ディープ・プアは、さらに深刻な貧困!? 母子家庭の1割以上が陥っている!

 

皆さんは、「貧困率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

日本には、最後のセーフティネットとして生活保護がありますよね。

ただ、誰もが利用できるというわけではありません。

今回は、『貧困率を示す指標「ディープ・プア」』についてご紹介します。

 

ディープ・プアってなに?

ディープ・プア(deep poor)=「かわいそう」という表現でも使われます。

ただ、今回の意味は「深刻な貧困」といった具合に訳したほうが正しいディープ・プア。

とはいえ、「貧困」とひと言でいってもその定義はいくつかあります。

大きく分けると、「絶対的貧困」と「相対的貧困」です。

  • 絶対的貧困:人間として最低限の生存を維持することが困難な状態。まさに、飢餓に苦しんでいるような状態です。
  • 相対的貧困:日本で例えると、日本で住んでいる人の文化水準・生活水準と比較して困窮している状態。つまり、「周囲と比べて」ということになります。

 

日本で深刻化しているのは相対的貧困!

この、相対的貧困は世帯の所得がその国の等価可処分所得(可処分所得を世帯の人数の平方根で割ったもの)の中央値の半分に満たない状態のことをいいます。

具体的に言うと、例えば2015年の相対的貧困の等価可処分所得は122万円以下、4人世帯で約250万円以下となっています。(この数値が「貧困線」となります)

novelrobinson / Pixabay

さて、ここからは労働政策研究・研修機構が実施している2018年に実施された第5回子育て世帯全体調査よりご紹介します。

 

~日本の貧困率~

可処分所得が厚生労働省公表の貧困線を下回っている世帯の割合は、図1のようになっています。

 

《図1 2018年 それぞれの貧困率》

母子世帯 父子世帯 二人親世帯
51.4% 22.9% 5.9%

図1から分かるように、母子世帯の半分以上が貧困線を下回った生活をしており、父子世帯で約2割、二人親世帯であっても1割未満とはいえ存在しています。

ただ、今回取り上げているのは「ディープ・プア」です。

 

~日本のディープ・プア率~

冒頭でお伝えしたように、ディープ・プアとは「深刻な貧困」です。

ディープ・プアというのは、「可処分所得(手取り収入)が貧困線のさらに50%にも満たない世帯」ということになります。

2015年の相対的貧困で考えると、等価可処分所得61万円以下。4人世帯で約125万円以下ということになります。

つまり、月額:5万円以下の手取りということになります。

それでは、ディープ・プアの生活をしている世帯はどれだけあるのでしょうか?

 

《図2 2018年 それぞれのディープ・プア率》

母子世帯 父子世帯 二人親世帯
13.3% 8.6% 0.5%

図2から分かるように、母子世帯・父子世帯は約1割。二人親世帯であっても1割未満であっても存在しています。

 

何が問題なの?

単純なはなし、月額5万円以下の収入となると、そもそも衣食住がままならない状態です。

例えば、住宅種類別でみると公営賃貸世帯の貧困率が最も高くなっています。つまり、公営賃貸住宅が貧困世帯を数多く受け入れていることが分かります。

また、二人親世帯の場合、子どもが3人以上の多子世帯は困窮度が高いことが示されています。

そして、母子世帯の場合は子どもの年齢が高いほど経済的困窮度が高い。(二人親世帯の場合は、子どもの年齢層には左右されない)

このように、さまざまな特徴が見受けられました。

 

世界からみた日本

日本の貧困については、2018年度の調査結果からも分かっていただけたかと思います。

それでは、世界的にみて日本の現状はどうなっているのでしょうか?

 

ユニセフの発表

ユニセフの調査によれば、日本の所得格差のレベルはOECD(経済開発協力機構)加盟41ヶ国中、格差が大きい順に8位。つまり、ワースト8位となっています。

ちなみに、日本は世界第3位の経済大国ですが、視点をかえればこのように多くの問題があることが分かります。

 

生活保護は受けられないの?

そもそも、生活保護受けるためには・・・

  1. 資産がないこと。
  2. 働くことができない(持病や思いうつなど医師の診断書が必要)
  3. 児童手当など、他の制度を受けても生活が難しい。
  4. 扶養者からの援助を受けられない。

以上の4つ全てに当てはまる必要があります。

*「働いているから支給されない」ということではありません。

 

最後に

日本において、問題となっているのは「相対的貧困」です。

母子家庭の貧困率は50%を越え、そのなかでも特に危険な母子家庭のディープ・プア率は13%を越えてしまっています。

世帯構成や地域などにもよりますが、母子家庭では少なくとも10万円を越える生活扶助の支給があります。つまり、それにみたない所得しかない時点で最低生活費を下回っていることになります。

→相対的貧困に陥っている時点で、生活保護を受給できる可能性があります。

そもそも、可処分所得が貧困線の半分しかない、ディープ・プアはかなり危険な状態といえます。

「子どもを働かせない・進学をあきらめさせない」ためにも、生活保護の申請を検討してみてはいかがでしょうか。


参考

独立行政法人労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/institute/research/2019/192.html

livedoor NEWS:日本がはまり込んだ深刻な「貧富格差」の現実
https://news.livedoor.com/article/detail/15909038/

離婚弁護士ナビ:母子家庭の生活保護は毎月いくら?受けるための4つの条件
https://ricon-pro.com/columns/237/#toc_anchor-1-1

 

 

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