例年以上に、今年(2020年・2021年)は寒くなりました。
私が住む地域では、ほとんど雪が積もることがないのですが、2020年の年末は夜間に降った雪のため、朝から一面真っ白になっていました。
さて、そんな特に寒い今年の冬ですが、コロナ禍とはいえどうしても外に出ないといけないときはありますよね。
それは、年末年始でも関係ありません。
それでは、もしも車で出かけたときに雪の中で立ち往生してしまった時、あなたは万全の対策ができているでしょうか?
今回は、「命に関わる雪道での立ち往生」についてご紹介します。
そもそも、雪道での立ち往生は命に関わる!
以前の記事でも、車中泊をすることで「一酸化炭素中毒」や「エコノミークラス症候群」といったことが原因で、命に関わる可能性があることを紹介しました。
ですが、そもそもそういった「中毒」や「病気」が防げたとしても、冬の車内に留まるだけで命に関わります。
→「一酸化炭素中毒」については、こちらの記事で紹介しています。
→「エコノミークラス症候群」については、こちらの記事で紹介しています。
冬の車内は危険な寒さ?
まず大前提として、エアコンを付けたまま車中泊をしてしまうとバッテリー上がりにより、エンジンが切れるだけでなく、積雪により一酸化炭素中毒になる危険性があります。
そのため、車中泊をする場合はエンジンを切って車内で過ごすことになります。
それでは、エンジンを切った場合、どういった防寒対策が必要になるのでしょうか?
JAFが実施したユーザーテスト
2014年に長野県で実施されたテストで・・・
- テスト開始時:-10.2℃、最低気温:-13.2℃
- テスト終了時:-12.9℃
*テスト開始直前までエンジンをかけて、車内温度を25℃に設定した環境から始められた。
そして、午後 11 時~翌朝午前 7 時までの 8 時間、エンジンを止めた状態で対策の異なる 20 代~30 代の4名のモニターが車両(ミニバン)2 台に分乗し、寒さをしのげるのかが検証されました。
つまり、「エンジンを切った冬の車内で、どんな対策をすれば一晩過ごせるか?」という実験でした。
それでは、どういった寒さ対策で実験されたのでしょうか?
《それぞれの寒さ対策は?》
- 対策なし
- エマージェンシーシート(緊急時に体温保持のために使う薄くて軽いアルミシート)
- 寝袋(冬山用)
- 毛布+使い捨てカイロ
服装は統一(上はダウンジャケット・下はジャージ)
それでは、そもそもエアコンを切ると車内の室温はどれくらい下がったのでしょうか?
《エンジンを切ると、どんどん車内の気温が下がる!》
- エンジンを切って約30分程で、車内気温が約15度(10度下がった)。
- エンジンを切って1時間経過後には、車内温度は約10度(15度下がった)。
- エンジンを切って3時間経過後には、約0度(25度下がった)。
つまり、室内温度はエアコンを切って「1時間が経過して10度」・「2時間経過で0度」にまで下がっています。
ちなみに、終了した「7時(8時間後)には車内温度は-7℃」となっています。
ちなみに、外の気温は一晩中-10℃以下になっていたため、車外で過ごすことは難しいでしょう。
それでは、この車内温度変化に耐えられたのは1~4のうちどの対策だったのでしょうか?
《1~4の対策で、朝まで迎えることができたのは?》
個人的には、雪山でも利用できる「エマージェンシーシート」が役に立つと考えていましたが、実際はこんな結果になりました。
1.対策なし
多くの人が予想したと思いますが、毛布もなにもない状態で0度以下の場所で寝ることは難しいですよね・・・
実際、車内温度が1.8℃の時にギブアップしています。
→テスト開始から2時間45分(外気温:-11.1℃、車内温度:1.8℃)
ちなみに、テスト開始(エンジンを切って)から30分程で寒くなり、足先の感覚がなってきたようです。
このように、なんの対策もなければ氷点下の環境では車内にいても3時間前後で限界がくることを知っておく必要があります。
それでは、「エマージェンシーシート」を使えば朝まで耐えられたのでしょうか?
2.エマージェンシーシートを使用
実は、エマージェンシーシートを使用した場合でも・・・
→テスト開始から 5 時間 27 分後にギブアップ。(外気温:-12℃、車内温度:-3.9℃)
つまり、ユーザーはテストが終了するまで耐えることができませんでした。
それでは、どうして「エマージェンシート」を使っていたにも関わらず一晩過ごすことができなかったでしょうか?
A.「初めは暖かかったのですが、シートがかかっていない顔や足先が冷えました。また、最初にかいた汗も冷えてきました。」
ということでした。
確かに、エマージェンシーシートは暖かいですが「通気性がないぶん、汗をかいて冷えにつながる」という結果になっていました。
結論からいえば、雪が降る車内で一晩過ごすことができた対策は「3.毛布+使い捨てカイロ」と「4.寝袋」でした。
ただ、特に「寝袋」はギリギリだったようです・・・
3.寝袋を使用
テスト開始から8時間経過し、寒さに耐えることができ無事終了。(外気温:-12.9℃、車内温度:-7℃)
→テストユーザーからは、「最初は軽く朝まで行けるかと思っていましたが、朝方になって結構寒さを感じてきつかったです。冬の車中泊はできないかなと思いました。」
といった結果になっています。
それでは、「毛布と使い捨てカイロ」が対策として最も効果があったのでしょうか?
4.毛布と使い捨てカイロ
テスト開始から8時間経過し、寒さに耐えることができ無事終了。(外気温:-12.9℃、車内温度:-7℃)
→テストユーザーからは、「カイロがあったから朝まで過ごせた感じです。午前1時ごろからすごく冷えてきたように感じて、特に足と鼻がきつかったです。」
つまり、カイロがなければ朝まで過ごせなかったことが示されていました。
結果は?
- 結論から言えば、「対策なし」で冬に一晩車中泊することは自殺行為。(3時間前後)
- 「エマージェンシーシート」を使えば、対策なしよりは数時間(5時間程)耐えることができる。
- 「寝袋」と「毛布・使い捨てカイロ」は、とりあえず朝まで耐えることはできたという対策だった。
こういった理由から、エアコンを付けっぱなしに寝ることは危険ですが、マフラー周りの積雪に気を付けて、「除雪」や「換気」をエアコンを定期的に利用しながら一晩過ごすことになるでしょう。
*当然、車内の方が暖かいため、特に荒天時は車内で天候の回復を待ち救援を待つことになる。
最後に
冬の車中泊は、かなり体力を消耗することになります。
今回は、防寒グッズの効果についてJAFのユーザーテストから紹介しましたが、「除雪するためのスコップ」や「携帯バッテリー」なども準備しておくと安心でしょう。
また、「低体温症」や「エコノミークラス症候群」を防ぐためには「こまめな水分補給」や「足の指や足首をほぐす体操」、「10~30分ごとの空気の入れ換え」が必要になってきます。
→「低体温症」については、こちらの記事で紹介しています。
雪が降る季節になると、チェーン未装着が原因で立ち往生が発生しやすくなります。
そして、いつもなら降らない地域でも、「●年ぶりの大雪で・・・」と、積もってしまうこともあります。
いざという時のために、雪の中を運転する時はせめて「使い捨てカイロ」は車に積んでおくといいでしょう。
雪が降る日(可能性がある日)に車中泊をするときは、十分にご注意下さい。
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