冷凍食品で自然解凍できる物とできない物 そもそも前提が違う!?

 

皆さんは、非常食としてどんな物を思い浮かべますか?

例えば災害時には、カップヌードルなど簡単にいつでも食べられる保存食が重宝されますよね。

そんな非常食として、「冷凍食品」を選択する人も多いのではないでしょうか?

ですが、知らないとせっかくの冷凍食品を生かせないかもしれません。

今回は、「冷凍食品は温めないといけない?」についてご紹介します。

 

「冷凍食品」とはコレのこと!

そもそも、「冷凍されている食品」が全て冷凍食品ではありません。

例えば、魚の冷凍品が分かりやすい例だといえるでしょう。

「魚の冷凍品」の中には、包装を取り除いたり、解凍して販売されていたりする冷凍魚がありますが、これは冷凍食品ではありません。

その理由は、「冷凍食品」には4つの条件があるためです。

 

冷凍食品の4つの条件?

そもそも、冷凍食品は食品の「風味・食感・色・栄養・衛生状態など」つまり、品質が

「取り立て」・「作りたて」の状態のまま長い間保存するために生まれた物です。

冷凍食品は、8ヶ月~24ヶ月間は最初の品質が保たれることが研究で分かっているため、私達が非常食として選択する理由でもあります。

 

そんな冷凍食品は、基本的に4つの条件を満たす必要があります。

  1. 前処理済・・・新鮮な原料を洗浄・魚なら不可食部分を取り除く・揚げるだけの状態など。
  2. 急速凍結・・・繊維を壊さないために、通常:-1~-5℃へ短時間の内に通過するように凍結。
  3. 適切に包装・・・汚れや型崩れを防ぐための包装(包装には様々な情報が記載)
  4. 品質を-18℃以下で保管・・・生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じ一貫して常に-18℃以下で管理

つまり、先程の例であげた「冷凍魚」は、前処理ができておらず、そもそも包装もない状態です。

この点を見ても、冷凍魚が冷凍食品には当たらないことが、分かっていただけたのではないでしょうか?

さて、そんな冷凍食品には「自然解凍で食べられる!」そんな商品がありますよね。

 

そもそも、冷凍食品は自然解凍で食べられないの?

「冷凍食品」は、4つの条件でお伝えしたように、前処理が済んでいるため、唐揚げやコロッケのように揚げるだけの物・冷凍スパゲティで電子レンジで温めるだけのものなど、種類も豊富にあります。

さすがに、揚げないといけない「唐揚げ」や「コロッケ」が、自然解凍しただけでは食べられないことは言うまでもないでしょう。

それでは、「自然解凍で食べられる!」と表示されていない冷凍食品は、どれも自然解凍だけでは食べられないのでしょうか?

 

災害時などでは役に立たないかも?

一般的に、冷凍された食品の種類により・・・

  • 水産冷凍食品
  • 農産冷凍食品
  • 調理冷凍食品
  • 冷凍食肉製品

といった区分があります。

さて、「冷凍食品を自然解凍する場面」としては、災害時だけとは限りません。

例えば、お弁当に冷凍食品を使っている人は多いですよね。

マルイ農協グループでは、冷凍食品の自然解凍についてこのように指摘しています。

パッケージに「自然解凍でもOK」と記載されている商品以外は、記載通りの加熱調理を済ませて、粗熱をとってからお弁当にご利用をお願いいたします。

つまり、この表示がない冷凍食品は、自然解凍して食べるようにそもそも作られていません。

それでは、どうして自然解凍を避ける必要があるのでしょうか?

 

基本的な冷凍食品が自然解凍を避ける理由とは?

そもそも、冷凍食品には様々な表示が包装に記載されていますよね。

実は、この記載の意味を知っていると、冷凍食品の自然解凍を避ける理由も分かります。

 

 

冷凍食品の記載をチェック!

冷凍食品の包装には、「名称」や「賞味期限」、「保存方法」などたくさんの情報が記載されています。

その情報の中には、加熱しなくてはいけない理由となる、その冷凍食品の製造過程や食べ方も記載されています。

  1. 凍結前加熱の有無
  2. 加熱調理の必要性

この2つの表示を確認することで、「自然解凍で食べられるのか?」・「加熱調理の必要があるのか?」が分かります。

 

❶凍結前加熱の有無:加熱してありません(加熱調理の必要性:加熱してお召し上がり下さい。)

→加熱調理の必要性があるため、加熱しないといけません。

製造工場で最後におこなう凍結の前に、殺菌目的の加熱がないことを意味しています。

つまり、衛生的に加熱が必要になります。

 

 

➋凍結前加熱の有無:加熱してあります(加熱調理の必要性:加熱してお召し上がり下さい。)

一見、加熱してあるため自然解凍で食べられそうですが、こちらも加熱の必要があります。確かにこちらは、製造工場で殺菌のための加熱はしてあります。

それでは、どうして加熱が必要なのでしょうか?

