●この記事では、積雪と歩行者事故の関係についてお伝えしています。
今年(2021年)は、年末年始の大雪から始まりましたが影響はなにも北海道だけではありません。
とはいえ、例えば岩見沢市では1月23日に小学一年生の女の子が住宅の車庫の雪が落下してきた結果、首まで埋もれて救助される事態に陥りました。
以前には、積雪による車の被害についてお伝えしましたが、当然道を歩いている歩行者にもこのように雪による命に関わる被害が発生してしまいます。
今回は、そんな歩行者にとっての危険「積雪・凍結路面で歩行者が危険に!?」ついてご紹介します。
→「積雪と車」については、こちらの記事で紹介しています。
東京都も例外ではない!?
例えば、北海道なら雪を除雪することで雪の壁ができることが有名ですよね。ちなみに、今年(2021年)の積雪は2m越えの記録的な大雪となっています。
ですが、記録的な大雪にならなくても毎年のように「積雪や路面凍結」により救急事故が発生しています。
東京消防庁では、2021年1月号の広報テーマが発表されています。
東京消防庁の管内では、どんな状況になっているの?
そもそも、毎年12月~3月は積雪や路面凍結の影響で滑って転倒した時に受傷する「転ぶ事故」などが原因で救急事故が多くなります。
実際、2019年12月~2020年3月までの期間では東京消防庁管内だけで、20人が救急搬送されています。
ちなみに、過去5年間(2015年~2020年)では1,250人が救急搬送されましたが、そのうち1,183人(約9割)が「転ぶ事故」が原因でした。
つまり、約9割の人が転倒により救急搬送されているため「たかが転倒」とはいえない状況にあります。
ところで、2019年は救急搬送者が20人しかいなかったのに、過去5年間でみると「1,250人も救急搬送された!」と言うことは、どう考えてもおかしいですよね。
単純に考えれば、もしもこの時期の救急搬送が毎年20人前後なら、5年間で100人前後になるはずですよね。
つまり、「過去5年間で救急搬送が集中した年があった!」ということになります。
救急搬送の急増と転ぶ事故の関係は?
当然と言えばとうぜんかもしれませんが、同じ12月~3月でも年によって寒さは全く違いますよね。
- 2015年12月~2016年3月:降雪6㎝→救急搬送数(289人)
- 2016年12月~2017年3月:降雪なし→救急搬送数(14人)
- 2017年12月~2018年3月:降雪(1/22-降雪23㎝ ・ 2/2-降雪2㎝)→救急搬送者数(895人)
- 2018年12月~2019年3月:降雪なし→救急搬送者数(32人)
- 2019年12月~2020年3月:降雪(3/29-降雪1㎝)→救急搬送者数(20人)
これをグラフにすると、救急搬送者の数は年の差が大きい状況がよく分かります。
このように、降雪が数㎝あっただけで300人近い人が転倒し、降雪が約20㎝あった年には900人近い人が「転ぶ事故」により救急搬送されています。
→数㎝の降雪の有無で、「転ぶ事故」が数百人単位で変わる。
そして、過去5年間の5歳ごとの救急搬送された年齢層では、50歳~84歳までがどの年齢層も100人を越えていました。
→救急搬送された年齢層では、65~69歳:136人が最も多かった。
ただし、赤ちゃんから高齢者まで、どの年齢層でも救急搬送されているため注意が必要なことは言うまでもありません。
それでは、歩行者は雪道でなにに気を付けなければいけないのでしょうか?
歩行者の「雪害」とは?
実は、首相官邸HPでも「雪害」として歩行者の注意喚起がなされています。
その中で、「歩行者の雪道での事故」についても説明されています。
滑りやすい場所?
- 横断歩道の白線の上
乾いているように見えても薄い氷膜ができて、滑りやすくなっている場合があります。
- 車の出入りのある歩道(駐車場の出入口、ガソリンスタンドなど)
出入りする車のタイヤで路面上の氷が磨かれ、非常に滑りやすくなっている場合があります。
- バスやタクシーの乗り場
踏み固められて滑りやすくなっている場合があります。また、歩道と車道との段差にも注意。
- 坂道
上りよりも下るときの方が滑って転びやすく危険です。下るときは特に注意しましょう。
- ロードヒーティングの切れ目
雪や氷が融けておらず段差ができて、部分的に滑りやすい状態になっていることがあります。
もちろん、上記で挙げられた場所だけではありません。例えば、マンホールは雪に限らず濡れていれば滑りやすくなっています。
当然、地面が凍結していればそれだけで滑りやすくなるため注意が必要になります。
特に、以下のような時は注意が必要です。
- 降雪後も温度が低い状態が続き、路面が車や人の往来で圧雪されている。
- 積雪後に気温が上昇して雪が溶け、その後気温がマイナスに低下する。
こういった時に外出するときは、注意する必要があります。
ちなみに、首相官邸では「転びにくい歩き方」も紹介されています。
転びにくい歩き方?
- 小さな歩幅で歩きましょう
歩幅を小さくし、そろそろと歩く「ペンギン歩き」が基本です。
- 靴の裏全体を路面に付けて歩きましょう
体の重心をやや前におき、できるだけ靴の裏全体を路面につける気持ちで歩きましょう。また、履物は靴底が滑りにくいものを選びましょう。(摩擦係数の高いゴム長靴等)
- その他
転んだときために、帽子や手袋をするなど、身に着ける物の工夫も安全対策の一つです。
両手をポケットに入れて歩いたり、飲酒時もバランス感覚が鈍り危険です。
また、屋根の上の雪や氷が落ちてくることがありますので、屋根にも目を配り歩きましょう。特に、暖かい日は要注意。
基本的には、「滑りやすいときはすでに皆さんがおこなっている行動」だと言えるのではないでしょうか?
とはいえ、確かに寒いとポケットに手を入れてしまうため手袋は必須になりそうです。
なにより、雪での事故は危険を伴うため十分にご注意下さい。
最後に
数㎝の積雪で、転びやすくなり救急搬送が増加します。
ですが、例えばスキーなどができるぐらいの積雪では、雪に埋もれる「窒息」の危険があります。また、屋根から落ちてくる雪なんて、雪の少ない地域に住んでいたら普段から気にしないですよね・・・
毎年、冬の暖かさは違います。
もしも、雪が降った年は雪が溶けた後も滑りやすい場所に注意して下さい。
また、子育てをしていると子どもが走ったり、抱きついてきたりするため勢いよく転倒しないように子どもだけでなく、自分の身も守れるようにしていきたいですね。
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