そのクレームは大丈夫? カスハラは犯罪行為になることも!

 

新型コロナウイルスが猛威をふるう以前からすでにあった、「カスタマーハラスメント」についてご存じでしょうか?

特に、お客さんを相手にする仕事をしている人なら、誰もが毎日のように経験しているのではないでしょうか?

今回は、「人ごとではすまされないカスタマーハラスメント」についてご紹介します。

 

「カスタマーハラスメント」ってなに?

日本では、昔から「お客様は神様」なんて、いきすぎともとれるサービスが行われてきました。

もちろん、私達消費者にとってこれは、気持ちよく買い物ができるためとてもありたいですよね。ですが、「お客様」の意味をはき違えてしまう消費者が少なくない人数がいることも事実です。

そもそも、私達は消費者であると同時に労働者でもあります。そのため、私達が高いサービスを求めれば求めるほど、自分たちにも求められることを理解する必要があります。

さて、そんな中「カスタマーハラスメント」が以前から社会問題になっています。

 

「お客様」からの嫌がらせ

  • カスタマー(Customer):お客様・消費者取引先など。
  • ハラスメント(Harassment):いじめ、嫌がらせなど。

つまり、「カスタマーハラスメント」というのは、一般的に「お客様からの嫌がらせ」という意味になり「カスハラ」と省略されることもあります。

ですが、現在にいたるまで日本ではこれまで悪質なクレームだったとしても、「お客様の声」として企業経営に生かすことで、よく言われる『「顧客満足度」を向上させることにつなげる』と強調されてきました。

特に、最近ではSNSが普及し、少しでもお客さんの気に触れば営業妨害ともいえる誹謗中傷を書かれることも珍しいことではなくなりました。

今の日本は、誰もがお店の審査ができる「総審査社会」のようなものですよね。とはいえ、クレームが全て悪いわけではありません。

 

意味のあるクレーム?

そもそも、クレーム(claim)というのは、正当で当然の権利として要求する。損害賠償。支払い要求など。こういった意味があります。

例えば、「注文した定食と違うメニューがきたので取り替えてもらう」など、相手の間違いを指摘して正しい状態にしてもらうように注意しますよね。

他にも、「子どもと一緒に入りたい!」「ヘルシーなメニューが欲しい!」そんなクレームもあるかもしれません。

つまり、クレームというのは「サービスや商品の改善すべきポイントをお客様が指摘してくれること」をいいます。もっと言えば、改善することができれば双方にとってメリットがあることです。

なにより、口には出さなくともその他多くのお客さんが同じように思っている場合もあるため、「適切に対応できれば企業の評価が上がっていく」そういった、お客さんからの注意提案といったクレームのことです。


ですが、カスハラは厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策にについての検討会」でこのような概念として述べられています。

顧客や取引先からの悪質な迷惑行為が社会的な問題になっている状況を踏まえれば、顧客や取引先からの悪質な迷惑行為の問題に対応するためには、事業主に対応を求めるのみならず、「カスタマーハラスメント」などの名前をつけて周知・啓発を行うことで、社会全体で機運を醸成してくことが必要である。

つまり、「カスハラ=迷惑行為」としてすでに認知されています。

それでは、UAゼンセンのハラスメント対策の取組からカスタマーハラスメントについてご紹介します。

 

カスタマーハラスメント その中身とは?

流通:2017年(6~7月)、総合・サービス:2018年(2~5月)の期間で、49,876件の悪質クレームアンケート調査が実施されました。

この中で、70.1%が「悪質クレーム(迷惑行為)を受けた」と回答しています。

 

カスハラの内訳は?

  1. 暴言(一方的な暴言も多い)・・・65.5%
  2. 同じ繰り返し・・・39.1%
  3. 権威的態度・・・36.4%
  4. 威嚇・脅迫・・・35.2%
  5. 長時間拘束・・・26.6%
  6. セクハラ行為・・・13.4%
  7. 金品の要求・・・8.1%
  8. 暴力行為・・・4.8%
  9. 土下座の強要・・・4.2%
  10. SNSでの中傷・・・1.2%

問題点としては、そもそもほとんどが犯罪行為に当たります。さらに、この回答は複数回答のため1人の人がいくつものカスハラに何度もあわされていることになります。

仕事をしていると、理不尽な要求は毎日のように確かにありますよね。なにより日本の問題は、「カスハラが当たり前すぎて、問題だと感じていない」ことかもしれませんね。


ちなみに、迷惑行為を受けたときの従業員の対応方法はなんだと思いますか?

あなたもやったことがあるのではないでしょうか?

  1. 謝り続けた・・・48.0%
  2. 上司に引き継いだ・・・37.6%
  3. 毅然と対応した・・・25.7%
  4. なにもできなかった・・・7.2%

つまり、約半数の人は謝ることしかできませんでした。意外だったのは、毅然とした態度で対応した人が約3割もいたことではないでしょうか?

それでは、具体的にどんなカスハラを体験されているのでしょうか?

 

カスハラの事例とは?