例えば、製造ラインで蒸し調理の加熱はしていたとします。ところが、焼き調理がされていない冷凍餃子は、解凍しただけでは食べられませんよね・・・

ただ、正確に言うと細菌に関しては問題ありません。

こちらの場合は、「品質的においしくない」という意味です。冷凍チャーハンを自然解凍して食べられそうか想像してみて下さい。

衛生的に食べられても、品質的に問題がある。

 

 

❸凍結前加熱の有無:記載なし(加熱調理の必要性:解凍してそのままお召し上がり下さい)

この表示が、衛生的・品質的に、自然解凍で食べられる冷凍食品を意味しています。

→自然解凍の冷凍食品の表示ついては、「一般家庭向け弁当用自然解凍調理冷凍食品等の製造・販売に係わる取扱要領」で示されています。

それでは、どうして自然解凍で食べられるのでしょうか?

 

自然解凍で食べられる冷凍食品?

コープ北陸事業連合のホームページを確認すると、その秘密が紹介されています。

自然解凍ができる冷凍食品と言えば、「弁当用冷凍食品」があります。

それでは、どうして自然解凍ができるのでしょうか?

冷凍食品を食べるときは、「衛生面」「品質面」が重要になることは先程お伝えした通りです。

特に、衛生面が重要になることはいうまでもないでしょう。

結論から言えば、自然解凍ができる冷凍食品は「衛生面・品質面」どちらもクリアしている冷凍食品のことです。

 

自然解凍で衛生面をクリアしている?

そもそも、冷凍食品の衛生規格基準は以下の3つに分類されています。

1)細菌数:1g当たり300万個以下、大腸菌:陰性
2)細菌数:1g当たり 10万個以下、大腸菌群:陰性
3)細菌数:1g当たり 10万個以下、大腸菌群:陰性

この基準を、クリアする必要があります。

ですが、自然解凍できる「弁当用自然解凍調理冷凍食品」では、このような基準になっています。

細菌数/g  1.0×10⁵以下
大腸菌群/0.01g  陰性

 

ところで、「お弁当」と言えば普通はお昼に食べますよね。

つまり、お弁当を作ってから実際に食べるまで、何時間もお弁当箱を放置することになリます。しかも、日本には夏の炎天下がありますよね・・・

そのため、こんな試験が設定されています。

  • 35℃に設定した保存装置を使用
  • 9 時間保存
  • その後に細菌試験ならびに官能試験を実施

この試験は、過酷な夏を基準にして35℃に設定されていますがそれだけではありません。


一般的には、お昼を食べるまでに約6時間の間が空くのですが、さらに余裕をみて9時間で設定されています。

この条件で「細菌試験」や「官能試験(品質)」に合格した冷凍食品が、「自然解凍できる冷凍食品」として販売されています。

*ちなみに、試験には準備された3試料全てが合格する必要があります。

保存試験に供する製品の数量:最終包装製品×6個(2個を1試料として3試料が実施)

この試験が、「自然解凍できる冷凍食品」と「自然解凍できない冷凍食品」との大きな差といえるでしょう。

 

最後に

ここまで読んでいただけた読者の方には分かっていただけたかと思いますが、そもそも自然解凍ができる冷凍食品は厳しい試験がおこなわれ、「自然解凍で食べる前提」で作られています。

間違っても、「凍結前加熱の有無:加熱してありません」と記載された冷凍食品を、自然解凍で口にしてはいけません。

また、「凍結前加熱の有無:加熱してあります」と書かれた冷凍チャーハンをお弁当に詰めて、職場に持っていった場合、食べられるかもしれません。

ただ、当然ですがメーカーは推奨していません。

その理由は、自然解凍で食べるために作られていないからです。つまり、「自然解凍を前提とした試験が実施されていない!」と言うことです。

こういった理由から、冷凍食品を食べるときは表示に従って食べることが大原則です。

ちなみに、災害時は電気が止まれば温められない状況になるかもしれません。冷凍食品の表示を確認して、食べられる物を食べるようにして下さい。


参考

冷凍食品エフエフプレス
https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks8

一般社団法人 日本冷凍食品協会
https://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/#q_1

 

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