違法な販売方法をしている。

参考

厚生労働省:「医療用医薬品と一般用医薬品の比較について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0906-6c.html

厚生労働省:「一般用医薬品のインターネット販売について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/140214-1-3.pdf

厚生労働省:「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00990.html

 

 

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