先程紹介した「カスハラの内訳」より事例を一部紹介します。

❶暴言

  • ストレスのはけ口にされて「このババア!」と言われる。
  • 商品の場所を案内したら、遠回りさせられたと怒りだし「バカ・死ね・辞めろ!」と怒鳴られた。

 

➋何回も同じ内容を繰り返すクレーム

  • 売り場にない商品を商品部に確認する時間を求めたら、「今すぐ答えろ!」と長時間繰り返され、「今はすぐに告げられない」と告げても理解してもらえず、長時間対応を迫られた。

 

❸権威的(説教)態度

  • マニュアル通りの接客用語を使っているのに、「その日本語は違う、それはこう言うのよ、だからだめなのよ」と毎回同じことを言われる。

 

❹威嚇・脅迫

  • 何が気に触ったか理由もいわずに「仕事もできない体にしてやることもできる」と言われた。

 

❺長時間拘束

  • 惣菜の価格が間違っていると言われたので、確認に行こうとしたら「待たせるな!」と怒鳴られ3時間説教され続けました。

 

❻セクハラ行為

  • 夜に勤務時間時、品出しをしていたら、男性から肉体関係の誘いを受けた。
  • お客さんの性的な内容の話しを我慢して聞いていたら、エスカレートして体を触られたり抱きつかれた。

 

❼土下座の強要

  • 「商品が冷めている」と怒り返金を要求され返金対応したが、金銭を投げつけられ土下座を要求。

 

❽暴力行為

  • 普通に接客していた時、お客様の機嫌が悪かったのか、カゴや小銭を投げつけられた。

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このように、「クレーム」と「カスハラ(悪質クレーム・迷惑行為)」は、違うことが分かっていただけたのではでしょうか?

理由がわからないため改善の仕様がなく、そのほとんどがただの「いちゃもん」だったり、自己顕示欲を示すためだったりと、どこまでいっても自己都合が目立ちます。

そこで、UAゼンセン流通部門を確認すると、「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドライン」が定められています。

 

どんなガイドラインなの?

「悪質クレーム対応についての共通の考え方(最低基準)であるガイドラインを策定することで、悪質クレームによる経営損失及び労働者の過度な負担を減らし、業界の健全な発展に貢献させることを目指す。」

こういった目的で策定されています。

 

カスハラの問題点は?

  • 労働者の精神衛生上の問題
  • 悪質クレームによる企業損失・・・通常のお客様へのサービスの低下や離職率が増加する。
  • 企業ごとの対応が違う・・・「顧客至上主義の会社」と「毅然と対応する会社」など。

*ただし、そもそも「悪質クレーム」の定義はありません。


とはいえ、2019年5月10日に「悪質クレーム対策推進法案」が参院に提出されました。

この法案の中で悪質クレームとは、「従業者等に対し消費者対応業務に関連して行われる行為のうち、従業者等に業務上受忍すべき範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えるおそれのある行為。」と定義づけされています。

そして、もう一つ問題があります。

それは、明らかな犯罪行為であるにもかかわらず、刑法が適用された判例事態が少ないことです。

 

刑法が適用された判例とは?

1)威力業務妨害罪(刑法234条)
ア)デパートの食堂に蛇を 20 匹撒く行為(大審院昭和 7 年 10 月 10 日)
イ)数人で食堂内で怒鳴り散らし騒然とさせる行為(大審院昭和 10 年 9 月 23 日)
ウ)店舗の道路に面する部分の全面に物体を一面に並べる行為(最決昭和 40 年 9 月 3 日)

2)脅迫罪(刑法222条)
ア)「自分の仲間が沢山いて、あなたを痛めつけると相当意気込んでいる」と告げるのは、害悪の告知に当たる行為(最判昭和 27 年 7 月 25 日)

3)強要罪(刑法223条)
ア)名誉棄損罪や侮辱罪に該当しないのに、謝罪文を書かせる行為(大審院大正 15 年 3 月 24 日)
イ)共犯者と共謀の上、脅迫して土下座させて謝罪させる行為(大津地裁平成 27 年 3 月 18 日)

4)不退去罪(刑法130条)
ア)学生が実力で庁舎へ立入り、職員らの制止や説得に従わず、退去命令をも無視し、暴力を行使し坐り込みをした。(札幌高判昭和 50 年 4 月 22 日)

この判例だけをみても、様々な罪に問われることが分かりますが、そもそも悪質クレームに明確な基準がないため、クレーム対応が難しいことが挙げられています。

さらに言えば、刑法が適用された事例が少なく適用されるハードルが高くなっています。

ただし、世間の風潮によって大きく変わるため、これまでの行為を「カスハラ認定」され、罰せられることは将来的にありえる話しです。

そうなれば、消費者とサービス提供者との立場が逆転してしまう可能性まで出てきます。このように、「カスハラ」は社会全体を取り巻く社会問題となっています。

 

最後に

新型コロナウイルスにより、例えばこんなカスハラが引き起こされています。

  • マスクを付けて接客をすると「あるなら客に売れよ!」
  • マスクを付けずに接客すると「何を考えているんだ!」

マスクをしてもしなくても、クレームを付けられる。

また・・・

  • 「なぜ、わしに売るマスクがないのか、見殺しにする気か!」と怒鳴りつける高齢者。
  • 「品切れ」のポスターに納得がいかず「けしからん!」と怒りをぶつける人。

このように、マスク1つとってもクレームの嵐となっています。ただ、どれもどうにもならないクレームばかりですよね・・・

言いたくなる気持ちは分かりますが、従業員も労働者であると同時に消費者でもあります。

繰り返しますが、カスタマーハラスメントは「犯罪行為」です。

そして、従業員もあなたと同じ消費者でもあります。その要求が不当なものでないか考えながら発言しないと、今後は犯罪者になるかもしれません。

自分の権利を主張するなら、相手の権利も認めなくはいけません。くれぐれも感情的な発言にはご注意下さい。


参考

中国新聞デジタル:【この働き方、大丈夫?】客から暴言、店員「怖い」 新型コロナで「カスハラ」横行
https://www.chugoku-np.co.jp/living/article/article.php?comment_id=624018&comment_sub_id=0&category_id=1190

 

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