新型コロナウイルスの影響で、学校が臨時休業になりましたよね。
基本的に、子ども達には不要・不急な外出は避けるように指導がなされています。ただ、必ずしも守っているとは限らないようですが・・・
さて、そんな中、以前から問題になっていたある問題も噴出してきています。
今回は、「臨時休業の取組と顕在化してきた問題!?」についてご紹介します。
そもそも学校は本当に臨時休業中?
2/28日に、政府による全国一斉臨時休業について通知(新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業について)が発出されました。
文部科学省によると、3月4日時点の臨時休業の実施状況は、このようになっていました。
《2020年3月4日の臨時休業の実施状況》
公立 | 国立 | 私立 | |
小学校 | 99% | 100% | 90% |
中学校 | 99% | 100% | 92% |
高等学校 | 99% | 100% | 93% |
特別支援学校 | 95% | - | - |
3月4日時点で、私立は1割程度がまだ臨時休業になっていなかったようですがそれ以外の学校の子ども達は、ほぼ臨時休業になりました。
→小学1年生~高校3年生(6歳~18歳)までの子ども達が基本的に自宅待機を命じられました。
小学生~高校生って何人ぐらいいるの?
総務省統計局によると、2018年の15歳未満の子どもの数は約1553万人+卒業した高校生は105万6,378人でした。
2018年の6歳~18歳の人数ですが、1600万人以上にものぼります。つまり、今は1600万人以上の子ども達が通知のもとこういったことが指導されています。
- 軽い症状(喉の痛みだけ・咳だけ・発熱だけなど)でも外出を控えること。
- 規模の大小に関わらず、風通しの悪い空間で人と人が至近距離で会話する場所やイベントにできるだけ行かないこと。
簡単に言えば、まともにこのルールを守ろうと考えるならば、家に軟禁状態になってしまいます。
新型コロナウイルスを他人にうつさないための約束事としては確かに正しいのかもしれませんが、最初に断言しておきますが、元気な子ども達を1ヶ月以上も家に隔離することは不可能です。
とはいえ、政府からの無茶振りに対して、各学校・各地域はできる限りの取組をしています。
各学校・地域で実施されている取組!
臨時休業中の普段の取組みは?
❶教員が日替わりで朝礼実施
動画配信サイトを活用し、毎日教員のリレー形式で朝会が実施されています。生徒とのコミュニケーションを図ることで、視聴数を見ながら、生徒の閲覧状況をチェック。
➋家庭訪問により、食事の摂取状況を確認
休業期間中、家庭訪問の実施の際には・・・
- 食事を問題なく摂っている
- 安全に過ごしている(感染等体調には問題ないか)
- 宿題などの学習状況
こういったことを確認するよう学校と共通認識を共有。必要なときは福祉的支援もできるように、学校と密接に連携する。
❸給食食材の有効活用
- 余ってしまった給食の食材を地域のこども食堂に提供し、こども食堂から普段通っている子どもの家庭へ配布。
- すでに給食用として納品が決まっていた食材を町が引き取り、毎週水曜日に町役場で地産地消推進のために開催している野菜市の会場で野菜を販売。
- 市内保育園や認定こども園など給食提供している施設等に提供。
❹子どもが家庭で挑戦できる簡単レシピの発信
- 栄養教諭中心に、小学生でも簡単に家庭で作ることができる料理や、保護者向けの常備菜などをHPで多数紹介。
- 一ヶ月間、「生活を学ぶ」「暮らしを楽しむ」チャンスと家庭に協力を呼びかけている。
こういった、さまざまな工夫がされています。それでは、肝心の学習面はどういった取組が行われているのでしょうか?
学習面での対策は?
- テストをあらかじめ封筒にいれて配布。指定した日に保護者が見守る中、自宅でテストを実施。
- 1週間ごとの課題プリントを準備し、月曜に配布。金曜に担任が家庭訪問し、健康観察とともに回収・翌週の分を配布。
- 学童で一日保育になった子どものために、学童から学習プリントの提供依頼が、学校で応じる。
- 休業明けの最初の登校日に学年末試験を実施予定にすることで、自宅学習の動機付けを付ける。
- 副教材費の残金で教材を購入。保護者に学校にとりにきてもらい、家庭学習の方法等について説明しながら配布。
- 休業に入るまでに準備し切れなかった休業期間の課題について、学校と家庭の緊急連絡メールを活用し、追加の課題等をメールで送信し、家庭での協力を呼びかける。
- 各学校で保護者と学校間でやりとりするための無料メールサービスを導入し、「学習支援コンテンツポータルサイト」を紹介し、家庭学習の参考として活用を呼びかける。
- 学校に残っている学用品の受け渡しを兼ねて、子どもの生活の様子や健康状態を知るため、訪問を設定して子どもと一緒に担任がいる教室への訪問を保護者に依頼。
対策は、各学校・地域でさまざまです。ただ、担任教師が家庭訪問をする場合、担任教師が感染するリスクがかなり高くなります。
そのため、家庭訪問をどのようにしていくのか?
