誤報もあった緊急地震速報 ~そもそもどんなシステムか知っていますか?~

 

みなさんは、「緊急地震速報」についてどれくらいご存じでしょうか?

「緊急地震速報が発表される前に地震がきた!」

「誤報が多い!」

なんて感じているかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、「意外と知らない緊急地震速報」についてご紹介します。

 

緊急地震速報ってなに?

緊急地震速報とは・・・

地震の発生直後に震源に近い地震計で捉えた観測データを素早く解析して、震源や地震の規模(マグニチュード)を推定し、各地域に到達予定時刻や震度を予想し素早く知らせてくれるシステムで、警報レベルでは「特別警報」に分類されます。

つまり、緊急地震速報は地震予知ではありません!

そのため、あくまでどこかで地震が発生してからしか発表できません。

→震源に近い場所は、地震が起こってから知らせがくることになります。

それでは、「混乱するばかりで意味がない!」ということになるのでしょうか?

 

意外と知らない地震の性質とは!?

地震が起こると震源から揺れが波(地震波)となって地面を伝わっていきます。

ただ、この地震波には最初に伝わる「P波」と二番目に揺れる「S波」の二種類があります。

*地震の強い揺れにより被害をもたらすのは、二番目にくるS波です。

つまり、緊急地震速報は「危険なS波のお知らせシステム」ということができます。

ただ、地震を予知しているわけではないので震源に近いほど速報でも間に合わないなのが現状のようです。

 

緊急地震速報の発表条件とは?

そもそも、緊急地震速報には「予報」と「警報」があり、地震動の大きさによって3種類に分けられています。

❶地震動予報:緊急地震速報(予報)
最大震度3以上またはマグニチュード3.5以上等と予想された時に発表されます。

➋地震動警報:緊急地震速報
最大震度5弱以上の揺れが予想したときに、強い揺れが予想される地域に対して、地震動により重大な災害が起こるおそれのある旨を警告して発表。

❸地震動特別警報:緊急地震速報(警報)
→緊急地震速報のうち、震度6弱以上の揺れが予想される場合。(特別警報と同じ位置付け)

*緊急地震速報の中でも、予想震度が大きい物は「特別警報」に位置付けられています。

 

「緊急地震速報(予報)」と「緊急地震速報・緊急地震速報(警告)」との違いとは?

緊急地震速報(予報)

→平成18年8月1日から提供を開始され、スピード重視で観測地点が「1点」や「2点以上」で判断されます。

高度利用者向けとして提供されています。(一般向けには発表されません)

有料で提供されており、専用受診端末などを等して配信されます。

ただ、1観測点のみのデータでは地震以外の揺れや機器障害による・・・

  1. 事故
  2. 落雷
  3. ハードウェア障害

などによる誤報が発生する可能性があります。

実際、平成28年8月1日に1つの観測点で震度7(マグニチュード9.1)の超巨大地震に分類される地震を観測しましたが、実際は観測部の電源部の故障でした。

このことから・・・

  • 地震学的にありえない大きさの震源幅を除外する。
  • 地震学的に考えられるマグニチュードの上限値を設け、過大な震度予測はしない。

といった対策がとられるようになりました。


地震学的にありえないマグニチュードとは、例えばマグニチュード12で地球が割れるレベルです。(これまで発生した中で、もっとも大きな地震はマグニチュード9.5のチリ地震)

一般向けには、その後提供される複数観測点からの「予報」を利用することが推奨されていますが、迅速性を優先するなら1点のみの観測成果を用いる「予報」を機器制御等に使う選択肢もあります。

*誤報としてキャンセルするまでに数秒~数十秒(30秒ほどかかる場合もあります)

これが、「予報」を利用するさいの重要な留意事項となります。

~緊急地震速報(予報)まとめ~

緊急地震速報(予報)には、「1観測点で判断されるもの」と「2観測点以上で観測されるもの」がありますが・・・

  • 1観測点の場合は、予想震度が3以上(予想マグニチュードが3.5以上)

  • 2観測点以上の場合は、震度4以下を予測。

こうして発表されますが、どちらも「高度利用者向け」のみにしか提供されていません。

緊急地震速報(予報)の発信条件はいずれかの地震観測点においてP波またはS波の振幅が100ガル以上になった場合も発信されます。

→「ガル」は、地震の大きさを加速度で表わしています。

100ガル(1ガル=1cm)は建物が1秒で1mずつスピードが加速されていくという意味になります。

ちなみに、100ガルは震度5と同等レベルになります。

 

緊急地震速報・緊急地震速報(緊急)

*気象庁は、平成19年10月1日から「緊急地震速報(警報)」の発表を開始しています。

一般向けの緊急地震速報で、携帯・テレビ・ラジオ・市町村防災行政無線等を通じて提供。

全国を約200に区分した地域単位で、震度5弱以上を予測した地震について、震度4以上を予測した地域に対して発表されます。

無料で提供され、誰もが知ることができます。

*もちろん、高度利用者も利用できます。

普段、私達がニュースや携帯などで見聞きしているのは一般向けの「緊急地震速報」と「緊急地震速報(警報)」になります。

 

緊急地震速報の新しい取組み!?

PLUM(プラム)法

従来の手法では・・・

→揺れから、震源と規模を推定。→震源と規模から揺れを予想していました。

PLUM法では・・・

→巨大地震が発生した際でも精度よく震度が求められる新しい予想手法として2018年3月から運用を開始されました。

→地震計で観測された揺れから直接震度が予想されます。

*現在は、「従来の手法」と「PLUM法」による手法のうち大きい方の予想を基に発表されています。


地震についての技術は進歩していますが、やはり絶対的なものではありません。

また、二つの手法のうち大きい方が発表されるということは以前よりも緊急地震速報が発表される可能性が高くなるかもしれません。

地震大国といわれる日本で、身を守る可能性がある方法は一つでも多い方がいいとは思います。

ただ、誤報が続けば混乱が続くことになるため今後も正確性が求められることに変わりはありません。

 

最後に

この記事を書いた前日、2019年2/21日に北海道で震度6弱・マグニチュード5.7・震源の深さ30mの地震が発生しました。

*断水やケガをされた方がいらっしゃいました。

  1. 震度6弱     :10段階ある震度階級の8段階目です。→立っていることが困難になるレベルで、固定していない家具の大半が倒れます。壁にヒビ割れが発生しやすく地震後、建物の点検が必要になります。(倒れる建物もある)

  2. マグニチュード5.7:地震の規模は、中地震です。→これより大きな地震で津波の心配があります。

  3. 震源の深さ30m  :もし、この地震が地下数km~20kmまでの比較的浅い部分での震源だった場合、さらに大きな被害がでていたかもしれません。

  4. 熊本地震の経験から、本震かどうかはまだ判断できません。警戒は続けなくてはいけません。

このように、ニュースの情報から最低限の地震の大きさが判断できるようになります。

地震に付いては以下の記事で紹介しています。

震度0が震度階級の始まり!~震度5以上は建物や地盤に実害がでるレベル!?~

 

まとめ

  • 緊急地震速報は、危険なS波を教えてくれる。
  • 余地ではなく、発生した地震から各地へ危険を知らせるシステム。
  • 緊急地震速報は過去の誤報から修正され、新しい手法も取り入れらている。

気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq25.html

 

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