虚偽通報は「軽犯罪」になるとは限らない!? 刑法で処罰もありうる!

 

以前、110番へのイタズラ電話についてご紹介したことがありました。

結論から言えば、今も続いています。

ところで、「110番の日」があることをご存じでしょうか?

今回は、「そんな110番の日に指摘されるイタズラ電話の問題」についてご紹介します。

 

「110番の日」ってなに?

「110」から分かるように、1月10日が「110番の日」となります。

110番の適切な使用を推奨するために、昭和60年(1985年)に警視庁が定めました。

つまり、「昔からイタズラ電話があった」ことが分かります。

さて、そんな110番通報の受理件数は警察庁によると2015年では約923万件となっており約3.4秒に1回。国民約13.8人に1人の割合で通報していることになります。

つまり、30人の人が集まれば2人以上は警察へ通報したことがあることになります。

これが、約5年前の状態でした。

それでは、110番通報は2019年ではどのように変化したのでしょうか?

 

2019年は増えた?減った?

読売新聞によると、2019年1月~11月に全国の警察が対応した110番通報は、829万9775件だったことが示されています。

この件数は2018年と比較すると5万9937件も減少しており、2015年と比較すると約100万件も減少していることが分かります。

110番通報が減少したことが「いいことか?」「悪いことか?」それは分かりません。

ただ、約830万件のうち152万4542件は緊急性のない通報でした。(18.4%)

つまり、約2割が正しく110番通報が使われていなかったことになります。

 

「110番通報の正しい使い方」については、こちらの記事で紹介しています。

警察と私たちを即座に結ぶ110番 ~続く深刻な現実~

ただ、そんな110番への「虚偽の通報」が問題になっています。

 

「虚偽の通報」ってなに?

実は、虚偽の通報での逮捕者はここ数年だけをみても、記事をいくつも見つけることができました。

ただ、そのイタズラや虚偽の通報は「常軌を逸している」と言わざるをえません。

 

琉球新報より

沖縄県警本部警備部機動隊長の50代男性警視が、酒に酔い「女の車に拉致された」などと虚偽の110番通報

他にも、産経新聞では「人が殺された」と虚偽通報があったことなどが紹介されています。

また、この記事の中で2018年12月奈良県生駒市内に住む無職の男(43)から、「おかんをボコボコにした」などと県警に通報。

虚偽の通報で男性は、偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。

ちなみに、この男性は警察に対して、罵声を浴びせるなどの迷惑電話を220回もかけていた常習犯でもあったようです。

執念みたいなものを感じますね・・・


他にも、2019年1月にはJR天王寺駅で「刃物をもった人がいる」と女性が車掌に届出。直接ではありませんが、警察へ連絡がはいり虚偽の深刻の可能性が高いと見られています。

このように、虚偽の通報は実際に何件も引き起こされています。

なにより、逮捕者がでていることから分かるように、虚偽の通報が罪になることはいうまでもありませんよね・・・

それでは、そもそもどういった罪になるのでしょうか?

 

そもそも虚偽の通報は禁止されている!

当たり前と言えば当たり前ですが、「嘘の通報」は罰せられることになります。

例えば、警察に限ったことではないですが公務員に対して虚偽の通報をした場合、「虚偽申告罪」となります。

ただ、これは刑法には規定されていません。

 

軽犯罪法で罰せられるかも・・・

実は、虚偽申告は「軽犯罪法」に規定されています。

 

軽犯罪法第1条16号

虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

「拘留」または「科料」に処される可能性があります。

  • 拘留:1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される罰
  • 科料:1000円以上1万円未満の金銭を徴収される罰

「軽犯罪」と呼ばれるように、たしかに罰則じたいは軽く見えるかもしれませんが、「前科」がつきます。

これが、軽犯罪の一番の罰則だと言えるでしょう。

 

 

前科がつくと・・・

  • 一定の職業に就けないといった制限
  • 勤務先から懲戒処分
  • 次に犯罪を犯したときに量刑が重くなる

こういった、将来に対してのデメリットがあります。

また、ネットに拡散されれば必要以上の制裁を受けることになりかねないため、軽犯罪による逮捕はその後の人生に大きく関わる可能性があることを知っておく必要があります。

 

刑事訴訟法

とはいえ、刑事訴訟法の199条にはこんな条文があります。

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。

ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

つまり、軽犯罪法違反の場合は、「逃げる・出頭拒否」などをしなければ逮捕される可能性は低いということになります。


ところで、虚偽ではなくても例えば「火事かな?」と疑うような状況で通報することがあるかもしれません。

ですが、軽犯罪法では第4条

この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

つまり、直ちに処罰の対象になるわけではありません。

ただし、もしも虚偽の通報が相手を陥れるためだった場合、刑法により罰せられる可能性があります。

 

虚偽の通報は「軽犯罪」じゃないの?

どんな犯罪もそうですが、必ずしも1つの罰則が適用されるとは限りません。

確かに、虚偽の通報は軽犯罪です。

ですが、もしもそれが相手を陥れるような目的なら「名誉毀損」や「人権侵害」など他の罰則が適用される可能性があります。

その1つが、刑法第172条「虚偽告訴罪」です。

人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

このように、「虚偽の通報」と一言でいっても、その内容によっては罰則が大きく変わります。

どちらにしても、虚偽の通報はそれ自体が犯罪行為であることはいうまでもありません。

 

最後に

普段の生活の中で、警察や消防など公務員に対して虚偽の通報をすることはないでしょう。

ただ、極端な例とはいえ実際に逮捕者もでています。

実は、嘘の110番をして警察から逃げ回る「ハイパーゲーム」と呼ばれるいたずらが、福岡市西区の少年を中心に広まり、偽計業務妨害の疑いで逮捕者まででています。

 

偽計業務妨害罪刑法233条より

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

これは、業務妨害罪の1種です。

しかも、これは警察の業務を妨害しています・・・

このように、同じ「虚偽の通報」でもその内容や状況によって罰則は大きく変わります。

なにより、どう考えても人生をかけて行うようなことではないでしょう。

緊急事態での通報は、迷う必要はありません。

ただ、「これは通報してもいいの?」と迷うことであれば110番ではなく、警察相談専用ダイヤル「#9110」に連絡するようにして下さい。

 

「警察相談専用ダイヤル」についは、こちらの記事で紹介しています。

110番だけじゃない! もう一つの警察への相談ダイヤル「#9110」とは?

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です