ペットボトルに入った「水」の賞味期限 ~なにを守っているか知っていますか?~

 

皆さんは、「水は腐る」と思っていませんか?

水が売られることが当たり前となり、ウォーターサーバーまで家に置かれるようになりました。そんな水が入ったペットボトルには、賞味期限が記載されていますよね。

ですが、この賞味期限は普段、私達が食べている食べ物などと同じ意味ではありません。

今回は、「水と賞味期限」についてご紹介します。

 

「賞味期限」ってそもそもなに?

「賞味期限」というのは、定められた方法で保存した場合、「期待される全ての品質の保持が十分に可能」と認められる期限を示す年月日のことです。

ちなみに、製造日から賞味期限までの期間が3ヶ月以上の物は年月での表示ができます。つまり、安全においしく食べられる期間が一つ一つの食品に記載されています。

仮に、期限が過ぎたとしても品質じたいは保たれているため、そもそも「期限を過ぎたから」といって、必ずしも食べられないとは限らないものが賞味期限です。

 

ワンポイントアドバイス ~消費期限は過ぎると危険!~

「賞味期限」の話しをすると、必ずセットのように紹介される「消費期限」ですが、その理由はこちらは過ぎると危険なためです。

消費期限は、定められた方法で保存した場合・・・

  • 腐敗      :微生物の繁殖により食品の安全性を欠く場合
  • 変敗(へんぱい):科学的変化により食品の安全性を欠く場合
  • その他の品質劣化

これらに伴った安全性を欠く恐れがないと認められる期限を示す年月日。これが、消費危険です。

「賞味期限」と「消費期限」は、全く意味合いが異なるため注意が必要です。

つまり、消費期限が過ぎていた場合は、そもそも食中毒などの危険もありますし、例えば洋菓子の場合なら食品中の水分がなくなり乾燥・固くなるなど劣化している可能性があります。

「賞味期限は、味などがおいしく食べられる品質の保障期間」ですが、「賞費期限は、食べ物として食べられるかどうかの保障期間」

ただし、そもそも全ての食品に賞味期限があるわけではありません。

 

賞味期限がない食品

そもそも、消費期限や賞味期限は厚生労働省や農林水産省が表記の義務付けやその対象となる食品にどれだけの期限を適用するかを決めています。

ちなみに、賞味期限切れ商品を売っても犯罪にはなりません。あくまでも、腐敗した物や有害な物を売った場合に罰則があるだけなので、賞味期限は無関係です。

つまり、逆に賞味期限内でも腐っている物を売れば罰せられることになります。さて、「賞味期限の記載が必要ない食品」と言えば、アイスクリームや塩、蜂蜜などが有名ではないでしょうか?

実は、「水」も腐らない食品ですので、本来なら賞味期限の記載は必要ありません。ですが、冒頭でお伝えしたように水にも賞味期限が記載されていますよね。

これは、水の賞味期限というよりは「ペットボトルのための期限」といった方が分かりやすいかもしれません。

 

水とペットボトル

そもそも水は無機物のため、水自体が腐ることはありません。ただし、これはあくまでも「純粋な水」の場合です。

 

「自然の水」の場合

残念ながら、自然界に「純粋な水」は存在しないとされています。

どういうことかというと、水は基本的にどんなものでも溶かしてしまう高い溶解性があります。そのため、普通は二酸化炭素などなにかしらの物質が溶け込んでいることになります。

つまり、自然の水には有機物が含まれているため微生物が分解することで「水が腐る」という現象が引き起こされます。(川など流れている水は、不純物が循環するため腐らない)

*空気中の雑菌など微生物が、食材の中のタンパク質などを含む有機物を食べて分解した状態が「腐る」です。つまり、そもそも分解する物がない水のような無機物は理論上は腐ることがないことになる。

それでは、水道水の水はどうでしょうか?

