法的なトラブルは身近にある! 「法テラス」を知っていますか?

 

借金問題など、法律的な相談窓口としてなにかと「法テラス」の名前がでてきます。

それでは、皆さんは「法テラス」についてどこまでご存じでしょうか?

今回は、「私も成年後見制度の関係で利用した法テラス」についてご紹介します。

 

どんなきっかけで利用したの?

私がケアマネをしていた頃、担当していた利用者さんで軽度の認知症が見られるようになった方がいらっしゃいました。

当時、息子さんと同居され、娘さんは結婚されていて仕事と家庭があるためお母さんのお世話をすることができず、どうにもならない状態でした。

本来なら、同居の息子さんにお母さんの金銭的な面も含めてお願いする必要があるのですが、息子さんには発達障害があり働かれてはいましたが、誰かの世話をすることは難しい状態でした。

なにより、実際に家計をやりくりしていたのは利用者さんであったこのお母さんでした。

そんな時、やっと連絡のついた娘さんに同意を得て、成年後見制度について相談したのが「法テラス」でした。

 

成年後見制度とは?

成年後見制度というのは、ざっくり言うと「成人で、判断能力が不十分な人を守る制度」です。

もしも、後見人がいなければ判断能力が不十分なため必要な契約等の法律行為が行えなくなるため、後見人が必要になります。

さて、そんな成年後見制度は2000年に介護保険と共にスタートした制度でもあります。

→「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類。

 

任意後見制度

任意後見は、判断能力がある段階で、自分自身で成年後見人を選ぶことができる制度です。

→後見人には、「家族」だけでなく「弁護士」・「司法書士」なども選択することもできますが、弁護士や司法書士等に以来した場合は、「契約」になるため報酬が発生します。

*第三者が後見人になるときは有料になる。

 

 

法定後見制度

法定後見制度は、認知症などの「脳障害」・「精神障害」・「知的障害」などの理由で、自己判断能力が不十分になった時に活用される制度です。

身内・民生委員・市区町村の役員などが、家庭裁判所に後見人の選任を行い、家庭裁判所によって成年後見人が選出される制度です。

→基本的に家庭裁判所は、親族がいればその親族を「後見人に選出」する。

*身寄りがない・親族に問題がある場合は、「弁護士や司法書士といった法律の専門科」・「社会福祉士」などが選出される。


このように、任意後見制度では自分で後見人を選ぶことができますが、法定後見制度ではすでに判断能力が不十分になっているため家庭裁判所が後見人を選出することになります。

つまり、私の場合は法テラスに依頼して法定後見になってくれる弁護士さんなどを探し、その方と一緒に家庭裁判所にも足を運びました。

これが、わたしが法テラスを利用したときの体験です。

それでは、法テラスについて見ていきましょう。

 

「法テラス」ってそもそもなに?

まず、法テラスは「日本司法支援センター」のことです。

さらに言えば、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所です。

先程の事例は、「介護が必要な高齢者のために成年後見制度についての相談をした事例」です。

ですが、法的なトラブルは他にも・・・

  • 借金
  • 離婚
  • 相続

など、あげればきりがありません。


こんな時、相談先や解決方法を示してくれるのがこの「法テラス」です。

つまり、「刑事」・「民事」に問わずあらゆる法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられる機関であり、平成18年4月10日に設立されたまだ新しい法人でもあります。

もちろん国により設立されているため、「総合法律支援法」に基づいた法務省所管の公的な法人です。

*総合法律支援法は、民事・刑事問わず法による紛争の解決に必要な「情報」・「サービス」の提供が受けられる社会を実現することを目指す法律。

 

法テラスの業務は?

