赤ちゃんのバリア機能は簡単に崩れる! おむつ皮膚炎の負のサイクルとは?

 

赤ちゃんのオムツ交換をしていると、お尻が真っ赤になっていることがありますよね・・・

赤ちゃんのお尻が赤くなるのはカビが原因で起こる場合などもありますが、今回は皮膚に直接触れた物が原因で発生する「おむつ皮膚炎」についてご紹介します。

ひと言でいうと、オムツかぶれについての紹介です。

 

おむつ皮膚炎ってなに?

おむつ皮膚炎は、「接触皮膚炎」の1つです。

「接触皮膚炎!」なんて言われると、びっくりするかもしれませんが、簡単に言えば「皮膚がかぶれている状態」のことです。

ちなみに、「接触皮膚炎」は原因によって大きく3つに分けられます。

  1. 刺激性接触皮膚炎→触れた物質による刺激で起こる。
  2. アレルギー性皮膚炎→ある物資が皮膚に侵入してくると、皮膚では病気から体を守る役目を担う細胞がそれを覚えて2回目からは過剰反応して皮膚炎を起こす。
  3. 特殊なものと光が合わさることで生じる皮膚炎。→日焼けなど。

 

今回ご紹介するのは、接触皮膚炎のなかでもさらに固有の診断名で医学的に「おむつ皮膚炎」と呼ばれます。

さて、赤ちゃんのオムツにある「刺激物」といえば、ウンチやおしっこ・汗などですよね・・・

 

おむつ皮膚炎(おむつかぶれ)の原因は?

そもそも、皮膚にはバリア機能があります。(皮膚は角層に覆われている)

  • 体内の水分の蒸発を防ぐ。
  • アレルゲンや微生物などの外的刺激の進入を防ぐ。

ところが、「乾燥」・「過湿潤(ムレなど)」・「摩擦」などにより、角層が傷ついてしまい皮膚のバリア機能は低下していきます。

 

*角層が傷付くと、「外的な異物が侵入しやすい」「体内の水分が体外へ逃げやすくなり乾燥しやすくなる」ということが起こります。

→この状態でさらに皮膚が刺激を受けると、負のサイクルに陥ります。

 

負のサイクル(3つの要素)

1.便や尿との接触

  • 便・・・便の中にある消化酵素やアルカリ性の傾向にある水様便が、皮膚に刺激を与える。
  • 尿・・・体内の老廃物などが多く含まれている。(皮膚に付着した尿は時間が経過するとアルカリ性になる)

また、細菌の餌になるため細菌も増えやすくなります。

 

2.尿や汗によるムレ(過湿潤)

そもそもおむつは、漏れを防ぐ構造になっていますよね。

つまり、おむつの中は「汗」「尿」の水分により、高温多湿な環境になります。すると、皮膚はふやけてしまい、ふやけた皮膚はとても傷付きやすくなります。

細菌にとっても、水分が豊富な環境は絶好の住処になるため細菌が増えやすくなります。

 

3.拭き取りの摩擦刺激

お尻を拭いたり洗ったりしたときに、ゴシゴシとこすって洗ってしまうと、肌を傷つけてしまいます。傷付いた肌は、バリア機能が働きにくくなっているため排泄物の刺激や菌、ムレの影響をより受けやすくなります。

 

このように、刺激物」や「水分」が皮膚に接触→皮膚が傷付く→摩擦で皮膚状態が悪化

この負のサイクルに入らないために、赤ちゃんのお尻対策が必要になります。

 

「おむつかぶれ」を防ぐためにどんな対策をすればいいの?

  • お尻に汚れが付かない状態を維持する。→排泄のたびにおむつ交換を行う。
  • お尻は優しく拭き取る・洗う→ゴシゴシこすらない。
  • お尻を乾燥させてからおむつを履かせる。

そもそもお尻がかぶれる前に、保護クリームをお尻に塗布することも効果的です。

*これは、高齢者介護でも同じことが言えます。

 

おむつ皮膚炎を見極めるポイントは?

最近のおむつは蒸れにくい構造になっているものなど、どんどん良くなっていますよね。ですが、「おむつ交換をしなくてもいい!」ということではもちろんありません。

先程も説明したように、蒸れない構造になっているとはいえウンチやおしっこは皮膚に刺激を与えてしまいます。なにより、赤ちゃん自身が気持ち悪さで落ち着かなくなるでしょう。

ということで、「おむつ交換は必ずする!」ことを前提にお話ししていきます。


おむつ皮膚炎は・・・

  • お尻全体が赤くなる。
  • ポツポツとあせものような湿疹ができる。
  • おむつギャザーが当たる部分の皮膚炎。

など、症状も様々です。

ただ、炎症は痒みや痛みが生じ悪化するとただれて血がにじむ場合もあります。

*夏の場合は、おむつ皮膚炎ではなく「あせも」の場合もあります。

 

かぶれのサイン!

  • お尻を拭いたら痛がって泣く。
  • 入浴時、お尻にお湯をかけたら激しく泣く。
  • おむつを外すと、痒がってお尻に手をやる。

このように、皮膚状態だけでなく子どもの様子からも皮膚の状態を見て取ることができます。

 

こんな時は要注意!

  • ゆるゆるの便が何度もでる場合
  • 下痢の場合
  • 長時間おむつが替えられない場合(外出や夜間など)

このように、皮膚が刺激される場合は特に注意が必要です。


先程もお伝えしましたが、紙おむつの機能は格段に良くなっています。

赤ちゃんがおしっこをしても水分を素早く吸収して固めたり、通気性が高くムレにくいおむつなどがありますよね。

とはいえ、ウンチの固形物は紙おむつではもちろん吸収できません。

最後は、やはり人の手でおむつ交換が必要になります。

 

「肌が赤いかな!?」と感じたら・・・

赤くなった部分は、皮膚のバリア機能が落ちていると考えられるため、こするとますます悪化する可能性があります。

「下痢便が続いている!」など、ウンチやおしっこのように排泄物が原因と考えられる場合は、ぬるま湯(38~40度)にたっぷり浸したコットンなどで汚れだけ洗い流す。または、肌を洗うようにします。

おむつを当てるのは、肌がきちんと乾いてからです。

*肌が赤いときは、おしっこサインが出ていなくても少しでも濡れていれば交換して様子をみてあげて下さいね。

→赤みがひかなかったり、ひどくなる場合は受診が必要です。

 

最後に

おむつ皮膚炎は、親なら誰もが体験します。

もちろん、かぶれないにこしたことはありませんが問題は、その後しっかり対処できるかです。

おむつ皮膚炎は・・・

  • 皮膚を清潔に保つ
  • おむつ内が蒸れないようにする
  • 摩擦を避ける

ことを徹底すれば改善します。

よくやってしまうのは、こびりついたウンチをこすってしまうことではないでしょうか?

その場合は、シャワーで洗い流した方が早くキレイにすることができますよね。

「お尻の皮膚が赤いかな?」と感じたら、こすらないにようにご注意下さい!


参考

ALCARE
http://www.alcare.co.jp/remois/barrier/

花王
https://www.kao.co.jp/merries/guide/tape_howto/02/#common_section_wrapper_4

 

 

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