 

水道水の場合

例えば、水道水には塩素が入れられていますが、「効果は3日間程度で失われる」と言われます。

また、浄水器を使用している場合は、そもそも塩素を水道水から取り除いてしまっているため、さらに早く雑菌が増殖しやすくなります。

普通は、水をいれたコップを放置しないと思いますが、コップの水は直接空気に触れているため、例えば雑菌がコップに入った埃に含まれている有機物を分解するため増殖していきます。

→雑菌が、埃の中の有機物を分解しながら有害な増殖した状態を「水が腐った!」ということになります。ただ、実際は水が腐ったのではなく、あくまでも埃などの有機物が分解されただけです。

それでは、本題の市販の水がどのような処理をされているのか見ていきましょう。

 

市販の水の場合

  1. 水を充填
  2. クリーンルーム(無菌室)でキャップを機械ではめる。
  3. 高い温度で殺菌

→国内産のミネラルウォーターには、殺菌処理が義務づけられている。(海外産は無殺菌が認められている)

つまり、国内産のミネラルウォーターは、自然界では難しい「純粋な水」を密閉された容器にいれて、基本的には売られていることになります。

それでは、なぜ市販の水には1~3年程の賞味期限が記載されているのでしょうか?

 

水の賞味期限は、そもそもペットボトルの期限!

一般的な食品と大きく違う点は、記載されている賞味期限が食品そのものの期限ではなく、容器の期限である点です。

それでは、「ペットボトルの期限」とはどういうことなのでしょうか?

 

ペットボトルの期限とは?

そもそも、「水」の賞味期限は他の食品とは意味が全く違います。

これまで説明してきたように、ペットボトルの水は殺菌処理され密封された「純粋な水」です。つまり、雑菌が存在していないため、何年経ったとしてもいない物は増えません。

それでは、この賞味期限はなにかと言えば、ペットボトルに表示されている容量が確保できる期限のことです。これは、「計量法」に定められているルールです。

第一条 この法律は、計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。

つまり、品質は品質でも水自体ではなく、その内容量の期限のことです。そのため、保存方法さえ間違っていなければ、水は長期間保存することができます。


ちなみに、ペットボトルのサイズが大きいほど外部から受ける影響は分散され小さくなります。つまり、小さいペットボトルほど賞味期限は短くなります。

→ペットボトルのサイズによって影響が違う。

どういうことかと言えば、、ペットボトルは密封したとしても「気体透過性」つまり、空気を通してしまう性質があります。

もちろん、空気を透過させるのであって細菌などは入りません。

ですが、密閉されたペットボトル内に空気が入るさいに、例えば臭いも吸収してしまうためペットボトル内の水に「臭い移り」が引き起こされます。

そのため、臭いのある物の近くに置いてはいけません。

また、保管する場合も「直射日光を避け」「湿度や温度が高い場所」に保管する必要があります。

「水は、お肉などのようにそれ自体が腐ることはありません。腐るのは、水に混ざった有機物です。」そのため、水は「腐る」とも「腐らない」とも言われます。

 

最後に

ペットボトルの水は、そもそも殺菌した状態で密閉されているため、賞味期限に関係なく飲むことができます。実は、臭い移りがあっても安全に飲むことができます。

さて、今問題になっているのが、災害のために備蓄されている「水」です。

水の賞味期限を他の食品と同じように考えて、賞味期限が過ぎた水を捨ててしまった自治体がいくつもあるようです。

  • そもそも、水は腐らない。
  • ペットボトルのように殺菌・密閉しているなら、水はいつまでも保管できる。
  • 水の賞味期限は、あくまでも表示してある内容量が維持できる期限。

「賞味期限」というイメージだけで、勘違いしないようにしたいですね。

特に災害時は、水不足になれば命に関わります。無駄にしないように「飲み水」として使っていきたいですね。

賞味期限切れの水が心配な方は、こちらの農林水産省のHPを確認してみて下さい。

最後に、農林水産省で「水」についてこのように書かれていたので紹介します。

特に水は不可欠なものとして、一人一日3リットルを目途に、最低3日分~1週間分の備蓄が望ましい

特に災害時は、無駄にできる水がないことが分かるのではないでしょうか。


参考

アクアス総研:水は腐る?腐らない?
https://www.aquas5.com/knowledge/28/003444.php

yahoo!ニュース:賞味期限切れの水は飲めるので台風など非常時に捨てないで!消費者・行政・メディア みな賞味期限を誤解
https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20190913-00142504/

サニークリーン:水は腐る?腐らない?どっち?
https://www.sanikleen.co.jp/waterserver/column/699.html

 

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