法テラスには、誰もがりやすいように重要な業務がいくつもあります。

 

❶情報提供業務

利用者からの問合せ内容に応じて、法制度に関する情報。

そして、相談機関・団体等(弁護士会、司法書士会、地方公共団体の相談窓口等)に関する情報を無料で提供します。

→この業務により、弁護士を紹介してもらいました。

 

 

➋民事法律扶助業務

経済的に余裕がなく法的トラブルにあったときに、無料で法律相談を行い、必要な場合、弁護士・司法書士の費用等の立替えを行う業務。

 

 

❸犯罪被害者支援業務

犯罪の被害にあわれた方やその家族など、そのとき最も必要な支援が受けられるように支援する。

  • その被害に関する刑事手続に適切に関与
  • 損害や苦痛の回復・軽減を図るための法制度に関する情報の提供

こういったことを行う業務。

 

 

❹国際弁護等関連業務

  • 国選弁護人になろうとする弁護士との契約
  • 国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知
  • 国選弁護人に対する報酬・費用の支払い

こういったことを行う業務。

→「国選弁護制度」というのは、刑事事件で勾留された人(被疑者)や起訴された人(被告人)が、貧困等の理由で弁護人を選任できない場合に、本人の請求または裁判官(裁判所)の職権により弁護人を選任する制度

 

 

❺司法過疎対策業務

身近に法律家がいない、法律サービスへのアクセスが容易でない司法過疎地域の解消のために法テラスの「地域事務所」設置などを行う業務。

さらに、他にも法テラス本来の業務の遂行に支障のない範囲で、「国・地方自治体・非営利法人等」から委託を受けて行う受託業務も実施されています。


さて、法的な相談(法的な悩みか分からない場合も含めて)として、法テラスへの相談が進められるのはこういった理由からです。

少なくとも、無料で相談にのってもらうことができるため、「法テラス」は覚えておくべき相談機関の1つと言えるでしょう。

それでは、「法テラス」についてもう少し知るために、業務の1つである「民事法律扶助制度」について見ていきましょう。

 

民事法律扶助制度を利用する場合

法律的なトラブルが起こったとき、経済的な余裕がない人の方が多いのではないでしょうか?

そんな時、法テラスなら無料で相談できることを知ったとします。それでは、どんな人がどれだけ相談にのってくれるのでしょうか?

原則、収入や資産が一定額以下であるなどの条件がある。

 

 

~誰が、どんなふうに相談に乗ってくれるの?~

法テラスと契約している弁護士・司法書士が、1回30分程の相談時間(3回まで)をとってくれます。

ただし、日本に住所を有していなかったり、適法な在留資格のない外国人・法人・組合等の団体は対象者に含まれません。

つまり、海外に住所がある人や、違法な相談者は受け付けられません。

ちなみに、「報復的な感情を満たすだけの宣伝」や、「権利乱用と思われる訴訟」などは援助の対象外となるため、その点は理解しておく必要があります。

 

法テラスへの相談は多岐にわたる!

法テラスでは、設立以来これまで多くの件数がこれまであります。

  • 法テラス・サポートダイヤル(情報提供をおこなっている)→338万件
  • 民事法律扶助・震災法律援助の無料法律相談→282万件
  • 弁護士・司法書士費用などの立替え(代理援助・書類作成援助)→108件

平成29年3月時点の件数のものもあり、今ではもっと多くなっているでしょう。

それでは最後に、身近な相談について見ていきましょう。

 

こんなことでも相談できる!?

例えば、私にも当てはまりますが賃貸マンションに住んでいると、隣家の騒音問題は少なからずあるのではないでしょうか?

実際、こういった相談も法テラスでの相談事例があります。

また、アパートから退去するときに、「電気焼けで冷蔵庫の後ろの壁紙が薄く黒ずんだ部分の修理代が敷金から差し引かれた!」といった相談もあります。

もちろん、マンション関連の問題以外にも「職場の同僚が貸したお金を返してくれない!」といった相談や、「身に覚えのない借金の返済を求める最終通告書が届いた!」など相談内容は多岐にわたります。

どれも、人ごとではすまないような内容ばかりです。

 

最後に

法的なトラブルは、誰もが苦手なことだと思います。

ただ、そんな時に「法テラス」を知っているかどうかで、その後の結果が大きく変わる可能性があります。

実際、法テラスはベテランのケアマネさんの相談先として利用される相談機関でもあります。それだけ、信頼されているということでもあるでしょう。

実際、私も後見人を見つけることができました。

法定なトラブルは、想像以上に身近に潜んでいます。

私はあくまでも仕事で利用しましたが、普段の生活で使わないに越したことはないとはいえ、泣き寝入りする前に、選択肢として知っておいて損はないでしょう。


参考

みんなの介護
https://www.minnanokaigo.com/guide/rougo-money/adult-guardianship-system/

 

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