これまで、夏マスクの問題点についてご紹介していきましたが、最近は皮膚科にも患者さんが増えてきているようです。
少し想像すれば分かりますが、夏場にマスクをすれば蒸れますよね・・・
今回は、そんな「夏マスクと皮膚トラブル」についてご紹介します。
夏マスクは、そもそも「肌荒れ」が大前提
一般の私達は、「使い捨てマスク」や「手作りマスク」などを着用していますよね。
さらに医療機関では、感染リスクが高いことから「N95マスク」や「サージカルマスク」などで、より強い圧力をかけて着用するため、鼻・頬に刺激性皮膚炎を起こすことが多くなります。
さて、こういった「マスク皮膚炎」は様々な皮膚トラブルの原因になってしまいます。
マスクは蒸れるのに「乾燥」による肌荒れ?
以前、「マスクをしていると自分の呼吸で加湿されるため、脱水に気付きにくくなる」ことを紹介しました。
→「マスクと脱水症」については、こちらの記事で紹介しています。
https://kinkishiga.com/kosodatetyuuihou/byoukikanren/summer-mask.html
「マスクをすれば蒸れるため、乾燥とは無縁!」と考える人もいるかもしれませんが、実際は真逆です。
確かに、マスクを付けている間は蒸れるため「乾燥」は気にしなくていいでしょう。
ですが、マスクを付け続ける人はいないですよね?
もしも、サウナなど湿気の高い環境で外すのなら問題ないのかも知れませんが・・・(日本体育大学大学院 横田裕行教授によれば、「吐く息の温度は体温とほぼ同じ36度で湿度は100%」とのこと)
→つまり、マスクの中は雨天時と同程度の高湿度の状態。
ですが、マスクを外した直後は、肌表面の水分が蒸発していくため乾燥が進行していくことになります。
肌が乾燥すれば、当然、肌表面のバリア機能が低下していくため、「手荒れ」などと同じで細菌などが侵入しやすい環境になってしまいます。
*マスクを外したときに、「つっぱり感」「ひりひり感」があれば特に注意!
また、当然、マスクを装着することで予想通りの肌トラブルも発生します。
「かぶれ」や「ニキビ」
「かぶれ」は、「接触性皮膚炎」のことです。
この接触性皮膚炎は・・・
- 物質や製品の刺激が強いことで誰にでも生じる「刺激性皮膚炎」。
- 一般の人にはなんの問題もない物に対して、アレルギー反応を引き起こす「アレルギー性皮膚炎」
この2つに大別されています。
さて、この「接触皮膚炎の原因」になるものは、ありとあらゆる物が考えられます。
もちろん、化学物質も原因の1つとなりますが、「マスクと肌荒れに関係ありそうな物」の例を挙げると・・・
- 食べ物
- 消毒
- 体液(汗や唾液など)
などが、考えられます。
→ちなみに、日光(紫外線)の要素が絡み合うことでかぶれが引き起こされる場合まであります。
つまり、『マスク自体の「かぶれ」』や「表情や口の動きにより肌とマスクが擦れる」と、物理的な刺激で角層のバリア状態が悪化します。
もちろん、マスク内の蒸れも刺激になるため、さらに肌トラブルの原因となります。
さらに、マスクの擦れにより角層が厚くなると、毛穴の入口が詰まって皮脂が溜まりニキビが発生しやすくなります。
それでは、マスクによる肌トラブルを防ぐためには、結局どうすればいいのでしょうか?
マスクのための対策とは?
かきお駅前さいとうクリックのHPでは、このような対策が紹介されています。
マスクの対策とは?
- かぶれない素材・肌当たりの優しい・通気性の良いマスクを選ぶ。(布マスクも選択肢の1つ)
- マスクと肌の間に軟らかい不織布を挟めば摩擦の軽減になる。
- マスク着用前にワセリンを外用するなど、丁寧な保湿。
- 定期的にマスクを外して蒸れを逃す。
- 口周りに汗をかいたときはこまめに拭き取る。保冷剤などで冷やす。
そして、トラブルが解消しない場合は皮膚科に相談する必要があります。
最後に
夏場にマスクを付けたことがある人が、どれくらいいるのか分かりません。ただ、多くの人にとって初めての経験ではないでしょうか?
ですが、新型コロナウイルス対策のためにマスクを装着するようになり、今度はそのマスク対策が必要になってしまいました。
当然、アレルギーがある人はさらにそのアレルギー対策が必要になります。
対策のための対策が必要になるばかりで、そもそも「どういったときにマスクの効果があるのか?」という最も肝心な理屈が忘れ去られないか不安になることがあります。
「マスクはなんのために装着し、誰のためにするのか?」
忘れないようにして下さいね。
→「マスクの役割」については、こちらの記事で紹介しています。
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