そういった工夫も必要になります。
さて、ここまで多くの子ども達のために各学校・地域が様々な知恵を出し合って実施している取り組みを紹介してきました。
ちなみに、ICT(情報通信技術)を活用してオンラインで「学活」や「連絡」だけでなく、オンラインのランチ会なども実施されています。
とはいえ、家に閉じこもってばかりもいられません。これは、子どもだけでなく大人もそうですよね・・・
実は、以前から問題にはなっていたのですが、「道路族」が増えていることが指摘され始めています。
「道路族」ってなに?
ネット上の俗称として使われている言葉ですが、「新興住宅の袋小路となっている道路などで、遊ぶ子どもやその親の迷惑行為のこと」です。
簡単に言えば、道路上で遊ぶ子どもやその親ということです。深刻な場合だと・・・
- 刑事事件
- 民事事件
- マイホームを手放し引っ越し
など、ありえない状態にまで発展したケースもあります。
私も子どもの頃は、車がほとんど通らない広い道路で親戚のお兄ちゃん達とドッジボールをしたりしていたので、私も今でいう道路族だったということになります。
さらに私の親の世代なら「道路で遊んでいた!」という人はもっと多くなるかもしれませんね・・・
どんな問題が起こっているの?
残念ながら、問題が多発しています。
- 夜遅くまでバーベキュー
- 花火をして騒ぐ
- 器物破損(車など)
さらに、注意すると相手から怒鳴り込まれるだけでなく、例えば新興住宅の場合、若い世代が集まり子どもが産まれると、もともと住んでいた住民が騒音などを注意したことで、近所の若い世帯から昔でいう所の「村八分」にされるなど。
かといって、公園ではボール遊びが禁止されている場合も多いですよね・・・
様々な体験談については、こちらの道路族.comのHPで紹介されています。
そもそも、1000万人を越える全国の子ども達を家に閉じ込めることは不可能ですし、できたとしても実行してはいけないでしょう。
そして、道路は本来、個人の物ではありません。ですが、警察の取締もなかなか難しい現状があります。
というのも実は、裁判になった事例で裁判官がこのように述べています。
「わが国ではその機能を著しく損なわない限りではあるものの、道路が子どもの遊び場や住民の交流の場として利用されてきた経緯があることも併せて勘案すると、本件で問題となる騒音が本件地の正常な利用に伴うものではないからといって、直ちに違法視すべきものとは言えない」
また、警察沙汰にしたことで犯人捜しが始まってしまうため安易に「通報すればいい」とも言えません。
それでは、なにも対策できないのでしょうか?
実は、成功例はすでにあります。
きんしゃいきゃんぱす
「きんしゃいきゃんぱす」というのは、2004年に開設された福岡市東区箱崎にある子どもの遊び場のことです。
この活動は、家の前の生活道路では車がスピードを出さないようにすることで、「道路で子どもが遊び・地域の人々が生活に使う、近隣のコミュニケーションの場にしよう!」という取組で、すでに15年以上継続されています。
つまり、道路も遊び場の一つとして利用されています。
このように、解決策は必ずどこかにありますが、対立していては解決することもありませんし、自分の主張ばかりを言い張っても上手くいくこともありません。
最後に
突然の臨時休業が始まり、学校関係者は混乱状態が続いていることは容易に想像が付きます。
そんな中で、様々な取組は行われていますが今回例に挙げた道路族のように、子どもを閉じ込めようとした結果、ご近所トラブルも発生してしまいます。
それは、大人も人ごとではありません。なぜなら、子ども以上にストレスが溜まっているのは、実は大人だからです。
これからは、新型コロナウイルス対策のための対策が急務になっていくでしょう。政府批判など、犯人捜しをする時間がもったいないので、外出できる場所・機会を作っていくことに目を向けてみてはいかがでしょうか?
参考
九電みらい財団:きんしゃいきゃんぱす
→http://www.kyuden-mirai.or.jp/reports/detail/76
日本はぐけあ協会:道路族とその解決法とは?
→http://www.hugcare.jp/kosodate/road/
文部科学省:学校の臨時休業の実施状況、取組事例等について【令和2年3月4日時点】
→https://www.mext.go.jp/content/20200304-mxt_kouhou02-000004520_1.pdf
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