居眠り運転は運転支援システムでは回避しきれない!? 

 

前回、居眠り運転についてご紹介しました。

前方不注意の1つである居眠り運転による事故は、死亡事故の約47%(ほぼ半数)を占めていると言われています。

ただ、運転する機会が多い人ほど個人の体調管理だけでは限界があります。

今回は、「運転支援システムの注意点」と「いざという時の備え」についてご紹介します。

 

「居眠り運転」については、こちらの記事で紹介しています。

「居眠り運転」は前方不注意の1つ! 事故件数の約半数の原因・・・!?

 

そもそも「自動ブレーキ機能」が付いていれば十分じゃないの?

自動ブレーキについて説明する大前提として、国土交通省は2019年12月17日に「乗用車の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS/アドバンスド・エマージェンシー・ブレーキ・システム)国内基準と義務化」について公表がありました。

→これは、自動車の「衝突被害軽減ブレーキ」の装着を義務化していくことを国土交通省が発表しています。

 

義務化の日程は?

  1. 国産の新型車:2021年11月以降に発売される車は、基準を満たした性能を持つ衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化。
  2. 輸入の新型車:2024年7月               〃
  3. 国産の継続生産車:2025年12月             〃
  4. 輸入の継続生産車:2026年7月             〃

→継続生産車の軽トラックは、2027年9月以降に発売される車が義務化されます。

このように、「国産車か輸入車」だけでなく「継続生産車かどうか」また、「軽トラックかどうか」で、衝突被害軽減ブレーキ装着の義務化タイミングが大きく変わります。

→ちなみに、「継続生産車」というのは、義務化の時点ですでに販売されている車のことです。

*義務化について2020年1月31日に交付され、同日施工。

つまり、「基準を満たした性能を持つ衝突被害軽減ブレーキ装着の義務化」は、決定事項だということです。

それでは、肝心の「基準を満たした性能」とはどういったモノなのでしょうか?

 

基準を満たした衝突被害軽減ブレーキ?

国土交通省が発表している「衝突被害軽減ブレーキ認定制度の概要」については、以下のようになっています。

  1. 静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しない又は衝突時の速度が20km/h以下となること。
  2. 20km/hで走行する前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しないこと。
  3. 1及び2において、衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8秒前に、運転者に衝突回避操作を促すための警報が作動すること。

この1~3全ての要件を満たしている必要があります。

このように、衝突被害軽減ブレーキは衝突の回避に役立つ機能ですが、そもそもこの条件は厳格に定められた(人工的な)試験環境での場合であって、実際の交通環境ではありません。

これは、今話題の「運転支援システム」でも同じことが言えます。

 

運転支援システムを過信していると・・・

国土交通省 「運転支援システム」を過信・誤解しないでください!より

そもそも、運転支援システムは・・・

ドライバーの適切な周辺監視の下、高速道路等において、速度や前走車との車間距離を自動制御する装置(全車速追従クルーズコントロール)、車線の中央付近を走行するよう自動制御する装置(車線維持支援装置)等です。

 

「全車速追従クルーズコントロール」の場合

この運転支援システムは、先行者を一定の車間距離で追従し渋滞時には発進・停止をアシストしてくれる便利な機能です。

先行車が止まっても自動的に止まってくれるため、例えばあってはいけませんが居眠り運転をしてしまったとしても、追突防止に役立つことが期待できますよね・・・

それでは、渋滞した高速道路で外(合流地点)から車が割り込んできた場合、どうなると思いますか?

  1. 追従走行をしているのは、あくまでも前方の車です。つまり、突然割り込まれると運転支援システムが割り込み車両を検知しても、ブレーキが間に合わず衝突する可能性がある。
  2. 前方の車が急カーブを走行した場合、前方の車を検知できなくなり(前方車を見失い)対向車線にはみ出し衝突する可能性がある。
  3. 一般道で「全車速追従クルーズコントロール」を使った場合、前方の車が黄色信号で進入した結果、赤信号の交差点にそのまま進入することになる。

このシステムは、単に先行車を追従するシステムでしかありません。つまり、運転者が道路の状況を見ながら、必要の応じてブレーキなどの操作をしないと事故が発生します。

 

「車線維持支援装置」の場合

この運転支援システムは、車線の中央を走行するようハンドル操作をアシストしてくれる運転支援システムです。

もしも、居眠り運転をしたとしても白線の中央を維持してくれるため、例えば「白線をはみ出して対向車と正面衝突!?」なんてことを防いでくれそうですよね。

ところが、高速道路を走っていると、古い道路もありますよね。そういった高速道路では、そもそも検知するべき白線が消えかかっている場所があります。

なにより、この支援システムは「白線を検知」する必要があるわけですから、例えば土などの障害物が白線の上を覆っていれば検知できないかもしれません。

その結果、白線を見失い対向車線い突っ込む可能性があります。

→天候・路面の状況によって、白線が検知できないことがある。

  GORBACHEVSERGEYFOTO / Pixabay

つまり、安全運転システムは検知できたとしても間に合わないことがあり、そもそも「いつ検知できない状況に陥るか分からない」ということが言えます。

少なくとも、運転支援システムがなにを検知しながら走行しているのか理解していれば、過度に過信することはなくなるでしょう。

また、路面の状況や合流地点などを見ながら「検知できない環境かもしれない?」と、事前に判断することも可能になるかもしれません。

こういった理由から、あくまでも「運転を支援してくれるシステム」であって絶対ではありません。

さて、居眠り運転を防ぐためには運転支援システムだけでは不十分なことが理解できたのではないでしょうか?

それでは、他に居眠り運転の対策はないのでしょうか?

 

居眠り運転を健康管理以外で解決する方法はあるの?

実は、「居眠り運転防止装置」が国土交通省認定商品「Alar Me(アラーミー)」がすでに発売されています。

商品紹介ではなく、なぜ「居眠り防止」ができるのかの説明のために紹介していますので、商品について知りたい方は上記にリンクを貼っておくので確認してみて下さい。

 

どうして、居眠りの状態が分かるの?

この機器は、車の運転中、寝不足や長時間の運転から疲労を検知して注意を促してくれる「居眠り運転防止装置」として紹介されています。

ただ、「疲れを検知」と言われても意味不明ですよね・・・

実は、この装置が検知している「疲れ」というのは、「瞳孔」です。

瞳孔は疲れにより変化するため、赤外線による高度な顔認識との瞳孔検出技術を利用して、瞼(まぶた)と下瞼との間の最大距離を検出し分析。警告音などを発生する仕組みになっています。

 

最後に

人間は生き物である以上、100%居眠り運転をなくすことはできないでしょう。ですが、限りなく0%に近づけていくことはできます。

そして、どんな便利な支援システムも必ず検知しているモノがあります。

まずは、「なにを検知しているのか?」

それを知っているか知らないかで、安全で正しい利用の有無が変わってしまいます。

居眠り運転のほとんどは、「疲労」と「睡眠不足」が原因です。

そもそも、個人の健康管理が最も大事になることは言うまでもありません。ただ、自分の努力だけではどうにもならない時があります。

AIを活用するなど、できる限りの対策は過信せずに導入しておいて損はないでしょう。

 

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